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銃剣魔弾の精霊王  作者: 白羽彼方
三章「精霊王」
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九城院の能力

ユエが引きずられていく。あの意味不明な石の門の場所へと確実に引きずられている。

 あの門の真下に来た時が勝負の時だ。速度からすると合計で5分はかかると思う。

 それまでにこの音の精霊? ヴォイスを倒す必要がある。

「マクスウェル以外の精霊って本当に実在したのね。驚いたわ。」

『あなたには紹介がまだでしたね。音の大精霊ヴォイスです。』

「ご丁寧にどうも私は久城院雪花よ。それで? そこをどいてくれるつもりはないのよね。」

『もちろんです。』とヴォイスがお辞儀をする。

 本当に執事みたいな振る舞い。それでもこのヴォイスが人間ではない風貌をしているためヴォイスが人間ではないことを物語っている。

「そう・・・・・・それなら力ずくで行かせてもらうわよ。」

『はい。九条院さんでしたっけ? あなたの異業の力を見極めさせてもらいます。』

 ゲシュタルト。異形の者を呼び出す術とされている。

 でも実際は違う。あれは理を捻じ曲げて召喚されたもの。

 空間に擬似的蜃気楼を作り出したに過ぎない。

 ようは応用。ゲシュタルトの本当の真髄はここから見せてあげましょう。

「さぁ・・・・・・かかってきたまえ勇敢なる少女よ。」

「言われずともかかってやるわよ。後悔しないでね。」

「きっとあなたが後悔しますよ。ボイスカッター。」

 動きが普通のただの蹴り? そう考えたが相手は精霊である。

 常識など存在しない。蹴りが私の頭の前に来る前に瞬間地面に伏せる。

 みっともないと思ったし地面に顔をつけたいとも思わなかった。

 しかしこれが正解。上の方を何かがすり抜け爆音が響く。

 地面は抉れ、校舎の壁が崩れている。

 正しく音の攻撃。着弾した場所の半径3m周辺が攻撃範囲なのでしょう。

「ヒュウ。まさか初撃を軽く避けるとは思いませんでしたよ。」

「伊達に学園長をしていないわよ。あなたを倒して私の学園の生徒を助け出す。」

「・・・・・・ですがゲームオーバーです。」

「がぁ・・・・・・。」

 なにか強い衝撃によって鼓膜が敗れ私の体が悲鳴をあげる。

 耐え切れずもう一度地面に顔をつけてしまった。

「音での攻撃は間接的な攻撃。触れずともこのようなことは起こり得るのですよ。」

 聞こえない。何も聞こえない。ただ耳の奥が痛いだけ。

 ・・・・・・なんて嘘に決まっているじゃない。

 パチンという音ともに世界が壊れる。壊れた世界は元の世界に再構築される。

「な、なんだ。私が、私が致命傷とも呼べるダメージを受けている。」

「精霊っていうのも脆いものね。たかだかゲシュタルト一発で体が壊れるなんて。」

「い、いつの間に能力を発動させた?」

「異形の者を見たでしょ? それが発動条件。しかし残念ながらあなたの主様とユエには聞かなかったけどあなたには効果があったというわけ。」

「マクスウェル様すいません。私はここまでのようです。」

 倒れたヴォイスは緑の光に包まれ光の粒になった。

 これが精霊の最後ならばなんてあっけない最後なのだろう。

 それよりも今はユエを助けることが先決。

ゲシュタルトが効かずとも助ける方法があるはず。

そう思っていたのが甘かったのかもしれない。

(あ・・・・・・れ・・・・・・。)

 ガツンと頭に強い衝撃が走る。私は上空からの襲撃を想定していなかった。

 相手は空を飛べる精霊だっていたというのに。

「奇襲・・・・・・成功・・・・・・。ワタシの・・・勝ち。」

 まずった。地に倒れながらそう考えていた。


 17 トラブルメーカー兼解決メーカー


 ゆっくり後から見ればいいかなと思ってゆっくり歩いていると爆音が耳に響く。

 近くで耳も塞がず聞けば鼓膜など完璧に破れるくらいに。

「白雪姫? もしかしなくても急いだほうがいいのか?」

「白雪言わないで。まぁありえないほど空気が揺らいでいるからいい予感はしないわね。」

「学生殆どが地震で帰った。変な石の門が出てきたことを知らないだろう。」

 こんな時までその口調を通す必要があるのかと思ったけど一つの可能性として怖いのを隠しているともとれる。この子であれ、緊張する時はするということですね。

 私たちは爆音のした門があった場所に向かう。

 そこでは信じられない出来事が起きていた。

 ユエは男に引きずられ学園長は頭を鳥に似た何かに蹴られていた。

 明らかに異常事態で緊急事態。逃げても文句の言いようのない状況。

「奇襲・・・・・・成功・・・・・・。ワタシの・・・勝ち。」

「まだ生きているな。さっさと止めをさせ。」

 ユエを引きずっている男はユエを引きずりながら鳥のような生物に命令する。

「わかった・・・・・・。」

 鳥のような何かは空高い上空に移動すると急降下する。

 狙いは学園長の頭を狙っていそうだった。

 それだけわかれば対処は簡単。頭を防ぎ切れれば問題ない。

 どんな手を使ってもあの空飛ぶ生き物さえなんとかできれば。

「迷っている暇はない。さっさと助けるよ。」

「無策で助けることはできないわ。学園長を巻き込んでしまう・・・まぁ聞きませんよね。」

 既に百花は鳥に向かって大ジャンプ。一瞬で鳥の真下まで飛び足を掴んだ。

 無鉄砲。考えなしと皆百花に言うがいつも結果がついてくる。

 トラブルメーカーにして解決メーカー。この状況でもそれが発揮できたというのなら。

「どっ・・・せぇいや!」

 彼女が一番この場で判断力があり強い。

 百花は勢いを利用し縦回転。そのまま校舎の方に投げ飛ばした。

 鳥のような物体は光を纏って消えてしまった。

 その間に百花が華麗に着地。本当にこの子って子は。

「二人共やられてしまったか。やれやれやくたたずのやつらだな。」

「なんだかよくわからないが・・・・・・ユエは返してもらうぞ!」

「女のくせにやけに男臭い喋り方だな。いや、故意にやっているように見える。」

 余裕の黒い笑でこちらを見据える。

 圧倒的な力を隠す気もないのか体がコイツは危険だと警報を鳴らしている。

「ほう、そっちの女は私の気を感知できるほどには流れを読めるのか。」

 今まで相手にしていなかったという口ぶり。

 実際にその通りなのでしょう。この男は私たちを既に敵視していない。

 まるで道端の雑草や石のように思っているはず。

 男が油断している今がユエを助け出す最後のチャンス。

「あっ、一つ言っておこう。歯向かうなら容赦はしない。」

 男の言葉が聞こえたと同時に右足と左足を不気味なもので貫かれた。

 まるで形状的には人の骨を抉るために作られた武器である。

 私は圧倒的痛みのせいで動くことも言葉が出すこともなかった。

 反応すらできないとか力が違いすぎる。

「良くも白雪姫を・・・お前だけは許さない!」

「うるさい。邪魔をするな。」

 同じような武器で百花も両足を貫かれた。声にならない悲鳴を百花も挙げうずくまる。

 でも密かに百花は笑っているようだ。

 笑っている顔はやることはやったと言わんばかりの笑顔に見える。

 答えが出るのに時間はかからなかった。

 男の立っている場所が少し盛り上がると火柱が男を包んだ。

 すぐに火柱は消されてしまったけど一つ違う。

「よくも・・・よくも・・・よくも顔に傷を!」

 男の顔に傷がついていた。火傷という傷を。

「お前は・・・・・・殺すだけでは飽き足らないぞ。」

 男は激昂して百花に向かって歩く。百花も私も動けない。

 万事休すかと思ったその時私たちの最強の仲間が動き出した。



次回『歴史史上最大の親子喧嘩』

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