キブシ
嘘をついてはいけない……そう習わなかった……?
4月1日エープリルフール
「ねぇ、奈梨。今日って嘘をついてもいい日なんだって」
人里離れた屋敷。此処に来る人は誰もいない。私達姉弟も人里に降りていかない。此れが私達とお祖父様との間に交わされた契約。
「留偉だめよ。契約を破っては叱られてしまうわ」
「ごめんなさい……」
弟が人里に降りていきたいのは分かる。私だって降りていきたい。同じような年の子供達と遊んでみたい。でも、其は出来ない。
此処で自由に暮らす代わりに人との関係を断つ契約。この契約の意味を私はわかっていなかった。
『私も人里に降りてみたい』
ついに私の自制心はきかなくなって私達は人里に降りた。
「凄い。いろんなものがある‼」
「奈梨は知らないだけだよ」
「貴方達見かけない顔ね」
声をかけてきたのは私達と同じくらいの年の女の子。
「一緒に遊びましょう」
「「うん」」
「もーいーかい」
「まーだだよ」
「もーいーかい」
「もーいーよ」
かくれんぼっていう遊び。
「岬ちゃんみっけ」
「鈴ちゃんみっけ」
「音苑ちゃんみっけ」
「あ、奈梨ちゃんと留偉くんみっけ」
見つけられた瞬間鬼役の女の子がたおれこんだ。
「え?」
「この子達何?恐い」
私達は屋敷に逃げ帰った。
次の日、お祖父様が来た。何でこんな時にって言いたいけど、言えない。だって契約を破ったのがばれるから。
「お前達、契約を破ったな」
「……破ってませんが」
「いや、破った。そして今嘘をついた。もう此処には居させられない。ワシの所に来てもらう」
そして、私達が魔法使いだということを知った。人と私達とは相容れない。だから契約をさせた……らしい。
10年後
魔法高校を卒業した私はお祖父様のもとを訪れていた。
「お祖父様、魔法高校を卒業しました」
「卒業おめでとう」
「それで聞きたいことがあるのですけど宜しいですか?」
「……なんだ?」
「何故あの時私達が嘘をついていたことがわかったのですか?」
「キブシが咲いていたからな」
花言葉……嘘