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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
3話:悪者街と情報屋
14/67

その5・Mafia

[クロノ]

ジュリ「本当に1人で行くんですか?」

クロノ「あぁ。」

先ほどドルグマノの男から聞いたドルグマノのアジト。

そこのボスからカノディアのボスのヒントを聞き出すために、アジトへ潜入する。

クロノ「潜入ってのは単独の方がやりやすくてな。ジュリはカノディアの時にしっかり働いてもらうよ。」

ジュリ「分かりました。気をつけてください。」

クロノ「任せとけ。キキョウもよろしくな。」

キキョウ「任せておけ。ワシの方でも情報収集は続けておく。」


ドルグマノのアジト近くの家屋の屋上。

クロノ「これがアジトの入り口か…」

見た感じはただの家屋だ。

だがあの男が言うには、隣り合っている家々は繋がっており、本当は1つの大きな建物であるのだそうだ。

屋上を伝い、アジトの建物の屋上に立つ。

クロノ「どっかから入れないかなっと…」

どこかにいい入り口はないものか。

男が言うには、ボスの部屋はこの大きな建物のど真ん中にあるらしい。

どこから入られても1番遠いところにあるからとそうなったらしい。

クロノ「このベランダから入るかな。」

ベランダを1つ見つけて降りる。

ベランダから中に入るためのドアが一つあった。

クロノ「鍵は…まぁ、開いてないわな。」

当然だろう。

クロノ「中に人の気配は…無いっぽいかな…」

ソードを使いドアを斬る。

ドアを静かに壊し、中に入る。


中には人が何人かいた。

だがドルグマノの構成員ではなく、捕まった人だろう。

みんなこちらに気づいていないようだ。

気づいていないというより、ボーッとしている。

クロノ「またクスリか。」

部屋の棚には機械があった。

手回しで葉を粉にする機械のようだ。

クロノ「これで粉にして吸うってか?これはラパレリャの葉じゃないな。また別の麻薬か。」

1人の男が座りながら喉を掻きむしっている。

首から血が大量に出ている。

おそらく、俺がここに入る前から既に掻きむしりまくっていたのだろう。

どう見ても、致死量の出血だ。

クロノ「血が出てるのにやめないとは…」

やがて男が動かなくなり、パタンと倒れた。

クロノ「これは本当にキツイな。」

部屋の外へ出る扉を探す。

扉を静かに開け、廊下へ出る。

クロノ「見つかりませんよーに…」


道が二手に分かれている。

手前で右に曲がる道と、少し奥に進んでから右に曲がる道。

手前の方の道を覗き込む。

男が2人話しているのが見える。

その向こうに扉が見える。

クロノ「建物の真ん中ってんならこの道が合ってるんだと思うんだがなぁ…」

こちらを向いていないので、通り過ぎ、奥に進む方の道に進む。

すると向こうから足音が聞こえてくる。

(やっべ。来るなこれ。)

天井に飛び、自分の右手を天井に付ける。

闇魔力を流し、天井と自分の右手を繋ぐ。

足音の主は自分の真下を通り過ぎ、自分が来た道を戻っていった。

(っぶねー。ギリギリのタイミングだったぜ。)

床に降り、男が来た方の道を進む。


また同じように、手前で曲がる道と奥で曲がる道との分かれ道に出る。

手前の方を覗くと、また2人の男が話しているのが見える。

クロノ「絶対これだよなぁ…どこぞの蛇なら麻酔銃を使って…そうか、その手があったか。」

手を銃を持つ形にし、魔力を集める。

右手に銃が浮かび上がる。

銃で男の間の床を撃つ。

床に着弾した魔力は白い煙をあげ、その煙を吸った男たちを眠らせる。


男たちの通り過ぎて、扉を開ける。

扉の向こうは大きな広間のようだ。

柱の後ろに隠れ、人目を避ける。

あちこちで構成員の話し声が聞こえてくる。

クロノ「見つかる前にどっかどっか…」

壁を見ると、小さな鉄格子のような物を見つけた。

クロノ「ダクト?ってことはどっかに繋がってるのか?」

よく分からないがここにいるよりは見つからないだろう。

鉄格子を外し、中に入る。

鉄格子を閉め、どんどんと奥へ進む。

クロノ「狭ぇ…」

匍匐前進とはこうもやりづらいものだったのか。

大きな音を出すわけにはいかないからすばやく動けない。

ダクトをしばらく進んでいくと、上にも通路が繋がっている場所に着いた。

壁にはハシゴがつけられている。」

クロノ「上か。上の方が良いだろうな。」

ハシゴを登り、再び横向きの通路に出て、匍匐前進を再開する。

数十分匍匐前進し続け、やがて下で聞こえていた声が突然遠くなった。

クロノ「壁を超えたのか?ってことはここはあの広間じゃないのか。」

代わりに、別の男が何かを話しているのが聞こえる。

男「…だがなぁ、その方法じゃあ安心できないだろ。そりゃあ確かに奴らに刃向かえるほどの力と勇気があるアホがいるなら話は別だがな?それに、俺はこの町を支配したいんじゃなくて、俺が生まれたケイネン地区を取り戻したいだけなんだ。…あぁ?…あぁ、それはまぁそうだが…フヌケじゃねぇ。初めからそう言ってるだろうが。天下だとか町とかに興味はねぇんだよ。」

内容から察するに、ドルグマノのボスだろう。

男「分かったろう?ならとっとと部屋に戻ってろ。そこまであんたの占いの通りにはいってたまるか。俺だっていそが…なんだよ……?本当に言ってるのか?上…?」

(何の話だ?上?)

男「敵意は無いって…侵入者には変わらんだろうが!」

(ばれてる?)

男「降りてこい‼︎」

突然、ダクトの床が抜ける。


クロノ「おぐほぉ‼︎」

落ちた先はどこかの部屋のようだが、ボスがいたわけだし、ボスの部屋なのだろう。

ボス「本当にいやがった…おいてめぇ!」

ボスに襟を掴まれ、持ち上げられる。

まだ若い、二十歳前後の男だ。

だが声が物凄いダミ声だ。

クロノ「あー待って待って!落ち着いて!」

ボス「何の用でこんなことしてんだ⁉︎おぉ⁉︎」

クロノ「いや、あんたからお話聞きたいなーって!正面から聞こうとしてもどうせ話したがらないでしょ⁉︎だからここまで潜入して来たんだよ‼︎」

ボス「なにをふざけたことを抜かして…」

突然、ボスの背後からフリップのような物が飛んできた。

ボス「いって‼︎何すんだおい‼︎」

それのせいで自分を掴んだ手を離す。

フリップには文字が書かれていたが、読めない。

ボス「……本当なんだな?」

フリップを投げた女の子が頷く。

クロノ「なにその子…?」

ボス「てめぇには関係ねぇよボケが。オラ立て‼︎」

クロノ「あーはいはい、立ちます立ちます…。」

ボス「座れ…ほら…」

ボスが椅子に長椅子に座り、机を挟んだ反対側の椅子に座るよう促す。


ボス「んで、聞きたいことってのはなんだ?」

クロノ「その前にちょっといい?」

ボス「なんだよ。」

クロノ「いや、ここまで不法侵入してきた俺が言うのもなんだけどさ。こんなにもスムーズに話聞いてもいいの?」

ボス「こいつがテメーは敵じゃねぇって言うんでな。こいつが言うんなら間違いねぇ。それなら、今は少しでも敵を減らしておきたいってだけだ。」

ボスの横にちょこんと座っている女の子の頭をポンポンと叩く。

クロノ「その子…何者?」

突然フリップをこちらへ投げつけてくる。

クロノ「あぶねぇ‼︎」

ギリギリ頭を横にずらして避けられた。

ボス「こいつはガキみたいな見た目だが、400歳のババァだ。ガキ扱いするとキレるんだよ。」

女の子が隣のボスにも攻撃しようとするが、器用にあしらう。

ボス「なんてことはねぇ。ただの占い師だよ。てめーには関係ねぇ。」

占い師がフリップを指差す。

フリップには文字が書かれている。

クロノ「読めってこと?」

占い師が頷く。

クロノ「ごめん、俺字読めないの。」

ボス「字が読めない?お前ガキの頃何して育ったんだ?」

クロノ「あぁ〜…」

異世界とは言えないな…

クロノ「ちょっと昔にそういう呪いみたいなのにかかっちゃってね。それ以来この文字が読めなくなったんだよ。」

フリップを占い師に返す。

ボス「そいつはまた面白い呪いにかかったな。」

ボスがフリップを覗く。

ボス「あぁ、自己紹介がしたかったのか。こいつはメルト。占い師だ。ちょっとした事件で喋れなくなっちまってな。俺がこうして預かってるんだ。」

クロノ「占い師…」

ボス「意外と当たるんだよ、こいつの。んで、聞きたいことは?」

クロノ「あ、そうそう。実は俺ちょっとした依頼受けててね。んで、それがあんたにもちょーっと関係してるから、あんたから何か話でも聞けないかなーって。」

ボス「その依頼ってのは?」

クロノ「カノディアのボスの暗殺。」

突然ボスが立ち上がる。

ボス「俺をおちょくってんのか?」

クロノ「おちょくってもねぇし、嘘でもねぇよ。あんた、カノディアのボスと戦ったことあるらしいじゃん?その時のことを教えてほしいんだ。相手がどんな能力を使ったかとか…」

ボス「ふざけやがっ‼︎」

横からメルトがフリップを投げてボスを制止する。

ボス「ちっ…あぁ、そうだよ。戦ったよ。それのせいでケイネン地区を取られちまったけどな!相手がどんな能力使ったか?知らねぇよ。気がついたら後ろにいて、戦う前に負けたんだ。」

クロノ「気がついたら?」

ボス「俺は辺りを何回も見回したんだ。自分の後ろも何回も見た。体グルグル回して、全方位見た。なのに後ろを取られたんだ。後ろからナイフを首に当てられて、死にたくなかったら負けを認めろってな。」

クロノ「360度見て見つからなかった…」

ボス「これで全部だ!おしまい!俺は奴に惨敗したんだよ‼︎文句あるか⁉︎」

クロノ「もしかして…」

ボス「なんだよ…」

クロノ「相手は透明人間になれる…?」

ボス「とうめいにんげん?なんだそれ?」

クロノ「そのままだよ。自分の体を透明にする。相手からは見えなくなるんだ。」

ボス「ほう…そりゃまた面白い仮説だな…」

クロノ「サンキュー、分かったよ。ありがとう。」

ボス「おい待て。」

クロノ「何さ。」

ボス「お前名前はなんだ。」

クロノ「カミヅキ・クロノ。」

ボス「お前がカミヅキ・クロノ⁉︎そうか…俺はモンドだ。レギオン倒したあんたなら、あのクソッタレを倒せるかもしれんな。」

クロノ「あぁ任せろ。」

ボス「一個頼みがある。」

クロノ「頼み?」

モンド「奴を倒したら奴が支配している地区はあんたのものだが、ケイネン地区だけでも俺によこしてくれ。情報やったんだ、別にいいだろ?」

クロノ「いや、むしろ全部あげるよ。俺いらないもん。」

モンド「いいのか?」

クロノ「いいけど、なんでまたケイネン地区?が欲しいの?」

モンド「なんだっていいだろ…」

クロノ「生まれ故郷?」

モンド「てめっ⁉︎どっから聞いてやがった‼︎」

クロノ「別に恥ずかしがることないのに。」

モンド「恥ずかしいってわけじゃねぇよ。自分の生まれた家がある所を守りたいってのがそんなにおかしいってか?」

クロノ「ぜーんぜん。なんにせよ、ケイネン地区だけじゃなく、全部やるよ。この町にはキキョウが目当てで来たからな。土地に興味はねぇし、あってもここに来ねぇんだから意味ないもん。」

モンド「あの女狐か。」

クロノ「安心しろ。カノディアみたいなのは嫌いなタイプなんだ。確実に殺してきてやるよ。」

モンド「お前…マフィアとかに所属したことあんのか?」

クロノ「ないよ?むしろマフィアとか実はあんま好きじゃないよ?」

モンド「お前の殺気…その辺の並のやつが言う殺すとかとは全く違う凄みがある…。うちの構成員にでもそんな奴はいねぇ…。」

クロノ「そりゃどーも。」

モンド「せいぜい死なねーようにな。奴らに捕まったら何されるか分かったもんじゃない。」

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