後置きという名のプロローグ
特にまだ述べることがありません
星暦3567年6月。
災厄の痕跡は消え去りマクスウェルが世界から消えたその日とされる日。
ある洞窟の奥に懐中電灯を持つ夫婦二人と二人の赤ん坊の女の子が進んでいった。
洞窟は湿りっけが多く滑りやすく明かりがない。夫婦二人は奥へ奥へと進んでいく。
世界でこの二人しか行ったことのない場所へと進んでいく。
「もうすぐだ・・・・・・。もうすぐあの場所につくぞ。」
「この先に・・・・・・何があるというのですか?」
「私の目的の全て・・・・・・とでも言っておこうか。」
「あなたの全て・・・・・・私はあなたの全てをまだ知らずにいたのですね。」
「知らないのはしょうがない。なにせ数千年も前の話なのだから。」
男が何を行っているかは知らない。しかし何かおかしいとその妻は感じていた。
しばらくすると男の目的場所につく。
洞窟の奥は光が満ちており明かりが夫婦を照らす。
男の方は無精ひげをはやしたハンサム風の男。
女性の方は綺麗でお嬢様という感じの印象が強い。それと女性は赤ん坊を抱えていた。
赤ん坊の顔以外は布に覆われており体全てを見ることはできない。
しかし二人の元気な子供だと断言できる。母譲りの美しく高貴な顔立ち。
まさに男の妻の生き写しのような存在だった。
「やっとたどり着いた・・・・・・ここが夢の終着点だ。」
「この大きな門。もしかして“精霊門”ですか?」
「いや、これは別世界とのつながりを生む私の作り出した“次元門”だ。」
「次元門? 精霊門ではないというのですか?」
「そうだ。」と男は妻の赤ん坊をひったくる。
女性は何故子供を奪ったのかまるで理解できなかった。
これから起きることもまるで夢物語のようなものなのだが理解ができない。
男は自らの子供である赤ん坊を門の目の前で掲げる。
まるで儀式のようだと思った女性は男に問いただそうとする。
しかし女性は動けなかった。まるで金縛りにあったかのように。
かろうじて唇は動かせるが声が出ない。
「お前はそこで見ているがいい。これが━━━━奇跡の瞬間だ。」
その瞬間青く淡い光にその場にいた親子たちが包まれた。
次回「ユエの日記」