第5話 兵卒スタート
第5話 兵卒スタート
『ショウ選手失格です。すみやかに舞台からおりてください。』
「え?」
「え?」
思わずオルバと顔を見合わせた
取り敢えず闘技場から降りた俺は審判団の方へ歩きながら舞台を見てみた。戸惑いを隠せないオルバ以外は8人が戦っていた計9名か……そろそろ終了の合図がかかるだろう。
『終了!それまで舞台に残っている選手、いやもう士官ですね……は出口横にいる軍曹長の所へ行くように。そして失格のショウ選手は審判団の所へ。
以上をもちまして下士官入隊試験を終了いたします。』
審判団詰め所に行ったら中に通され待合室のようなところで座って待たされた。
10分くらいだろうか待合室にゾロゾロとひとが入って来た。その中にはイリスも居た。
「何で失格になったかわからないか?」
俺の前にどっしりと座った40台後半くらいの偉そうな鎧を着たおっさんがはなしかけてきた。
「わからないですね。試合を邪魔されたので場外の選手を蹴っ飛ばしたくらいしかおぼえはないです。」
「あの吹き矢は私たちの方でも気づいて一度試合を止めようとしたんだが君がスキル【早駆け】を使い吹き矢選手を倒してまたスキルで戻って。試合を続行した。」
「そのとおりですね(早駆けの上位の縮地だがだまっておこう)それになにが問題なのですか?」
「君はちゃんと試合前の整列のときの説明をちゃんときいていたのかね?個の力のみでスキルは使うなと説明したであろうが!」
かなりイラついた様子でイリスが怒鳴った
聞いてなかった・・・・・・
テン=プレート=ヤラレヤークさんと話していて試験会場へはギリギリだったからなぁ、そういえば彼も下士官試験って言っていたけど、みなかったな。
彼のテンプレはなかなかの威力だった……
「あ……はい隣の兵卒試験を仲間がうけていたのでそっちの方にギリギリまでいたので。スンマセン」
いままで空気だったガーネット父がそれこそ【縮地】なスピードで俺の耳元で
「お前・・・・・・誰だと思っている。この国の今の実質ナンバー2のサルセド=テヘロ=オレガリオ少将だぞ」
え?じゃあこの4人は今のメキアの尉官以上の方々だったらしい
「コホン、とにかくバトルサバイバルの時もすぐに伍を作り背中を守るという判断力、伍の指揮ももんだいなかった。個の力は言うまでもないなお前はイリス・ガーネットよりつよいらしいしな。しかし失格なものは失格だ本当なら特別軍曹としてやってもらいたいことがあったのだがな……それにしてもイリスがショウの事を興奮して褒めるからどんな男かと思っていたが・・・・・・「ちょ・・・・・・そんなことはないです!公平な目線で見てショウは強いといっただけです!」・・・・・・だそうだ。とにかくとっとと尉官になってくれよな。」
と立ち上がりながら部屋からゾロゾロ出て行った。
イリスだけが残った。
あんたに少し説明してあげるといいながら紙を広げた。
「まず尉官表ね。」
トップ:元帥 王様
将官:大将 空席
将官:中将 デニス=アクセル=フルトヴィクト
将官:少将 サルセド=テヘロ=オレガリオ
佐官:大佐 空席
佐官:中佐 空席
佐官:少佐 イリス=アネッタ=ガーネット
尉官:大尉 マウロ=モルガン=ガーネット
尉官:中尉 空席
尉官:少尉 空席
下士官:特務曹長 曹長 軍曹
兵卒:伍長 上等兵 一等兵 二等兵
訓練兵:三等兵 四等兵
「とにかく今回の報復戦で下士官にまで登って頂戴。そしてら特務曹長として遊撃隊にしてあげられるし、スラム組みは貴方の下じゃなきゃ抑えがきかないでしょう」
と天を仰ぎながらため息をつくイリス。まあ確かにあいつらはどっかの士族の坊ちゃんより俺の方が使いこなせるだろうな
新たな紙を広げて
「次は地形と戦術ね。あなた達は父の私兵2000でA国にB国に対して援軍を出させないように揺動してほしいの」
「なんで?上から順番に倒していった方が効率いいんじゃね?」
「そう、相手もそう思っているからあえてBから落としてAを挟み撃ちにする。
それとA国本城までは砦が2つ、B国本城までは砦が1つなのよ。」
「ふ~ん……なるほどね~」
(C国の援軍があったら逆に挟み撃ちじゃん。砦が少ないのはかんたんには突破されないような頑丈な造りなんだろうな……)
「決行は二日後それまでに班編成が決まるからちゃんとスラム組は集めておいてあげたから、おそらく分隊か小隊に配置されるだろうから上司のいう事をきくのよ」
といってイリスも部屋を出て行った。俺は地形地図を見てA国の山の中腹くらいまでなら行ったことあるなぁ~と思い、ある提案を父ガーネットにお願いしに行くことにした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
二日後 決戦の日
「諸君、今回の戦の総大将を務める少佐イリス=ガーネットだ。それぞれの上司から説明を受けて自分の役割はよくわかっているとおもう。しかし、私は報復戦のつもりはない!ABC国を滅亡させる殲滅戦のつもりだ!諸君らもそのつもりで励め」
うお~!!とか、やってやる!とかおれこの戦終わったら彼女にプロポーズするんだ!等士気は高い
「まずは大まかに説明する、最終確認だ私の後ろのモニターを見てくれ」
「まずはA国に揺動をかけて援軍を出せないようにする!指揮はマウロ大尉!私兵団2000!」
「ハ!いち早くA国の砦を抜いてなるべく早くA国にとりつきます!」
「次は軍曹長2人、軍曹4人の1200でC国に揺動させて援軍を出させないでくれ」
「ハ!鋭意頑張ります」
「最後私率いる私兵3000でB国を落とす!その後A国に挟撃をかけてC国を打ち倒す以上だ。それではそれぞれ進軍開始!!」イリスが大きく号令をかけるとそれぞれ動き出す
マウロ=ガーネットを筆頭に俺たちは東に進軍を始めた。
イリスの読みではB国の砦1つ抜いて本城にたどり着くのは8日後なので俺達マウロ軍はA国には5日目には入っておきたいA国の砦で足止めされれば、その分援軍に人手を割かれてしまう。
1日野営をして明日の昼前にはA国の1つ目の砦が見えてくる。
予定通りマウロ軍は1つ目の砦にたどり着いて開いてる門から2つ目の砦に向かう。
実は昨夜のうちに山の中腹にスラム隊、マウロ曰く
「ショウ君を班長以上には出来ないからもう一人伍長を選んでたまたま同じ方向へ斥候にだしただけで山から降りたらまたたまたま砦の裏側に出て夜の闇に紛れて50人以上の砦兵が倒されていて開門してあったからとおっているだけである!」と堂々と1つ目の砦を通り抜けた。因みに砦には300人程敵がいたが開門されると同時に退却していたからスラム隊に損害はない。2日目はそのまま砦で野営をした。食料も水もだいぶ節約できた。
3日目は特に障害もなく普通に進軍できてしまった。何かの罠でもあるのかと思ってしまうくらいだった。父ガーネットに少しお願い事をした。
4日目2個目の砦近くまで来た今度の砦は山からは抜けられないつくりになっている。さらに2度同じことをされたら単なるお馬鹿だ。A国兵は弓隊が最精鋭だとイリスから聞かされていたなのでラーメンの国の約1800年程昔の賢人さんがやったやり方で1晩で矢を尽きさせる。明日正面突破する1000人を残して野営させて、残り1000人は俺が率いて200人5交代制で藁人形を掲げて森を走り回る。あ・・・・・・何故俺が兵卒なのに1000人率いているかというと昨日父ガーネットに【副官】には身分縛りがないんじゃないの?と聞いたらそのとおりで晴れて俺も1000人将軍だ!なんてあそんでいると、やはり何人かは犠牲になるし向うも揺動だと気づいて斉射してこなくなってしまった。では・・・・・・とこちらからも弓矢を放つとまた斉射してくれる。1晩続けば何千本にもなっただろう。流石に使い切らせることは出来なかったようだが2時間もしないで砦は陥落した。4日目も砦で野営をし父ガーネット私兵は元気いっぱいである。
5日目の早朝もう18年も前の事を考え思い出そうと頑張っている。
攻城戦についてだやっぱり奇策がいいだろう。墨俣の一夜城?ちがう。背水の陣?ちがうそれは向こうだ。
オールスターでピッチャーイチローに代打高津?そういやメジャーでもイチロー投げてたな?いやいやそんなんじゃない。A国はうって出てくることはないだろう。兵数の差、士気の差は如実に出てる。かといって兵糧攻めじゃいつまでたってもB国のイリスの応援には行けないし……
ヒヒ~ン
騎馬隊の馬も暇そうにいなないてる
馬?
そっかよし決まったぞ!父ガーネットにお願いしにいくか。
夕方
戦時中でも基本的には行商人は行き来自由だ。しかし間者が混ざったり荷物が敵兵だったりするのであまり利用することはないとの事だ。ただA国は今はもう兵糧つきるのが先かってところまで来ているそこに行商人が通りかかった。
A国王はすぐに行商人を呼び兵糧と矢と馬をあるだけ買うと商人にたのんだ。買い占められた商人は三年は遊んで暮らせると大喜びですぐに裏の跳ね橋から品物を次々と入れていったその数、馬でいうと200頭。A国王はメキアにABCの三国同時攻撃できる兵数がいないことなんか知っているので1~2週間もすれば撤退するだろうと大喜びで品物を中央広場に見に行ったらそこは大惨劇だった。
なぜメキア兵が300人以上も城の中にいるのかわからず壇上の上で呆けていたら一瞬でショウに首を狩られていた。籠城策からものの1時間でA国は滅んだ。
【トロイアの木馬である】
窮地になるとやはり人間は考え違いを起こす。間違った選択をしてしまうのだ。
200頭のうち本物は20頭後はそこらの獣の皮だったりを被った兵士たちが馬っぽく歩いていただけである。
小国Aは今この瞬間に滅んだのであった。