表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
2話:私は裏切り者だから…
7/67

その3・I don't want to kill you...

[クロノ]

マントの去った方向に向かって走る。

クロノ「見つけた!」

マントはこちらを見つけると、逃げ出した。

レオ「逃げてる‼︎」

クロノ「ってことは間違いないってことだ‼︎」


村の外に出る。

マントだからか、相手の走るスピードは速くない。

マント「来るな‼︎来るな‼︎」

クロノ「その声は‼︎」

追いついて肩を掴む。

しかし、マントを脱いで肩を振りほどく。

マキノ「イヤだ‼︎来るな‼︎」

クロノ「ちくしょう‼︎」

再び追いかけようとすると、足元に魔法陣が広がっていた。

近くでもしっかり見ないと分からない程薄く描かれている。

クロノ「これは?」

どうにも嫌な予感がする。

この世界に来た原因の時も、足元に魔法陣が現れ、そこから落ちてこの世界に来た。

穴じゃないにしても、この状況ではロクなことは起きんだろう。

レオ「お兄ちゃん…速いよ…」

レオが魔法陣の中に入ってくる。

サクラ「これは…?」

シーラ「どうしました?サクラさん。」

サクラは異変に気付き、魔法陣の中に入らず、シーラもそれを見て止まった。

レオ「え?何これ…」

何かが発動されようとするのを感じる。

クロノ「レオ‼︎」

右手を伸ばしてレオを掴んで引き寄せ、抱きかかえたまま魔法陣から出る。

その直後、魔法陣から大量の針が飛び出てきた。

レオ「ひっ‼︎」

クロノ「おいおい、うそだろ?」

針が飛び出るスピードと針が人の身長以上の高さにも飛び出てるってことは…

シーラ「レオ‼︎クロノさん‼︎大丈夫ですか⁉︎」

レオ「うん…大丈夫…」

クロノ「俺らを殺す気か?本気で?」

(まさか俺が思っていたよりマキノがダークサイドだったって訳か…いや、違う。そんなはずはない。)

クロノ「何があったか分かるためにも、さっさと追いかけなきゃな。」


再びマキノに追いつく。

マキノ「くっ‼︎」

クロノ「何で逃げたんだよ…」

マキノ「なんでって…死にたくないからだよ…」

マキノの声は恐怖に怯えるかのように震えている。

クロノ「死にたくないってどういう意味だよ…」

マキノ「イヤだ…イヤだイヤだ…死にたくない…」

少しずつ後ずさりをする。

クロノ「何言って…ん?」

すると空から何かビームのようなものが降ってきた。

クロノ「なっ⁉︎」

間一髪避ける。

空から続けてビームが撃ち続けられる。

クロノ「なんだってんだ‼︎」

右手を上にかざし、闇魔力を発動する。

魔力はドーム状に広がり、自分とシーラ達を包む。

やがて砲撃が止み、上から何かが降りてきた。

レオ「メイ?」

クロノ「もしかしなくてもメイだろうな…両足からジェット出して飛ぶなんざメイしかできん。」

マキノ「死にたくない…死にたくない…‼︎」

マキノが走り出す。

クロノ「待て、おい‼︎」

しかし、メイにビームを撃たれ邪魔をされる。

クロノ「メイも殺す気満々かよ…」

サクラ「クロノさん。」

クロノ「ん?」

サクラ「ここは私に任せて、あの人を追いかけてください。」

クロノ「でも…」

サクラ「見失ってしまいますよ?」

レオ「…僕もサクラさんを手伝うから行ってきて‼︎」

サクラ「レオさん……。クロノさん、私達なら大丈夫ですから。」

クロノ「…頼む。シーラ、行くぞ‼︎」

シーラ「はい‼︎」

サクラがメイと戦っている間にマキノが去った方へ向かう。


クロノ「追いついたぞ…マキノ…」

マキノ「はぁ…はぁ…」

クロノ「さーて…死にたくないからとか言ってたけど、ありゃどういう意味だ?」

マキノ「私を…殺しに来たんだろう…?」

クロノ「はぁ?」

マキノ「私は…みんなを裏切った…君にも酷い事をさせたし、ガイアだって私があんなことに協力をしなければ死ななかった…」

クロノ「それで俺たちがあんたにキレて、自分を殺そうとしてるんじゃないかってか?」

マキノ「イヤだ…そんな目で見るな…死にたくない…」

マキノの目は恐怖のせいで正気の目をしていない。

マキノ「違う…殺したくない……それはイヤだけど……そんなこと…」

シーラ「独り言?」

クロノ「いや、多分…自分の中の闇と言い争いかな?」

シーラ「でもクロノさんの時は無かったですよね…」

クロノ「俺の時は多分、心が安定してたんだろう…少なくとも今のマキノよりは…」

だから外の時間が経たないような場所で自分の闇と話し合いができた。

今のマキノはそれどころではないのだろう。

闇と自分の良心と…そこに自分を殺しに来たという俺の存在が引き起こした恐怖とが一斉に騒ぎ立てているせいで、正常な判断が下せなくなってきているのかもしれない。

クロノ「俺はお前を殺したりしない。ラフのみんなも…あんたを悪い奴だとは思っていない…。」

マキノ「ははは…そんなわけがあるか…君は正義に熱い男だ…だから、悪を許さない性格なのは知ってる…だからハンスだって平気で殺せたろう…?ハンスに限らず、今までお前が殺してきた人たちだって…」

クロノ「そうか…俺のあんたへの評価は、『悪人じゃない』だ。あんたは俺に何度も謝った。今も俺やラフに対してやったことを後悔して、反省してる。それなら、お前は悪人じゃない。ただの『被害者』だ。自分が望んでもいない結果を引き起こしてしまった、な。」

マキノ「は…はは…はははは…君のその優しさが…もう……殺し屋の演技にしか見えなくなってしまってる……」

泣きながら笑っている。

クロノ「帰ろう。ラフの奴らがみんな待ってるぞ。」

マキノ「無理だよ…これから先さらに迷惑をかけるかもしれない…いや、間違いなくかける…私はもうあんなことはしたくない、でも、まだまだ色んなことを知りたい…あの計画に加担したのだってその為だ…」

クロノ「それならその時にまたあんたを連れ戻してやるよ。」

マキノ「いや…いや……ダメだ…」

先ほどと同じように、いないはずの誰かに話しかける。

マキノ「違う…やめろ……そんなこと考えてない…やめ……………」

マキノがうつむき、黙り込んでしまった。

クロノ「マキノ?」

マキノ「…………」

マキノが顔を上げる。

マキノ「迷惑をかける相手が…いなくなれば……誰も迷惑かからないよな…」

(なんだその曲解した結論…)

マキノ「………クロノ…………死んでくれないか…?」

クロノ「今度はなんだって…」

自分とマキノの間に魔法陣が浮かぶ。

(この状況だと嫌な予感しかしない‼︎)

クロノ「シーラ‼︎」

シーラ「きゃっ‼︎」

後ろにいたシーラを抱きかかえて、魔法陣から外れる。

魔法陣からは大型の重機に取り付けるようなチェーンソーが飛び出て、自分達の胴体があったところを振り抜く。

クロノ「シーラ‼︎ここから離れろ‼︎いっそ村に戻れ‼︎」

シーラ「でも‼︎」

クロノ「俺に何かあった時にハゼットに伝える役も必要だろう…?」

シーラ「クロノさん‼︎」

クロノ「いいから逃げろ‼︎あんなキツイの相手じゃあ守りながらはできんかもしれん‼︎」

シーラ「クロノさん…無茶しないで…‼︎」

シーラが村に向かって逃げる。

マキノ「…すまない……本当にすまないが…君に死んでもらわないと私が君に殺されてしまうんだ…」

クロノ「安心しろ、俺はあんたを殺しゃあしねぇよ。ただちょっと正気に戻ってもらう為に何発か殴らせてもらうからな?」

マキノ「死にたくないんだ…これからの為にも…みんなの為にも……ラフの人達を殺したくない…また仲間に戻りたい…」

クロノ「戻れる。あいつらの優しさを知らないわけじゃないだろ?」

マキノ「そうだったな…あいつらは優しい……クロノ…死んで…くれ…」

(いよいよ支離滅裂になってきたな…)

マキノ「君を殺すには…この世界の常識から外れた君を殺すには…この世界の常識から壊さなくてはな…なら…何もかもを壊そう…」

マキノの足元に魔法陣が浮き出る。

クロノ「マジか…」

マキノ「『望み壊す改定の境界(ワールドブレイク)』。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ