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銃剣魔弾の精霊王  作者: 白羽彼方
エピローグ
28/28

新たな約束

 私たちを包んでいた光が消える。

 その目の前にはユエがいた。

 その目は驚いていたようで私を切なそうに見ていた。

「最後の最後でマズってしまいましたか・・・・・。最悪です。」

「なにをまずったの?」

「なにがどうして・・・・・・世の中うまくいかないもののようです。」

『一番大切なものの承認を確認。』

 この門は次元門。ユエが何かを犠牲にしたとでも。

 ユエの一番大切なもの。

 たしかお父さんが聞いた話だと思い出・・・・・・。

「まさか!」

「そのまさかですよ。きっとね。」

 そんなことが・・・・・・あなたの思い出はそう簡単に捨てられるものなの。

「それに今更なかったことにできないですし。」

『その通りだ・・・。もう思い出を封じる手はずは準備している。』

「とのようですよ。でも時間はあるようですね。」

 ギュッと体を抱きしめられる。

 暖かな風の香り、人の体温、どのようにいったらいいのかわからない。

 そのような暖かさを感じた。

「思い出がなくなる前にあなたに、今の時代の親友の一人に会えてよかった。」

「最後の別れのように言わないで。」

「実際に最後の別れかもしれない。でも思い出を完全に消すことは不可能なのですよ。」

 思い出を消すのは不可能?

 思い出を捧げるというのなら全て消えるはず。

「やはり気づいていませんか。あのですね。記憶や思い出と言った脳内シナプスに直結したものは完全には消え去らない。脳の奥深くにあるものだからです。」

そうか。思い出を封印すると門は言っている。

消し去るとは言っていない。

「わかったようですね。思い出す可能性があるのです。脳を取り出してスタンガンで感電させるとかしない限りは。」

「私が生きている間に思い出が戻ることは・・・・。」

「何とも言えません。どれほどの記憶封印の魔法が使われるかわかりませんから。」

 そろそろ時間のようですとハグから解放される。

 ユエはこの世界の皆さんだと思う人たちの方を向いた。

 彼女の性格から考えるにこういうだろう「私はあなたたちを親友だと思っている。」と。

 言葉はまるで再現されたように同じ言葉が出てきた。

 これで終わりなんて最低な終わり方だ。

 涙が溢れ出てしまう。

「泣かないでください。私が死ぬわけではない。それとここからが始まりなのです。」

「始まり?」

「私が思い出を失う。この程度はプロローグにしかならないのですよ。物語は人の手で紡いでいくもの。私が主人公になるなんておこがましい。」

『記憶を封印する手はずが整った。こちらに来るといい。』

「最後にひ一つだけ言わせて下さい。楽しい時間をありがとう。また友達になりましょう。」

『リーディングプロテクション。』

 故の体は瞬間崩れ落ちた。

 近くにいた私は故の体を支えてゆっくりと地面に下ろす。

 顔を覗き込むと死んだように眠っている。

『封印は完了した。いつでも私を呼べるようになったと伝えておけ。』

 門は地面に戻っていった。

 そこにはまるで存在していなかったようにその場が修復されていく。

 ユエは体をずらし何かにうなされるように目を開ける。

「意識を失って・・・・・。ここはどこなのでしょうか・・・・・・。」とユエがこちらを向くとかなり後ろに飛び退いた。飛び退いた先にはこの世界の住人がいて戻ってくる。

「わからない。わからない。大事なことだから二回言うけどわからない。」

「ユエ・・・・・三回言っているわよ。」

「あれ? 同じ言葉を喋べっている・・・・・・ユエって私のことですか?」

 この会話でわかるように完全に思い出を忘れている。

 思い出には彼女のことも含まれていたのだろう。

 自分の名前さえ覚えていないようだ。

「そう、あなたはユエ。ユエ・エリトーゼ。」

「ユエ・・・・・エリトーゼ。なんか大層な名前を持っていたのですね。」

「体操でもなんでもあなたがそう自分で名乗ったの。」

「・・・・・・・私はあなたたちと知り合いだったのですね。」

 この回転の速さはさすがユエと言える。

 しかし私たちの思い出どころではなく数百年にわたる思いで全てを失っている。

 コレはユエであってユエではない。

「悲しい顔をしないでください。状況から察するに私はあなたたちのことは忘れてしまっていると捉えられるのですが思い出を失う前の私があなたにそんな顔をさせたいとは思わなかったはずです。だから悲しい顔をしないでください。」

 性格もユエそのものだ。

 特に知り合いでもなければ問題なく過ごせてしまうほどに違和感がない。

 ユエ本人だから当たり前なのは理解している。

「本当に記憶を失ってしまっているのね・・・・・・深山の命の恩人の記憶が。」

「あなたはこの世界の人間ですよね。私はクレア。あなたもユエの知り合いですか?」

「私は実桜学園の学園長・・・・・・といいてもわからないか。久城院雪花よ。」

「九条院さんね。見ての通りよ。完全に記憶がなくなっている。」

 そのようね、とユエのキョトンとした顔を見ながら言う。

「ちょっと失礼。」

 いきなり九条院さんがユエの目を開く。

 九条院さんがまるで医者のように眼光を覗き込んでいた。

「瞳孔の状態・・・・・・異常なし。外傷もない。」

「記憶障害でなく精神系の封印魔法だから当然ですね。」

「封印魔法・・・・・・こちらの精霊術のようなものでしょうか?」

「そんなことはどうでもいい。」

 男のような口調の赤い髪の少女とある程度冷静な少女がこちらに向かってきた。

 彼女はユエの服の襟を持ち上げる。

 まるでヤクザとか不良が金銭巻き上げたりするときのようだ。

「記憶の封印ということは戻す方法はあるのだろう。」

「あるけどとても難解な魔法な上に失敗したらその魔法は二度と使えない。しかも失敗時のリスクが異常なの。強力な魔法ほど使い道や被害が大きい。」

「それで・・・・・・一応聞くけどその魔法のリスクは?」

「『脳が完全に破壊される』。つまり記憶が戻らなくなる。」

 まだ時間が経てば戻る可能性を考えたほうがいい。

 幸いユエは他の追随を許されない人物。

 今や凡夫な私と比べ抵抗力は高いでしょう。

「あはっ、私を無視して話が進んでいやがりますね。」

「ごめんなさい。ユエ・・・・・・あなたはどうしたいの?」

「私は記憶を取り戻したい。でも急いで取り戻す必要はないです。それよりも私は。」

 周りのみんなを見てユエは笑顔でこう言った。

 今度こそ忘れない。だから友達になってくれますか?

 私たちはその言葉にまを置くこともなく言葉にした。

「当たり前だ。」「当たり前です。」

「私は教師だがな。」「もちろんだ。」

「バッカじゃないの。当たり前。」

「あは、これから宜しくね。」

 私たちはこの時誓った。

 この絆を二度と失くしはしない・・・・・・と。



新たに続編書くかは皆さんの反応で決めます。

少なくても評価が50ポイント超えたら書き始めようかと思います。

皆さんここまで読んでくれてありがとう。

ここまで来てくれた人は品評してくれると助かります。

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