第七章 空の面影(第一部)
いつか誰かが言っていた。
———人は、この世に生まれ落ちた瞬間から、魂の片割れを探している。分かりますか、スウィング? 人は生まれながらにして完全ではないんです。
———それは、人間は誰か他の人が居ないと生きていけないってこと?
———いいえ、そんな単純なことではありません。魂の片割れとは、或いは友人で、或いは恋人で、また或いは親か兄弟。好敵手ということもありうるでしょう。どんな関係にあるかは、人によって異なりますが……そうですね。ひときわ「特別」な存在だとでも言いましょうか。感じるんですよ、ふとした瞬間に。
———運命とかの話?
———いえいえ、誤解しないで下さい。私はそんなものは信じませんよ。ですが……この世界で一体どれだけの人が、魂の片割れに出会うことができるんでしょうね。
———会えなかったら、どうなるの?
———別に、どうもなりません。ただ、出会えたら『ラッキー』。それだけのことです。でも、もしかしたらスウィング、貴方はもう出会っているかもしれない。明日出会うかもしれない。時間など関係ないんですよ、そういうものは。
———どうやったら分かるの?
その人は、ふ、と笑みを浮かべて言った。
———世界の色が変わるんです。革命的にね。




