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一期一会 第二部  作者: ヤルターフ
第三編 予兆
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英雄との邂逅 8

 宮殿で謁見を終わらせてからというもの、オメガを先頭にしてのW.D.L巡りはまさに強行軍であった。プティとユウが欣喜雀躍きんきじゃくやくとして飛び回り、アルバとシャノワがへとへとになりながら追うのがやっとである。特にワオレンジャーショウはオメガの一番楽しみにしていたものだけに、その興奮たるや形容しがたいほどの熱狂ぶりであった。


 全天候型のドームには二千人の観客で埋めつくされており、家族連れの子供達が大半を占めていて、中にはパトロンネルの特徴ある衣装を纏ったマニアも混ざっている。アルバ達はデューイがあらかじめ用意しておいたチケットのおかげで臨場感溢れる特別席に座ることが出来た。そうしてオメガを含む子供達は胸を膨らませていまや遅しとワオレンジャーの登場を待っている。するとふいに会場の照明が落とされ、舞台の上手にスポットライトが当たるや暗褐色の犬耳をしてT.S.F(※テラ・セキュリティ・フォース)の制服を着た一人の女性が颯爽とやってきた。


「諸君! よくぞこのW.D.L防衛支部に参られた。私はT.S.F総司令官の参謀を務める、レイカ=カツラギである。総司令の命を受け、本日は諸君にT.S.Fの重要な任務の一部を紹介したい。よろしく頼む」


 凛々たる挨拶が響き渡ると会場は拍手で包まれた。


「どうやら諸君の中に"パトロニアン"が混ざっているようだが、どうか安心して欲しい。彼らはパトロンネルの内情を探る偵察隊である。任務ご苦労!」


 レイカが会場に向かって敬礼すると、会場に拍手が沸き起こった。


「なあオメガ、あの人は誰なんだ?」

「リョーコお姉さんの姉だお、今日もビシッとしてるお」


 そう説明しながらほくほく顔してオメガが会場を見つめている。ややあってレイカが指揮棒を持って巨大モニターを指していると、ふいにモニターの映像が乱れだした。


「何事だ? 状況を報告しろ」

「ジャミングです! 何者かが電波ジャックを図っている模様。これは……」

「なんだ?」

「パトロンネルです!」


 通信兵がそう叫ぶと、砂嵐を映していた巨大モニターが切り替わり、長髪白髪の蒼白な容貌をした男が映しだされた。そうしてこの男は不気味な微笑を浮かべ、その目には明らかな侮蔑の色を見せつつ尊大な口調で語り始めた。


「ごきげんよう、T.S.Fの諸君」

「貴様は……、マードック!」

「これはこれはレイカ殿、貴公は相変わらず見目麗しい……」

「黙れ! 一体なんの用だ?」

「いやなに、たまたまテラを通りかかったから、そこにいる家畜共に挨拶をした次第」


「家畜だと? こそこそ隠れて見物してる貴様に言われたくない。悔しかったら姿を現したらどうだ!」

「あいにくと私は忙しくてね……、代わりと言ってはなんだが、親愛なるレイカ殿にプレゼントを用意した」


 マードックが言うや突然に会場の照明が落とされ、さらにおどろおどろしい音楽と共にパトロンネルの合成怪獣が観客の中に飛び込んで来た。


「私のプレゼントは気に入ってもらえたかな? ではレイカ殿、せいぜい職務に励んでくれたまえ」


 そうマードックは嘲笑して通信が切れた。あちこちではパトロンネルの手下共が跳梁ちょうりょうし、純真なる子供達は怯え、おののき、震えてと、いままさに会場は阿鼻叫喚あびきょうかんの様をていしている。

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