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第九章 黒い髪の男達(第一部)
次に列車が止まるまで、時間はそうかからなかった。
かなり前に廃された小さな駅でそれは止まり、“積み荷”は駅の目と鼻の先にある大きな洋館へと運び込まれた。
館の中心に位置する部屋の前で。
バタン。
扉を閉め、銀髪の少年は息をついた。
「おい」
ぶっきらぼうに呼ばれ、その方向を見ると、身長2mはありそうな長身のがっしりした男がいた。
さっきまで自分の指揮下で働いていた五人の内の一人だ。
「ほらよ。約束のもんだ“隊長”」
投げ渡された袋の中身を確認して、少年はまた男に背を向けて歩いていく。
「けっ、可愛げのねぇガキだな。もう少し喜べっての。あ、ちょっと待て。薬の後処理しとけよ! 終わったら鍵は閉めて差し込んだままにしてろ! 鍵だ!」
少年は飛んできた鍵を手のひらだけ後ろに向けて受け止めたが、返事はしなかった。
男はそれを了解とみなし、先ほど少年が出てきた扉を開いた。




