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銃剣魔弾の精霊王  作者: 白羽彼方
二章 異世界
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収穫祭


 始まりの洞窟の話を聞いてから六日目。

 姫様は業務の忙しさに寝る時間とお風呂の時間しか自由時間がなかった。

「なんで・・・・・・なんでこんな業務が忙しいのよ!」

「姫様キャラが崩壊しています。」

「仕方がないじゃない。どう見ても人一人が処理できるものではないわ。」

 姫様の言いたいことはわかる。王女様の使命だということも理解できる。

 それでも書類の山は圧倒的。人4人分くらいの書類の山。

 それだけあるには理由がある。秋の収穫祭の準備だ。

 ラクリマの季節周期は3月~5月が春。6月~8月が夏。9月~11月は秋。

 12月~2月が冬である。気温も急に変わるもので春と秋ならば18度前後で夏は23度~38度の間。そして冬はマイナス4度~10度の間である。

 収穫祭は年に春秋二度あり収穫祭は都市あげての大祭り。

 出店したがる人が多く収穫祭約一ヶ月前から王の業務はこのような事態になる。

「もうサボりたい。優雅に紅茶が飲みたい。」

「一応紅茶は用意できますがリムールしかありませんよ。」

「優雅にできなくちゃ意味がないのよ。そもそも調印が王にしかできないのはおかしいわよ。こんなもの優秀なメイドにでもやらせとけばいいのよ。」

 もう本当に本音ぶちまけています。ついにここまで精神汚染が進みましたか。

 先代の王は三日間で職務放棄し逃げ出しその優秀なメイドに捕まり缶詰にされた。

 今でこそ先代は笑い話にしていますが現状を見ているとこれは笑い話にできないです。

 ティーカップ位紅茶を入れて姫様目の前のソーサラーにそっとのせる。

 ゾンビのように手を伸ばしながら姫様はカップを持ち口元に運んでいった。

 行儀悪いとも思いましたが少しは妥協してあげましょう。

「それとですが姫様。書類を片付けるのもいいですが話し合いがもうすぐです。」

「いつも収穫祭をしない区域の王は集まりがいいわよね。」

 まぁ優秀であるが故に暇を持て余しているのでしょうけど。

 特に『メリスクール』の領主(王)は力も知恵も他の王を凌駕する存在。

 王の中の王とまで呼ばれている。その王様はもう会議室に来ている。

 このように王の中に暇な人物がいればかり出したいほど

「キリのいいところまで終わった。会議室に急ぐわよ。」

「はい。」と姫様に気持ちいい返事を返す。

時間はもう迫ってきている。話している時間さえもったいない。

姫様の腕を許可取らずに掴み城内を走る。

会議室の場所は姫様の部屋からそれほど離れていないが歩いて2分の場所にある。

 会議開始まで1分半。走って会議室に向かうしかなかった。

 十分余裕を残し会議室の前に到着。姫様は息切れしながらも呼吸をすぐさま整え会議室へと向かった。これで私の役目は会議室外を見張ることに専念できる。

姫様を守る。それが私の騎士としての仕事と使命だから。


 数十分後会議が終わったかと思うと姫様は疲れきっていた。

「ありえない・・・・・・アレン王の無駄体力には付き合っていられないわ。」

「無駄体力とは・・・・・・俺にとって最高の褒め言葉だ!」

「あなたは・・・・・・正真正銘のお馬鹿よ!」

「ふっ・・・・・・それも褒め言葉だ。だが姫はお疲れのようだ。部屋で休ませておきたまえ。」

 ほかの奴らも同様にと口ずさんだので会議室の中を見る。

 ラクリマの大物たち6人が無防備で突っ伏していた。

 この状況はさすがにまいってしまう。

一人がこの会議室にいる人数を疲れさせたのなら恐ろしすぎる。

関わりたくないこと必死。

私は大物たちを一人ずつ客室に運んでいった。

我が主クレア様に仕えてからそれほど時間は経っていない。

まだ私は騎士5ヶ月という経歴。それなのにどうして厄介事が増えるのだろう。

それもまた運命というものなのか?

いや、決して違うともいえないが決して事実なわけがない。

ただ単にそういう流れができてしまっているだけだ。

ノックダウンしていた6人を運び終えた私は姫様のもとへ向かった。

姫様はより疲れた様子で壁にもたれかかっていた。

「姫様・・・・・・お部屋までお運びします。」

「本当に頭どうかしているわ。あいつは脳筋よ。」

 肩を貸したお嬢様がそう苦味を潰した顔で私に言った。

 これほどまでに愚痴を言うお嬢様は久しかった。

 その顔をしたのは私たちが子供の頃クレア様の両親が喧嘩した時だけ。

 あの時あの場所で起きたことは・・・・・・私とクレア姫。そしてユエの秘密。

 あの頃とタイプは違うがお嬢様のお怒りに触れてしまっていたようだ。

「アレン王が優れた知略を行使するなんて絶対にデマよ。何かが間違っている。」

そのような非科学的なことを言われても・・・・・・私たちの魔法も相当非科学的ですが。

一応は理論が完成されているとのこと。ユエの精霊魔法の原理の証明によって。

一部の魔法使いは知らず知らずに精霊と契約して精霊魔法を使っていた。

解明できた理由は知らない。ただユエは精霊魔法のガス欠が起こる理由として大気に粒子精霊がいなければ発動できないという過剰空論を並べただけかと一度は思った。

 粒子のような精霊はいるはずがない、と。

 でも実際粒子精霊の可視化をする現場をすぐ見ることになったのだ。

精霊門でユエを送った門が発動したとき光が集まっていた。あれが粒子精霊。

普段は絶対に見ることのできない精霊たち。

「それでどんな意見がアレン閣下から飛び出したのでしょうか。」

「猛獣を都市中に解き放ち戦うとか魔獣狩り大会とか俺に勝ったやつが勝利とか。」

 間違いなくアレン閣下が自ら楽しめそうなものばかりだった。

「幸い他の国の王は比較的まともな方たちだったわ。あいつの案を否定してくれていた。」

「アレン閣下以外の王は王といっても力のない統治するだけの王のですからね。」

「争うことはしたくない・・・・・・常にそう考えているでしょうね。」

「しかし姫様。アレン王のテンションは高かった気がするのですが。」

「あいつの気に入りそうで一般人には危害のないものをイベントとして提案したの。武闘大会というね。それと戦い自体は活気を上げるための常套手段だもの。」

 そこだけは的を射ているわとクスクスと姫さまは笑っていた。

 やはり姫様は笑顔が似合っています。ですが愛故に地獄に落としましょう。

「それでは部屋に戻って書類の続きをお願いします。」

「・・・・・・休ませてくれないの?」

「はい、あと二日は缶詰です。」

 絶望したような顔で姫様は崩れ落ちた。


次回「ジャッジ。一日目」

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