プロローグ「戦う理由」
俺は夢を見る。
どこから黒い何かが俺を包む。
毎回そこで終わる。
俺、加賀谷奏は、いつも夢から覚めるとその夢が頭の中から消えている。
夢だからなのだろうか、何度も見る夢なのに思い出せない。
これも俺の姉が消えてからだ、姉は能力者としてトップクラスで、犯罪者と戦っていた姉はいつも笑顔で帰ってきていた。
姉の誕生日に準備をして待ったいたが、この時の俺は姉のしていたことに対しての認識が甘かったことに気づいたのは数日後、姉の死亡通知が届いた時だった。
中学最後の日、能力があるかどうかの検査がある。
一人またひとりと検査していくのだが、ただでさえ少ない能力者になれる確率なんて、1粒の砂を掴むようなものだが、俺のクラスの何人かは、能力者になるだろう。
検査は能力者にしかない脳波を当てていって反応があればどの能力か、分かるらしい詳しい事は分からないが俺には無いと決まっていると思いつつ検査を受けた、受けたと言っても横になっているだけだし、ただ待つだけだと待っていると
「ドクター、この子オリジンです」
「本当なのかね、このデータは適合者今までいなかった、幻と言えるものなのだよ」
「ですから、適合率が100%なんです」
「わかった、彼は有明高校に推薦入学だ、上に伝えといてくれ」
そんな会話がされたことなど知らない俺は検査が終わり最初の待合室にかえされた。
帰ると最初に帰ってきていた月夜宏明が、近寄ってきた。
「おお、加賀谷帰ってきた。どうだ結果はなったのか」
「わかるわけないだろ、全員が検査してから一斉に発表されるだから」
こういう能天気の奴がいるだけでいくらかマシになる。
しばらくして、検査員が入ってきた。
検査員が俺の顔を見た時に、驚いたような顔していた。俺は面識が無く、なぜ驚いていたかなんて分からないが、発表されていくクラスメイトを見ていた。月夜が呼ばれ、最後に呼ばれた。名前を呼ばれた時さっきの検査員はこっちを見ていた。
「最後によばれた異能者の方は有明高校に推薦入学となります。各自準備を怠らずしっかりと準備をしてきて下さい」
説明が終わると月夜がこっちに来ていた。
「おーい加賀谷、もう終わったのだ、帰って飯にでも行かないか」
「わかった。まずは家に帰ってから行くぞ、推薦決まった祝だ」
そして俺達は、出口へと向かって行くとさっきの検査員がこちらに向かってきていた。
「加賀谷君少し話があるんだけど来てもらえないかな」
俺は避けようと思ったのだが、話しかけられてしまったため、避けられなかった。
「月夜悪い、呼ばれたから後でやろう必ず行くから」
「わかった、必ず来るんだぞ」
そう言って検査員の後をついて行った。
ついて行くと応接室に案内され、席に座った。
「初めまして、私は異能犯罪執行部長の水上真理です、貴方の姉加賀谷遥さんの同期です」
それを聞いた時、頭が真っ白になった。だが、今になって話に来ると言うことは、何か分かったのかもしれないと、希望が出てきたがそれは、すぐに無くなった。
「貴方のお姉さんは、異能犯罪テロ組織との戦いの時に行方不明になりました。
捜索隊もでましたが、どこにもそれらしき者が無かったため、死亡と上が判断し死亡通告が出ました」
「じゃあ今になって説明にきたんですか、何もかももう遅いんですよ」
「それは、すいませんでした。我々執行部は守秘義務があるので、いくら親族の方でも話せませんでした。ですが、今貴方は我々と近い立場にいるためこうして話す機会があり話した次第です」
俺は無力感に苛まれた、俺にもう少し早く力があれば、姉と一緒に入れたのにそれはどうしようもない。
「それで俺にどうしろと言うんですか」
「貴方に執行部入ってほしいんです。遙の弟として戦って欲しいんです」
それを聞いた俺の心には響かなかった。一般人を助ける組織とはいえ姉が死んだ執行部に入る理由はない。
「すいませんがお断りします」
それを聞いた水上さんは驚いていた。
「なんで、お姉さんの敵をうちたくないんですか?貴方のお姉さんが目指した犯罪のない世界を作ろうとは思わないのですか」
「それをやったとして、姉が死んだ組織に入って戦う理由は無いですし、それに姉の真実を探すのが俺の戦う理由です」
そう言って応接室を出た。家に向かっていると、月夜から電話があった。
「随分と遅いな、あの綺麗な女に鼻でも伸ばしていたのか」
「そんなに拗ねるなよ、今日の埋め合わせは、必ずするから」
「わかった、じゃあ明日な」
「おう、また明日」
電話を切ると家へと向かうと同時に姉に何があったのか。
真実を求めることが俺が戦う理由だと心に決めて。