世界の支配者
昼頃に囚人が隔離されている地下牢へと向かった。クレア姫様はこの場所にあいつがいるというのだ。レイ・オルテの牢は入口から三番目の場所にいた。
「お嬢様がまた何しに来た。またマクスウェルのことを聴きに来たのか?」
「その通りですよ。ユエのことをもう少し詳しく聞きたいのです。」
「ふっ。ユエ・マクスウェルの方か。いいだろう。あいつがどこに行ったか教えてやるよ。」
本当にこの男はユエ・エリトーゼの居場所を知っているような口ぶり。
しかしこの男の言っていることを信用ができない。
ここに来る前にこの男の話を聞いた。彼は精霊界で女性に暴力を起こそうと目論んでいたらしい。未遂とは言え閻魔大王の直筆の手紙で最後の文に「嘘ではない」と書いてありそれが原因でそのまま牢にぶち込まれているとのこと。
実際本当のことなのだろう。精霊世界闘技場の話。
どうも嘘だと思えない程に正確に描写がされていたとのことだった。
「俺の知りうる情報は精霊界ともラクリマとも違う世界にいったということだ。」
「その世界にはどうやっていくの?」
「残念だがあいつと同じ方法で同じ別世界に行く方法はないだろう。」
どういうことなのか? 彼女と同じ世界に行くには同じ方法で渡れないなんて。
「実はあいつがその方法で渡った時にその手段が途絶えてしまったのが現状だ。」
「精霊界の闘技場には異界門。もしくはそれに酷似した何かがあったということ?」
「さぁな。俺は詳しく知らない。あの方に聞いただけだ。」
「そのあの方の名は・・・・・・だしてはくれないのですか?」
「教えられない。これはあの方の意思だ。」
あの方とはいったい誰なのか。この会話以降もかたくなにあの方について話そうとはしなかった。あの方とはいったいどんな人物なのか。曰く、知っている人物は五万といるそうだ。あの方とはいったいどんなものを望んでいるのか。曰く・・・・・・世界の支配者。
「ふざけている。」
こんなたわけた話がこの私の代で聞くことになろうとは思わなかった。
世界の支配者? そんなものは存在してはならない。力が誇示した政権は必ずといっていいほどに壊されてきた。だからこそ今のゆるい政権があるのだ。
この問題は放置できないほどの問題。そんなことされれば世界がひっくり返る。
問題を何とかするにはどうするべきなのか。答えがでない。
「悩んでいるわね・・・・・・。でも悩んでも解決しないこともあるの。」
「ですがクレア姫様!」
「彼は方法がないとは言っていないわ。彼の言った通りならあの方独特の移動方法がどこかに必ずある。ラクリマ世界図書館に依頼を出しましょう。」
「あの天才的問題児ばかりを集めているあの世界図書館に依頼ですか? 絶対に笑い飛ばされますよ。」と根本的に間違っていると主張してみる。
あの世界図書館のやつらが協力するとは思えないからだ。
「でも逆に興味があることなら笑い飛ばされない。そうでしょう?」
姫様はまるでこの問題が彼らの琴線に触れると考えているのだろうか。
結論が全く違う。彼らは姫様の依頼だろうと笑顔で弾き飛ばせる集団である。
しかし同時に民間的に手に入れられる最高位の称号『管理士』の資格を持つ強者達。
彼らがもし謀反を企てれば国一つが紛争地帯になってしまうという噂まである。
「はい、ですが彼らに姫様自らが依頼に行くのは反対です。行くのならば私が行きます。」
「これは国の一大事の出来事。それを私が直接でばらなくては本気と受け取らないかもしれない。それでも行かせないつもり?」
姫様卑怯です。そのように言われたら騎士は反対できません。
「はっ。クレア姫騎士団団長『フレア・シン・アーシア』が全力で姫様をお守りします。」
「世界図書館には明日行くわ。業務をおろそかにしたらメイド長に怒られますから。」
この時見た姫様は最後の日常を味わうかのように笑っていた。
次回「作戦会議」




