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銃剣魔弾の精霊王  作者: 白羽彼方
一章 ゆうがきままな少女ライフの終わり
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大都市の精霊使い

昨日のように晴れやかに雲もちらほら見える朝。普通の天気の日です。

そのような朝を迎えておきながらこの私はというと

「人間って辛いですねぇ・・・・・・悲しいですねぇ・・・・・・。」

やっていることは実は家畜殺し。人類の虚しさを感じました。

また先ほどの回想からずっと捌いていましたよ・・・・・・ええ、心痛いです。

しかし家畜さんの命亡くなる悲鳴を聞きながら捌いていきます。この作業をするコツは要はなれです。何も考えるなということなのです。

そういえば何を捌いているかは言っていませんね。ドラゴンの幼生期の子供です。

親に見捨てられてこれまで生きていたようですがこの度軽い事件を起こし捕まってしまったというわけです。今はかわいそうにと思いつつ羽を切り取っています。

「罪を働いたドラゴンは材料にしてもいいそうだからな。派手にやれ。」

ちょっと罪を犯した程度で派手にやれとか言っているこの声の主は身長168、体重78、座高83の白ヒゲ生やした赤い服を着たじじぃです。私はサンタさんと呼んでいます。

それにしても自分でやらないからとドヤ顔しよってからに・・・・・・・いつか目にもの見せて復習してやります。

「躊躇すればコイツはより苦しむことになる。ならいっそ一瞬で殺す方がいいに決まっている。じわじわ殺すなどお前はドSか?」

余計なこと言うな糞ジジイ。そのヒゲもしりとりますよ。

やがてドラゴンの解体が終わります。長かったです。一時間と30分かかりました

「それでサンタさん。残業代は出るのですか?」

「出ると思うか?お前ごときに?」

普通にカチンときました。人の大切な時間使って対価も何もなしにむしり取ろうなど言語道断です。少し穏やかに私はサンタに向きます。

「ストライキしてもいいのですよ?私は別の仕事をしようと思えばやれますから。」

「給与10Jアップしてあげよう。」

雀の涙ほどの金額が上がりました・・・・・・・先ほど申し上げたように私の給与は時給300円。時給310Jとして1時間半は460Jにしかなりません。

そのせいで生活がとても厳しいです。それはもう冬の寒さをダンボールで凌いでいます。

「それでサンタさん。これは何に使うのですか?」

「賢者の石って知っているかね?」

「はぁ・・・・・・なんか死人を生き返らせたり能力強化したりとかするあの賢者の石ですか?」

眉唾物じゃなかったんですね。

「今のこの世界じゃ魔法は使い放題だろう。賢者の石が存在してもいいじゃないか!」

そんなことを言われても・・・・・・・。逆ギレもされても。

「それで作り方と材料なのだが・・・・・・・・・ここにメモってある。」

サンタさんからメモを手渡しで受け取りました。なになに・・・・・・火トカゲの牙、氷鳥の翼、雷撃虫の体液、モンブラン。サンタさんはちゃっかり自分の好きなものをリストに混ぜてやがりました。メモは無難に胸ポケットに入れておきました。

「モンブラン以外は了解・・・・・・・それにしても結構な量が必要ですね。」

本職のハンターさんでも雇ったらと思うような材料量です。

こんなに何に使うのでしょうか?

「ざっと私が願いを叶えるのに必要な分だからな・・・・・・。」

「・・・・・・・・・これは一体いくつ作れる量なのですか?」

「5万個だが?」

他の人にも分けてあげましょうよ。自分だけが幸せになったらあとで逆襲が来ますよ。

そう言いつつ最後の工程に入ります。ドラゴンの幼体は先ほど死んだはずなので肝を撮ります。キモは大切な魔法の材料になります。もしかしたらこれも賢者の石の生成に必要なものなのかもしれません。すべて解体し終わり背伸びをしました。

もうこんなのは懲り懲りです。

「さすが四大の精霊を操るだけあるな。」

「四大精霊を操ることは関係ありませんよ。」

まぁその四大精霊のせいでまともにバイトできずここで働いています。

実は私は四大と呼ばれる各属性一番強い最強の精霊と契約を結んでいます。

何故か適当に精霊さんを助けていたらそんなことになっていて街では神様扱い。

普通に疲れます。それに比べればこのくらいの苦痛は別に苦痛じゃない。

「それで四大精霊はどこに行ったんだ?」

「イフリートはグレンデル火山にお散歩。ウンディーネはリーガル滝で涼みに、シルフは近所の子供達と遊び。ノームは家で爆睡中です。」

「四大は四大でフリーダムだな、おい。」

まったくそのとおりです。以外にも精霊さん皆フリーダムです。

「あいつらのおかげでお前は強力な4属性が使える。だがそれ以外は使えないのは面倒だと思わないか。」

そうなのです。彼らの属性『火』『水』『土』『風』の4属性を私は使えます。

ですがその他属性『雷』『氷』『時』『空』『闇』『光』の6属性を私は使えない。

「特に時と空の属性は生活に便利な能力だ。戦闘に応用できるやつは少ないが日常で使う分には問題なく役に立つ。パンの発酵の時間を早くする。荷物を運ぶのを短縮するとか。」

『時』とはつまり時を操る術です。ですがサンタさんの言ったとおり強い力を行使することはできません。我々は神様ではありませんから。『空』もそのまま空間という意味です。

これも大きな力を使うことができません。もし使えるとしても命を削る行為にほかなりません。命は有限なのです。儚いのです。

「おっと話がずれたな。それで集められるか?」

全部が外で集めるものです。私に魔獣の徘徊する場所へ赴けと言っておるのです。

もちろんこの場所に居座っているのでNOとは言えませんでした。

サンタさんのお願い(依頼)を承諾した私は外に出るための許可を取りに行きました。

外に出るには手順が必要なのです。

「はい、500Jね。」

「・・・・・・・・・お金必要なのですか?」

びっくりです。前に頼んだ時はタダだったのに。

「実は国勢が変わってだな。外に出るやつはお金を払うことになったんだ。」

国が決めたのならしょうがない。財布の中身を確認します。

58J。それが今の私の全財産でした。

仕方なしにサンタさんのもとに給与前借りにではなく出発費用と請求しましたがサンタさんは「それくらいお前で何とかして見せろ。」と別の場所に赴いていきました。

何もできないまま時が過ぎていきます。どうしたらいいのでしょうか?

「おや?マックスウェル様じゃないかい。今日はどうしてこんなところへ。」

いつの間にか商店街まで歩いて来ていたようです。それは先ほど私に話しかけたクルスさんがそれを証明しています。クルスさんは商店街の一番前の八百屋を経営していていつも新鮮な野菜を格安で提供してくれているとても良いお方です。

「実はお金に困っていましてかくかくしかじか。」

「それは大変だねぇ。今月は大丈夫なのかい?」

昨日は朝と昼と夜の食事は砂糖水だけでした。実は畑も耕がしてはいるのですけどどういう因果か作物が育たないのです。その因果は四大が作り出しているわけですが。

「その様子だとあと三日間砂糖水暮らしになっちゃうんじゃないのかい。」

クルスさんが笑います。もちろん既にその生活をしている私は笑い事ではありません。

まとまったお金がすごく欲しいです。

「でもあんたならどこでも雇ってもらえるでしょう。どうしてあの低賃金の職場についているのかわからないくらいよ。」

確かに職は探せばあると思います。今の仕事よりもたくさんのお金をもらえるでしょう。

ですがマスコットにされるだけ。こんなお人が働いていますと宣伝道具にされるだけなのです。そう考えるといくら低賃金だろうとそのようにならないあの職場は私語のみと言えるでしょう。よく言えばもっとお金くださいだけでしょうか。

クルスさんにサヨナラをして商店街の奥の方へ進みます・・・・・・。

ああ・・・・・・見られている、じっくりねっとり見られています。

憂鬱そうに歩いていると一人の見知った男性が現れました。

名はコウガ。忍者の家系だそうです。その為忍び衣装を着込み顔も見せていません。

「お前に用がある。」

「私お仕事中なのですけど唐突に何おっしゃいますかコウガさん。」

「済まないこちらも緊急なのだ。実は子供が一人攫われた。」

この言葉だけですごく大事権な気がします。関わってはいけないと脳がビコンビコン警報を鳴らしています。赤信号です。渡るな、危険です。

しかし私の意思に反し事件内容が話されます。

「今朝のことだ。突如キングコングが現れた。」

わぁいきなりキングコングですか。ちなみに巨大な方のキングコングではありませんよ。

普通に外ではびこっている魔獣の一匹です。

キングコング。それはディアコングたちを統率し動かすもの。本当の意味でのキングです。それにしても単体で動くことはまずないはずなのですが・・・・・・・。

「今回はキングコングさんだけが現れたのですか?」

「これ以上は人のいないところで話したい。もし断りたいなら我について来ないでくれ。」

まぁここまで聞いてしまえばなんとなくやってやろうかなと思ってしまうのが私です。

相当損な性格ですよね。危険があることはわかっているのに。

コウガさんが商店街の出口の方へ歩き始めたのでついていきます。

人ごみを抜け商店街を抜け近くの裁縫道具屋さんの裏路地を抜けた場所につきました。

何もない場所。人が隠れられず誰かいればすぐに気づけるようなそんな場所。

「ついてきたということは了承したと受け取っていいのか?」

私はコクンと頷きました。コウガさんは話の続きを話し始めました。

「話の続きだがキングコングは一匹で行動していた。群れの気配もなくただ一匹だった。証言者がいたので間違いはない。」

「あなたは見ていないわけですよね。その証言は信じられるのですか?」

「信用できる人間からだ。嘘は言っていないだろう。ならばなぜキングコングは一匹で行動したのかということになる。」

普通に考えれば群れからはぐれたというところでしょうがなにかきな臭い感じがします。

「俺たちの考えは二つだ。一つは群れからはぐれてしまい寂しくて誘拐に走った。または食料にするためだろう。」

その可能性の方がこの世界では素晴らしく高いです。人間と魔物の対立はものすごく続いています。ある一部に人間がそれはもうお互いを憎しみ合う位には。

どちらにしても早めに場所を割り出し助けることが先決ですね。

「ではまず一回のその話は置いておきましょう。コングさんの行き場所に心当たりとかはありますでしょうか?」

「心当たりはある。我らの村は外にあるから当たり外れはあると思うが・・・・・・スレイブウッドだと我は思っている。」

「スレイブウッドですか?あの湿気と底なし沼と暗がりに満たされたあのスレイブウッドですか?」

少しの範囲だけですけどそんな感じの場所もあったはずです。

「確かにそのような場所もあるが基本的に木々が生い茂っているだけだ。その中に洞窟が5箇所ある。その5つの中にキングコングはいるとふんでいる。」

なるほど。キングコングは夜行性。暗がりを好みます。ですから洞窟という線はなかなかです。私の言った場所も暗がりのために可能性があるわけです。

「それでだ。湿地帯を探すのは君に任せたい。」

「私を殺す気ですか? 亡きものにしたいわけですかそうですか。」

「それは違う。君の実力だと我以外の人物は遅れを取る。」

過大評価しすぎです。私はそこまでの人物ではないですし。

「君はオーバルアークという武器も自由自在に操るだろう。」

「アレは確かに私以外使用する人はあまりいませんが実用化されているため結構使われているはずですよ。」

なにも私だけが特別なわけではないです。

「そうだがうまく使えないものが多いと聞く。だけどあなたはアレの発明者だ。」

実は四大の力を得るときの代償である6属性を使うために自分の足りないものを補うためにオーバルアークを作りました。ちなみにとある論文の副産物です。それで適当に使っていると警察の目に止まってしまいオーバルアークの構造を受け渡すことになり私が著作者でも警察が全てお金を独占しています。すでに私のものではなくなっているのです。

醜いですよね。金に目の暗んだ人間というものは。

「そうでなくてもあなたは・・・・・・ユエ・マクスウェルは四大の契約者。絶対に強いはずだ。」

断言されても困りますがそこまで期待されると何も言えません。

「そこまで言うのなら一人で行きますけど・・・・・・でも私は外に出られません。」

「なぜですか?」

聞かれたので財布の中身を見せる。事情を察したのかコウガさんは5百円を取り出し私に押し付けた。これでともに出ろということでしょう。

そんなわけで5百円払い外の世界。『グリム』へと足をつけました。

この踏み心地。百年前を思い出します。

感傷にふけってから歩き出して少しするとコウガの村が見えてきました。

そういえばいつの間にかコウガさんもいませんね。外に出たときは一緒だったのですが。

このまま何事もなく着くといいのですけど

「ぎゃぉぉぉぉぉ!」そうはうまくいきませんね。

魔物・・・・・・いえ、魔獣の登場です。もぐらみたいな大きな生物。爪は大きく人を簡単に切り裂いて人を襲う危険な生物です。

「しかも今は相当荒ぶっているみたいですね。」

卵を壊されて起こっているのか。それとも子供がなくなってしまったのか。

どちらでもありどちらでもないかもしれませんがとにかく荒ぶっています。

それを証拠に目に映った私に向かって走ってきました・・・・・・・。

これはとてもまずいのでは?一応今はかなり離れているので全力で走れば回避できる。

でも次の次はない。第二波以降が来れば躱せる自信がありません。

「さて、どうしましょうか。まぁやるしかありませんよね。」

私は服の内側にあるガンポーチなるものからあるものを取り出しました。

オーバルアーク。少し前にほんのちょっぴり説明された武器です。

無骨な銃デザイン。私が使いやすいように初期よりカスタマイズ。改良を続けた結果バージョンは4.5。最初に比べれば天と地の性能の差を持ちます。

ついでに言ってしまえばオーバルアークは銃である必要はありません。

どんな形でもオーバルアークは性能の違いはあれ、起動するのです。

もぐらの魔獣に向かい銃のオーバルアークをもぐらに向け狙いを定める。充填されている弾は雷撃弾。1週間前に弾に力を込めてもらった一発です。

「これでしっかり撃沈してくださいよ・・・・・・弾には限りがあるんですからね。」

目標もぐらの頭の後ろ。脊髄のあたり。ギリギリで躱しかする様に弾を打ち出す。

これで決まってくれなければお手上げです。

発射された銃弾は狙ったとおりもぐらの魔獣の脊髄を掠る。

その直後弾は破裂。雷撃がもぐらを襲いました。

「きまりました。」

もぐらは倒れピクンピクンしています・・・・・・おや?よく見たらどこかで見たようなもぐらですね。20年前見たことあるような・・・・・・。

はっ!思い出しました。このもぐらは幼稚園の頃のコウガのペットです。

「やっと気づきましたか。」

モグラから声がします。幻聴でしょうか。無視したほうがいいのでしょうか。うわぁ!

もぐらが煙を吐き出しみるみる小さくなっていきます。ある程度小さくなったらボフッと周りを包み込むように煙が霧散。コウガさんが煙から現れたのでした。



次回「子供奪還作戦」


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