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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
4話:少女純愛応援歌
18/67

その1・A invitation card

[クロノ]

クロノ「リミ。」

ミーア「り…み。」

クロノ「そうそう。リミだ。」

ミーア「リミ!」

クロノ「そうだ。なかなか言えるじゃないか!」

キキョウ「順調か?」

リンカから帰って1週間。

ミーアはとりあえずゲストとしてヒーラーに迎え入れた。

意思疎通の手段として、とりあえずミーアに言葉を覚えさせようということになり、ヒーラーのメンバーの名前を覚えさせ、ある程度の言葉を覚えさせた。

ワーキャットの特徴なのか、ラ行の発音が難しいようだ。(日本語でいうラ行という意味だが。)

クロノ「1週間だが、中々の成果だと思うぞ?ある程度の会話ならできる。できない部分は身振り手振りで何とかなるかもしれない。」

ミーア「ミーア、あたま、つよい?」

クロノ「あぁ。かなりな!」

ミーア「ミーア、つよい、うれしい!」

ちょいちょい使う言葉間違えるのも何とかなるだろう。

サクラ「ミーアさんっていくつなんでしょうね?」

クロノ「あ〜…。ってか、森の中に住んでたんだろ?何歳だ〜とか、そういうの分かるのか?」

キキョウ「聞いてみなければ分からんかろう。」

(ミーアには、歳についての言葉をまだ教えていないから…)

クロノ「ミーアは生まれてから何年経った?」

ミーア「しらない。さむいと、あついを、てが、にかいくらい、うまる。」

といって両手を広げて見せる。

リンコ「手が2回?」

クロノ「20回ってことか?両指が2回分埋まるってことなんだろうから…」

ジュリ「20歳ってこと?あたしより年上?」

クロノ「お前20いってなかったのか。」

ジュリ「え、そこから?」

クロノ「2回くらいってことはジャスト2回ではないってことか?まぁ、細かいことはいいか。俺もそのぐらいだな。」

ミーア「クロノも、おなじ?」

クロノ「あぁ。同じだ。」

ミーア「どうし‼︎」

同志か。


コンコン。

ドアがノックされる。

クロノ「はいはーい。今開けまーす。」

ドアを開けると、いつぞやの手紙を届けにきた警備隊がいた。

警備隊「クロノさんとキキョウさんお手紙です。」

クロノ「はいあんがとさん。あんた、もうお手紙係で定着しちまったな。」

警備隊「盗賊だった時も実際に手を出すよりこうやって色んな届け物とか雑用してましたから。」

クロノ「戦えなかったの?」

警備隊「私、魔法使えないんです。一切。」

クロノ「魔力がないってこと?」

警備隊「はい。一切です。」

クロノ「あらら。」

警備隊「ですから、私のこれは天職だと思います。」

クロノ「それだと、警備隊ってよりは配達員だな。」

警備隊「改名しましょうか?」

クロノ「アリかもな。はっきり役職区別してた方が分かりやすいかもしれないし。」

配達員「では、私はこれから配達員ですね。今後ともよろしくお願いします。」

クロノ「はいよー。そんじゃ。」

配達員が手紙が入ったカバンを手に持って次の家へと向かっていった。

クロノ「まだ子供なのにねぇ。」

キキョウ「いや、あやつは子供ではないぞ。」

クロノ「え、まじ?」

キキョウ「あれは少なくとも30はいっとる。ドルグマノに占い師がおったじゃろ?あれと同じ種族じゃ。ドワーフと言っての。男も女も背が小さく、力も魔力も非常に優秀なのじゃ。あやつが魔力は使えないというのは、おそらく10年前の災害のせいじゃろう。」

クロノ「災害?」

キキョウ「奴らは北の山に住んでおっての。あぁ、お主が行ったベルージアからは遠い場所じゃが、ある日その山の雪が崩れたのじゃ。」

クロノ「雪崩か。」

キキョウ「お主の世界ではそういう言葉があるのか。まぁ、その雪崩という奴で、ドワーフは大半が被害を受けた。雪崩に巻き込まれて運良く生還できた者には、ドルグマノのドワーフのように、何かの後遺症を持つことになった哀れな者たちがいる。あやつも、それに巻き込まれたに違いない。そこから逃げ、たまたま出会った盗賊達に出会い、そこで養ってもらっていた、という経緯かもしれぬな。」

カサンドからもいくつか過去を聞いたが、あの盗賊達、商人の馬車に悪さしていた以外にはむしろ良いことをしていたとしか思えない。

クロノ「そいつはまたキツイな…」

サクラ「それで、手紙は何が書かれてるんです?」

手紙は2通あった。

クロノ「俺宛のはハゼットからの手紙だな。」

ハゼットは自分から来たと分かりやすいように、わざわざアルファベットで「laugh」と差出人名の横に書いている。

字は俺が教えた。

クロノ「キキョウのは…はい。」

キキョウ「うむ。」

キキョウに手紙を渡す。

キキョウ「さて、いったい誰からの…うん?」

クロノ「どした?」

ジュリ「どしたの?」

サクラ「差出人名が書かれておらぬ。」

クロノ「書いてない?マジ?」

サクラ「うむ。差出場所と言うか、どの町から来たみたいなのは書いてあるがの。レキュリエテからじゃ。」

クロノ「レキュリエテ?」

どっかで聞いた名前だな…どこだっけ。

キキョウ「レキュリエテとは、ここから北東にある町で決闘場が有名じゃな。ワシは話でしか知らない。」

クロノ「あぁ、思い出した。レギオンの時にカンザーさんから聞いたんだった。」

リンコ「決闘場ってことは、決闘をする場所ですよね?決闘って何をするんです?」

キキョウ「文字どおり決闘じゃよ。人と人。あるいは人と魔獣。それらが己の力を示す為に闘い合う。レキュリエテはその大会を毎年夏に開いているのじゃ。」

リンコ「あぁ…イタリア辺りで昔そういうのありましたよね。」

クロノ「グラディエーターってやつか。しかし、なんでまたそんな場所から…?」

キキョウ「レキュリエテにも部下はいるからの。もしかしたら、何か面白い情報でも持ってきたのかもしれぬ。」

キキョウが手紙を開け、中を見る。

キキョウ「おや?」

リンコ「どうしました?」

キキョウ「これはクロノ宛か?」

クロノ「は?キキョウのじゃなくて?」

キキョウ「封にはワシの名前が書かれておるが、中身はお主宛じゃ。読んでみよう。」

『カミヅキ・クロノ様


レキュリエテにて毎年夏に開かれる闘技大会に、参加者として貴方を招待致します。

ぜひとも、お越しください。


青の魔術師』

キキョウ「とまぁ、闘技大会からの招待状じゃな。」

クロノ「いやまぁ、そこはいいにしてだ。」

表向きにはなぜか俺がレギオン倒したってことになってんだから、そんな有名人来ちゃったらそりゃあ盛り上がるだろう。

問題はそこじゃなく…

クロノ「なぁ、キキョウ。俺やお前がこの村にいるのって知れ渡ってんの?」

キキョウ「いや、そのはずはない。お主に関しては、顔は知られておらぬはずじゃし、ワシもシーラもお主の情報を漏らしてはおらぬ。ワシ自身も、リンカからいなくなったということが広まっていたにしても、リースにいるということは誰も知らぬはず…。」

クロノ「随分キナ臭い手紙だなぁおい。」

キキョウ「それに、中身の方には手紙の差出人の名前が書かれておったな。『青の魔術師』と。」

サクラ「レキュリエテの三騎士の1人?」

レキュリエテ三騎士とは、闘技大会を指揮している3人の騎士のことだ。緑の弓兵。青の魔術師。紅の剣士。紅の方は顔を知る者はおらず、この差出人は顔が知られている方の青色から送られてきた。

キキョウ「む、もう二枚入っておったか。どれどれ。」

『貴方がたに関する情報は、我々が独自に入手したものであり、これらを第三者には漏洩させません。ご安心ください。貴方がたの秘密は守られております。


青の魔術師』

クロノ「ほっほーう。」

あっやしー。

キキョウ「もう一枚は…これはワシの部下からじゃな。」

『キキョウ様


この手紙を怪しんだことでしょう。

私自身も驚いております。

私がこの手紙を受け取ったのは、私が貴方がリンカを出て、リースに拠点を置いたことを知った日です。

そこに青の魔術師が現れ、その招待状をキキョウ様に渡してほしいと頼まれたのです。

私がキキョウ様の部下であることは、一切他言していません。

キキョウ様に関する情報は一切誰にも話していません。

これは私が思ったことなのですが、この手紙に悪意は無いかと思われます。

私にその招待状を渡した青の魔術師は、特に怪しい素振りをしておりませんでした。

とはいえ、異常なことでもあります。

どうか、お気をつけください。


レブ』

クロノ「なるほど。」

キキョウ「レブは部下に信用のできる順番をつけるとすれば上位にいる者じゃ。じゃから、奴が他言しておらぬと言うのならしておらぬだろう。ということは、この青の魔術師はかなり愉快なソースを持っているということじゃな。」

クロノ「怖いねぇ。」

キキョウ「お主は参加するのか?」

クロノ「あぁ、しちゃおうかな。なんのつもりで招待状送ってきたのか確かめてやらなきゃ。」

サクラ「ハゼットさんの手紙はどうなんです?」

あぁ、忘れてた。

ついでに、字が読めないことも忘れてた。

クロノ「読んでくんない?」

サクラ「はいはい。えーと…………はぁ?」

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