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銃剣魔弾の精霊王  作者: 白羽彼方
三章「精霊王」
26/28

次元門を通る条件

これはなんて条件なのだ。

「姫様。これはいくらなんでもハイリスクすぎです。」

 第一条件に大事な人を失うこともしくは失っていること。

 これは家族が、もしくは親しい人の死を目撃することを指す。

 第二条件が自分の持つ一番大切な何かを捧げること。

 これは必ず実行されるものであり一瞬にして今の状態から変わってしまうらしい。

 もし家族といえば今の家族の人たちの記憶から忘れられてしまうなんて具合に。

 ついでにこの世界にいないものは除く。

 つまりこれは別世界に飛んでいる人間のことは問題ないことになる。

「でもこの門を通ればユエに会えるのよね。」

「はい、この次元門の先は『ジ・アース』という世界で精霊世界の門もそこに繋がっている書いてありますね。」

 確証はない。でもこれ以上言い様がない。ユエは異世界に飛んでいた。

 そう考えるのが単純で明快。

 ラクリマにいないのならそれ以外考えられないといっていい。

 彼女は金銭的面ではそれほど裕福ではないから。

 サンタリアの父君かお嬢様のもとに戻ってきていない以上はそう信じるべきなのだ。

「大事なものを捧げる・・・・・・私の場合は約束された将来あたりかもしれないわね。」

「その程度なら良いのですが・・・。」

 最悪複数の可能性がある。

 その時に何を失うのかわからない。

「不安になってもしょうがない。とにかく次元門の前に行ってみましょう。」

 次元門はすぐそこ。マニュアルによると10メートルぐらいまで近づくと喋るらしい。

 約10メートルあやりまで近づくと門が私達に向かって話しかけてきた。

 知っていたとしてもかなり驚く光景である。

『もふんもふん。お前たちここに何しに来た。』

 しかも挨拶がもふんもふんとか喧嘩売っているようにしか思えない。

「この門を開きに来たの。」

「そのまま話を進めるのですか!」

『まさかマクスウェル以外のものがその要件でここに来るとは思わなかったぞ。』

「━━━━ということはこの門は次元門であっているのね。」

『如何にも、この私自身が次元門と呼ばれる存在である。』

 この門は自らを次元門だと言った。

 ならばそれは間違っていない。奴の口ぶりからすると嘘はつかない。

『で貴様らが次元門を通るための条件は二つある。その一つ目が━━━━

「大事な人を失った姿をみとったこと。それと私の持つ一番大事なものでしょ。」

『その通りである。一時間やろう。その間に答えを出すがいい。』

 予想外の時間猶予が来た。

 てっきり私は人生ハードモード今すぐ言うといいというかと思っていたのだ。

 そんなわけで近場の岩に座って作戦会議的なことを始めることにした。

「私の大事なものね・・・・・・。やはり友達?」

「確かに姫様にとって大事ですが命の次に大切とは思えません。もっと深層心理のものだと思います。」

「私が知らない間に頼っているもの。フレアはそう言いたいのですね。」

 コクンと私は頷く。

 考えずに頭に出るもの出るもの『友達』は代表的。

でもきっとそれは深層心理において下位の存在。

 いわゆる底辺、ドべ、それよりも大切なものはいくらでもあるでしょう。

 それとユエ・エリトーゼは確実に候補から外れる。

 もう一度復唱するがこの世界にいないものは除外される。だからこそこの世界にいないユエは候補から外れる。他の世界に飛んでいるのだから存在しない人物のことは不問となるだろう。とすれば姫様の失うものはなんなのだろうか?

「まだ時間はあるわ。じっくり考えましょう。」


『もうすぐ30分だ。』

「「・・・・・・・・・。」」

 時間経過にして20分。全く頭に浮かばなかった。

 姫様も同じみたいで無言を貫いている。

 ・・・・・・ちょ、まっ、つらい。つらすぎるこの場の沈黙。

 どうにか打破しないと私がつらい。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

『・・・・・・。』

 ・・・・・・なんでこの門も申し訳なさそうに沈黙しているのでしょうか。

 嵐の前の静けさにも似ている。不気味でならない。

 咄嗟に頭を抱えてしまった。それが沈黙を閉ざした。

「頭が痛いの?」『頭が痛いのか?』

 ガツン。

 思わず地面にオデコをぶつけてしまった。

 何? なんなのですかその反応はぁ!

 なんで石の門が生きている人間の心配をしているのぉ!?

「フレア、あなたすごい百面相よ。今度機会があったら顔科を紹介するわ。」

『私も多少心配になってきたのだが馬鹿を治せる医者はいたのか?』

「さぁ、いないんじゃない。」

「さりげなく二人共私のこと馬鹿にしていませんか?」

「うん。」『当然だ。』

「門を一人と数えていいものかわかりませんがお二人共黙らっしゃい!」

 いつの間に結託しているし。

 それにしてもうわぁ・・・・・・石にまで馬鹿にされるなんて屈辱にも程がありません。

 無機物がぁ使い道がなくなったら粉々にくだいてやりますよ?

「さて。冗談はさて置き。」

「冗談ではないでしょう。楽しんでいたでしょ絶対に。」

「私自身の何が大切か・・・・・・それは私が決める権利があるのよね。」

「無視ですか!」

『その通りだ。その価値は人の決めるものではないのでな。別に一番大切なものでなくても大丈夫だ。最終的には深層心理にある一番大切なものと同価値でなければならぬがな。』

「岩にまでスルーされるのですか!」

「ちょっとうるさいわよ。」『うるさいぞ。』

「・・・・・・もう勝手にしていてください。」

 まぁそれにしても深層心理の奥深くにあるものと同価値のものですか。

それ以上に匹敵するものであれば何でも良いと言っているようだがこれは難しい。

その計りも自分深層心理に左右されるからだ。

もし恋人がいたとする。その恋人が家族より付加価値が高い。

そのような状況ならばその価値は深層心理に根付いているものでありそれ以上のものはまず存在しない。そうすると質と量が絶対的にそれより低いということになる。

ごちゃごちゃと並べたがようはどれくらい愛情を注げるかである。

「私の深層心理・・・・・・そのことは教えてはくれないの?」

『命の恩人を助けたいという思いのことか?』

 あっ、そこはちゃんと答えるのか。

 だがやはり物体に囚われてはいけないらしい。

「それを超えるにはどれくらいのものを捧げる必要があるの?」

『そうだな・・・大きい大切なものを3つ程度か。あと15分。』

「しっかりカウントしているのね。たとえば私の心理でお気に入りの人形はどれくらいのパーセンテージを占めているのかしら?」

『ざっと15%程度だな。結構思い入れがあるようだ。』

「あの自作人形にはそんなに愛着が・・・・・・。」

 いやいやいやいや。異常だったでしょうに。

 何回その等身大のユエ人形相手に奇行を行っていたとお思いですか。

 その姿は三回回ってワンを行ったほうがまだいいというほどのレベルの奇行を!

 なんか裸で抱き合っていたりベッドで添い寝したりキスをしたりしておいてあれを愛着がないなんて言えないでしょう!

 だけどそれでさえまだ15%程しかないという事実に驚いた。

「たとえば家族だと?」

『ふむ、家族は一番大切なものの30%ぐらいだ。』

「姫様どれだけユエが好きなのですか?」

「ラクリマを敵に回してもいいくらいには。」

 好きすぎでしょう姫様。

『あと3分だ。カップラーメンの準備はいいか?』

「いや、この場にカップラーメンなんて・・・・・・。」

「いいでしょう。そこにあるスーパーカ○プを頂いても?」

 姫様は何故か岩陰に隠れていたカップラーメンと湯沸し済みのヤカンを発見していた。

 てかどうして湯沸しヤカンもあるの! ちゃっかり割り箸まで持っているし。」

 おかしいでしょこの状況。

「ふっふふーん。」

 姫様は姫様で手馴れた作業でカップラーメンにお湯を注いでいる。

 なんですかその手慣れようは!

 完全にいつも食べていましたって感じじゃないですか。

 一体どこでと思ったところである予想が浮かんだ。

 あの親衛隊のメイド達だ。

 あの人たちは・・・・・・まぁ止められないからしょうがないか。

『3分たったぞ。麺が伸びる前に食べるといい。』

 ズルズルズルズルズルズル。

 割り箸を見事に二つに裂いて綺麗な所作で食べるお嬢様。

 それを促し本題を忘れている石の門。

 ここで私が「一体何がしたいのですか!」と言ったらしらけるのでしょうね。

 はい、わかっています。ツッコミ役が何故か私しかいないことだけは。

 やがて姫様は不衛生食カップラーメンを汁前で飲み干した。

「この濃い味が堪らないわ。」

『それは良かった。とりあえず決まったか?』

「ええ、このようなものを頂いて確信したわ・・・カップラーメンを捧げれば結構元が取れるのじゃないかと。」

「世界の発明を無くすのはやめてくださいお嬢様。」

「ちぇ、冗談なのに・・・・・・今の無しね。」

『いいだろう。少しのお茶目はゆるそうではないか。では今度こそ言うがいい。』

「それはね。」

 人呼吸おいてお嬢様は衝撃でとんでもないことを口走った。

「私の約束された未来。そして地位と名誉を捧げる。」

「姫様!」

 まるで姫様の全てを否定するような言葉の応酬。

 言葉通り姫様は全てを捧げてしまったのだ。

『よかろう。充分大切なものに匹敵する回答だ!』

「姫様。お考え下さい。そのようなものを捧げるものではありません。」

「あれはダメ、これはダメといったのはフレアじゃない。それに絶対に周りを変化させてしまうものしかなかった。だから一番私に被害が出るものを選んだのよ。」

「どうしてユエのためにここまでするのですか。いくら命の恩人だからって。」

「あの時助けに入ってくれなければ死んでいた。あの助けてくれた姿を見て強く生きることを決めた。私はあの姿を見てここまで来たの。だから今度は私が救う番なのよ。何もかも失う覚悟がなくて人を助けることなんてできやしない。リスクがない救いは存在しない。でも助けられる可能性があるのなら・・・・・・助けたいじゃない。」

「姫様・・・・・・。」

『決意もしかと聞いた。今こそお前たちに扉を開こうぞ。そして世界が変わる時だ!』

 門が全てを包み込むような光を放つ。

 体が空気のように軽い。少しジャンプした程度で天井にぶつかりそうだ。

『私が必要な時は『リオール』と叫ぶように。貴方様の前に飛んでいきましょう。』

 私たちは光に包まれたまま何処かへ飛ばされる感覚に陥った。



次回『過去の約束を守るために。』

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