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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
2話:私は裏切り者だから…
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その2・Brother

[クロノ]

クロノ「さて、準備はできたか?」

マキノがいたという情報を頼りに、マストという村へ向かう。

レオ「大丈夫だよ!」

クロノ「シーラとサクラは?」

シーラ「大丈夫です!」

サクラ「いつでも行けます!」

クロノ「よーし、それじゃあ行こう。闇が相手だ、戦闘することになるかもしれん。心の準備はしておけよ。」


村の入り口へと出て、馬車に乗る。

シーラ「馬車を用意してたんですか?」

クロノ「村長が貸してくれてな。さすがに歩きで行きたくはないだろう?じゃあシーラちゃん、運転任せたよ。」

周りを見る。

まだ朝は早いが、盗賊が2人門に立っている。

クロノ「盗賊っていう割にはちゃんと働くのな…俺は盗賊ってのはもっとロクなものじゃない生き物かと思ってたが。」

サクラ「盗賊とはいえ、善人も悪人もいますからね。」

クロノ「善人悪人か…みんな善人だったらいいのにねぇ…」

シーラ「出発しますよ〜?」

クロノ「おーう、出してくれー。」


マストへと向かう。

サクラ「マキノさんってどういう人なんですか?」

クロノ「一言で言うならマッドサイエンティストってところか?いや、マッドではないな…。研究大好きで何か変な物や新しい物を見つけると研究。本気で熱中してる時には声かけても気づかないくらいだ。でも一応人並みの倫理観ってのは持ってる。だからこそ、逃げたんだろうしな。後はまぁ、お菓子好き?」

シーラ「そういえば、普段は1日3食ケーキだけで過ごしているという噂を聞いたんですけどどうなんでしょうか?」

クロノ「そんな噂は初めて聞いたぞ…。」

レオ「でも朝食はいつもケーキ食べてるって聞いたよ?」

クロノ「うわぁ…」

サクラ「甘党ですか…」

クロノ「お前は?甘いのは苦手か?」

サクラ「私は甘いものより辛いものが好きですねー。」

クロノ「辛いものか…今度麻婆豆腐でも作ってみるか…。」

レオ「まーぼーどーふ?

サクラ「なんか可愛らしい名前ですね。」

クロノ「俺の世界で有名な料理だ。辛めの味付けの料理でな。」

サクラ「へー!作ってくれるんですか⁉︎というか、料理できるんですか⁉︎」

クロノ「材料さえあれば大抵の物は作れるぞ。」

シーラ「クロノさん、お菓子作るのすごく上手なんですよ!」

サクラ「は〜…いいな〜……クロノさんのお菓子も食べてみたいですね…。」

クロノ「甘いのは苦手なんじゃ?」

サクラ「苦手とは言ってませんよ?辛い方が好きってだけです。」

そんな感じで雑談しながら数時間。


シーラ「着きました。ここがマストです。」

クロノ「着いたか…」

リースより田舎な村だ。

シーラ「ここがガイアさんの…」

そして死んだガイアの妹が住んでいるという村。

レオ「どうするの…?」

クロノ「聞いて回るしかないだろう…分担しよう。俺とサクラ、シーラとレオだ。」

シーラ「はい!」

レオ「うん!」

サクラ「分かりました!」


数十分後。

クロノ「…で、人を探してるんですけど…こう…白い服を着た人を見なかったっすか?」

村人「白い服……白…あぁ…確かに見たが…」

クロノ「いまはどこに?」

村人「いや、見たのは数日前だし、そいつと話したとかじゃなくて遠くから変わった服着てるなぁってちょっと見ただけだから…」

クロノ「そうっすか…」

村人「うーむ…アリシアって子に聞いてみたらどうだい?」

アリシアに…か…

クロノ「アリシア?」

村人「あぁ。早くに親を亡くしてるけど、しっかりしてる子だよ。あの子はまだ子供だけど、アリアンテって町に働きにいった兄のところに年1,2回くらい外に出てるからな。多分外の事情に関してはあの子は詳しいよ。」

ガイアが死んだことは村人ですら知らないのか…

クロノ「ありがとう…聞いてみるよ…」

村人「あそこの青い屋根の家だ。」

見てみると、既にシーラとレオがいる。


クロノ「シーラ、レオ!」

シーラ「クロノさん!」

レオ「どうだった?」

クロノ「アリシアに聞いてみたらいいんじゃないかって言われたよ。」

シーラ「私もです。」

クロノ「気は重いが…言わなきゃな…」

レオ「言っていいのかな…だって…家族が死んじゃったなんて…」

クロノ「だが黙ったままなのもダメだろう。」

アリシアの家のドアをノックする。

ドアが開き、中からアリシアが出てくる。

まだ1度しか会ってないが、顔を覚えていた。

アリシア「はい…あれ、アリアンテの…クロノさん?それにレオくん?」

向こうもどうやら覚えていたようだ。

クロノ「久しぶり。1年ぶりくらいか?」

アリシア「どうしたの?私の家まで…」

クロノ「ちょっと…聞きたいことと言わなきゃいけないことがあってな…家入れてもらっていいかな…?」

アリシア「あ、はい…。散らかってますけど、どうぞ。」


アリシア「はい、お茶。」

クロノ「ありがとう。」

アリシア「それで…えっと…聞きたいことと言わなきゃいけないこと…?」

クロノ「あぁ…先に…言わなきゃいけないって方から言おう。」

アリシア「なんか只ならぬ雰囲気というか…暗い…けど…。」

クロノ「あんたにとって、悲しい話だからな…。」

アリシア「悲しいって…どういうこと?」

クロノ「ガイアのことだ。」

アリシア「お兄ちゃん…?お兄ちゃんに何かあったの…⁉︎怪我したとか…」

クロノ「その…なんだ…」

アリシア「…うそ……冗談だよ…ね…ちょっとひどい怪我したってだけでしょ…?」

自分達の雰囲気から察してはいるようだ。

クロノ「ガイアは…死んだ…」

アリシア「………ほんとうに……?うそじゃ…なくて……?」

クロノ「嘘じゃない…。数週間ほど前にレギオンが来たのは知ってるだろう?その時に魔獣退治の任務を当てられていたんだが…」

アリシア「じゃあお兄ちゃんは、軍の任務で死んだってこと…?」

(どうする…どう言う…?あれは任務で死んだわけじゃない…正直に言うか…?それとも…いや……正直に言おう。)

クロノ「その任務ってのは嘘だったんだ。ガイアのことを邪魔に思うやつが軍にいた…。そいつが偽の任務を与えてガイアを騙して殺したんだ。」

アリシア「…そんなの…ひどいよ……」

クロノ「ガイアの仇は取ったさ。でも…あの人はもう戻ってこない……」

アリシア「軍なんて危ない所にいるからいつかは死んじゃうんじゃないかって…魔獣とかに襲われて…だからちょっと覚悟してたけど…そんなのあんまりだよ…」

クロノ「前の町長が…今は新しくハゼットが町長になったんだが、陰謀を企んでいてな。ガイアのことだからそれを知ったら止めに入るだろうと考えた町長に殺されたんだ。」

アリシア「…お兄ちゃん……」

クロノ「すまない…」

アリシア「クロノさんは悪くないよ…それにお兄ちゃんらしいし…。」

クロノ「らしい?」

アリシア「お兄ちゃんはね…昔からヒーローみたいな人でね…誰かが陰でいじめられてたら、相手が何人いてもいじめられてる子を助けてたの…。まだお母さん達がいた頃に…アリアンテじゃないけど町に行ったことがあるの…。その時に路地裏で子供がいじめられてて…6人くらいにいじめられてたかな…それでも助けに行ってたんだ…」

クロノ「正義漢ってのは昔からだったのか…」

アリシア「結局負けちゃったけどね…。その後大人が入って来なかったら、酷い目に遭ってたんじゃないかな…。でもお兄ちゃんの正義は本物だったってことだよね…」

クロノ「それは間違いないさ。あの人はすごく良い人だ。」

アリシア「ありがとう。」

クロノ「いや、礼は…」

アリシア「クロノさんが教えてくれなかったら、いつまでも帰ってこないお兄ちゃんの帰りを待っちゃうところだったもん。お兄ちゃん、あたしが誕生日の時だけはいつも帰ってきてくれるんだ…」

クロノ「誕生日…?」

アリシア「来月誕生日なの。」

来月なんてすぐそこのようなものじゃないか。

アリシア「それで、聞きたいことの方は?」

クロノ「ん、あぁ。人探しをしているんだが…」

アリシア「人探し…?」

クロノ「あぁ。マキノって知ってるか?ラフの仲間だったんだが…」

アリシア「うん、知ってるよ。何回も会ったことあるし。マキノさんがどうかしたの…?」

クロノ「姿を消してしまったんだ。この村で目撃情報があったっていうから来たんだが…」

アリシア「……いや、あたしは聞いたことないな………。」

クロノ「そうか…ならいいんだ。すまなかったな。」

アリシア「ううん、こっちこそゴメンね。」

クロノ「それじゃあ…元気出せよ?」

アリシア「うん、大丈夫…また来てね。」


アリシアの家を出る。

サクラ「あの子…泣くの我慢してましたね…」

クロノ「両親が亡くなって兄も亡くなって…それでも泣くのを我慢して俺らに心配をかけないようにしてたってことか…ホントにいい子だな…。」

シーラ「あれって…」

クロノ「どうした、何か見つけたか?」

シーラが向いている方を見る。

マントを被った何者かがどこかへ村を離れようと歩いている。

クロノ「上から被るように…怪しいにも程があるな…」

アリシア「クロノさん‼︎」

家からアリシアが出てきた。

クロノ「アリシア?どうしたんだ?」

アリシア「その…実はマキノさんの場所知ってます!」

クロノ「なんだって?」

アリシア「マキノさんが私の家に来て、匿ってほしいって…誰かが自分のことを聞きに来ても言わないでほしいって…」

クロノ「それがどうなって教えてくれることになったんだ?」

アリシア「二階に匿ってたんですけど、クロノさんと話した後に二階に行ってみたらいなくなってて…」

レオ「どういうこと…?」

クロノ「俺の予想が合ってんなら、話聞かれててそれでアリシアに対しても罪悪感が湧いていられなくなった…って感じだな。」

アリシア「今どこにいっちゃったかは分からないけど、そんな遠くにはいないはず…」

シーラ「もしかして…」

クロノ「アレかもな…」

さっき見た、謎のマント。

クロノ「追いかけてみよう。」

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