ボタニカルの革新と、辺境伯への躍進
53歳の農業試験官が、転生、15歳の男爵3男坊になり、
貧しい男爵領を救い、仲間になる転生者たちと出会い、
第1次産業革命を飛ばし、自然エネルギーを中心として起こす
産業革命と、緩やかな民主化を推し進めて国の発展をめざす!
①温泉地の散歩と、白い繭の発見
温泉での至福のひとときと、
お母様マリオネットによる「公衆衛生宣言」から一夜明けた朝。
山あいの清々しい冷気が漂う中、ユージーンは朝の散歩がてら、
温泉の源泉から少し離れた渓流沿いの雑木林を歩いていた。
「ん……? このハート型の葉っぱは……桑の木かな?」
ふと足を止めたユージーンの視線が、
枝の茂みに固定された。緑の葉の裏側に、
コロコロとした指先大の「白い楕円形の固まり」が
いくつもぶら下がっている。
「これは……繭……!?
まさか、ヤママユ(野蚕)か!?」
ユージーンは駆け寄り、枝をそっと手引き寄せた。
前世、日本の農学研究員として
各種作物の生態を知り尽くしていた山田雄一郎の記憶が、
瞬時に答えを弾き出す。
(間違いない……! 野生の蚕だ!
寒冷地の野生種だから糸が太くて丈夫で、保温性が高い……!)
ユージーンの胸が高鳴った。
(桑の木を栽培し、この蚕を養蚕できれば……
軽くて温かく、真珠のように美しい『絹』が織れる!
寒冷地の冬の防寒着になるだけじゃない。
王都の貴族たちが喉から手が出るほど欲しがる、
最高級の繊維素材になるぞ……!)
ユージーンは宝物を見つけた少年のように目を輝かせ、
繭と桑の枝を丁寧に採取すると、胸のポケットへ大切に収めた。
②ボタニカルシャンプーと、母と妹の歓喜
館へ戻ったユージーンは、
さっそく温泉の地熱と豊かな自然素材を使った
「新しい試作」に取りかかった。
「ユージーン様、今度は何を作っておられるのですか?」
興味津々で覗き込む料理長マルタに、
ユージーンはフラスコや木桶を並べながら答えた。
「お風呂で使う『ボタニカルシャンプー』と『香草石鹸』だよ。温泉水にハーブの抽出液、
リンゴの種子オイル、山羊の油脂、
そして木灰のアルカリ成分を配合して作るんだ」
現代の化粧品科学の知識を活かし、
髪と肌に優しい天然成分100%の美容液石鹸を精製していく。
数日後。ガラス瓶に詰まった黄金色の流動石鹸と、ハーブの香る白い石鹸が完成した。
「母上、マリアンヌ! お風呂でこれを使ってみて!」
半信半疑の母マリオネットと十一歳の妹マリアンヌが、
さっそくお風呂で試してみると??効果は劇的だった。
「まあまあまあ……ッ!!」
お風呂から上がってきた母マリオネットの姿に、
父男爵や兄たちが目を見張った。
傷んでいた髪が絹のようにしっとりとまとまり、
夕光を浴びてツヤツヤと輝いている。
お肌もまるで少女のようにプルプルとみずみずしい。
「見て見て、お兄ちゃん! お髪がサラサラで、すっごく良い匂いがするのー!」
マリアンヌが髪をなびかせてクルクルと踊り、
母マリオネットは自分の頬を触りながら、
感激の面持ちでユージーンの手を握りしめた。
「ユージーン……なんて素晴らしいのでしょう!
髪がこんなに軽やかで、お肌がしっとりするなんて……!
これがあれば、お掃除や手洗いだけでなく、
女性たちが『美しく健やかになる喜び』を知ることができますわ!」
公衆衛生運動を率いる母と妹にとって、
このボタニカルシャンプーと石鹸は、
何より強力で魅力的な「最高の武器」となったのだった。
③運命の家族会議と、寄親(辺境伯)への訪問
その日の夜、ベルグフェルド家の応接間では重厚な家族会議が開かれていた。
テーブルの上には、極上白粉、天然酵母の白パン、
焼き菓子、熟成リンゴ酒、
ボタニカルシャンプー&石鹸、
そしてユージーンが描いた「養蚕計画」と
「サスペンション馬車」の図面がズラリと並んでいる。
「……なるほど」
長男クラウスが眼鏡の位置を直し、鋭い眼光で家族を見渡した。
「我が領の技術と商品は、もはや一弱小男爵家の枠に収まるものではない。
……だが、だからこそ危険だ。
零細貴族が突如として莫大な富を生み出せば、
周囲の貪欲な他領から嫉妬を受け、不当な圧力を受けることになる」
「うむ……」と父男爵も重々しく頷く。
「では、どうするのだ、クラウス?」
「まずは、我がベルグフェルド家の貴族としての『寄り親(後見人)』である、
隣領のグレンツ辺境伯閣下のもとへ挨拶に伺います」
クラウスは地図を指差した。
「辺境伯閣下に新しいお菓子や料理、そしてボタニカルシャンプーと石鹸を贈呈し、
我が領の技術をお見せする。
その上で、『国王陛下との拝謁(面会)の仲介』と、
『王国における独占販売権(専売許可)』を国王陛下から頂けるよう、力を貸していただくのです!」
「筋を通し、最大の盾(辺境伯と王室)を得るということだな」と次男ラインハルトが手を叩いた。
「訪問するのは、領主である父上、格式と外交を担うクラウス、
そして洗練された品位とシャンプーの価値を証明する母上の三人です。
ユージーンとラインハルトは領地に残り、
生産体制と養蚕の準備を進めてください」
「分かったよ、クラウス兄さん。任せて!」
ユージーンが力強く頷き、
ベルグフェルド領の未来を賭けた「外交使節団」が結成されたのだった。
④辺境伯邸でのプレゼンと、感動の嵐
数日後。改造された「揺れないサスペンション馬車」に乗り込んだ父男爵、
母マリオネット、長男クラウスの三人は、隣領のグレンツ辺境伯邸へと到着した。
通された豪華な応接間で、重鎮であるグレンツ辺境伯とその夫人が三人を出迎えた。
「ほう、ベルグフェルド男爵。急な訪問だが、何やら珍しい品を持ってきたそうだな?」
「はい、辺境伯閣下。我が領で新たに開発いたしました至高の逸品でございます」
クラウスが優雅な所作で、特製の『ベルグ・アップルパイ』や
『ハチミツビスケット』、そして冷えた熟成リンゴ酒を献上した。
「む……!? なんだこの香ばしくサクサクとした生地は……!
中のリンゴの甘みと旨味が絶妙だぞ!」
辺境伯が絶賛する横で、母マリオネットが静かに進み出で、
辺境伯夫人へ美しいガラス瓶を差し出した。
「奥様。こちらは我が領特産のハーブと種子油から作りました
『ボタニカルシャンプー』と『美容石鹸』でございます。
ぜひ、お試しくださいませ」
「まあ……美容の石鹸ですの?」
半信半疑で奥方が席を外し、侍女とともに浴室へ向かった。
それから三十分後。
「まあまあまあっ!! 貴方、ご覧なさいな!!」
部屋に戻ってきた辺境伯夫人の姿に、辺境伯は目を見張り、
手に持っていた酒杯を落としそうになった。
夫人の髪はまるで金色の糸のようにしっとりと輝き、
肌はみずみずしく若返っている。
「信じられないわ! 髪がサラサラで、お肌が吸い付くように滑らかですのよ!
宮廷のどんな高級香水や油よりも素晴らしいわ!」
興奮する夫人に、辺境伯は大迫力で男爵に詰め寄った。
「男爵! これほどの逸品をどうやって作ったのだ!?
王都の公爵家や王族に見せれば、誰もが狂喜乱舞するぞ!」
「それにつきまして、閣下……」
クラウスがすかさず一歩前へ出で、深々と一礼した。
「我が領のこの技術と商品を、正式に王国中に広めたいと考えております。
つきましては、国王陛下への拝謁の仲介と、
我が領が安定的かつ安全に生産を行うための
『初期の独占販売権(王室認可)』を賜れますよう、
寄り親である辺境伯閣下にお力添えをいただきたいのです」
辺境伯は髭を撫で、深く頷いた。
「ふむ……! 寄り親として、これほど誇らしい申し出はない!
よいだろう、国王陛下への拝謁は私が責任を持って取り持とう!
独占販売権についても、王室の庇護が得られるよう全力で口添えしてやる!」
「感謝いたします、閣下!」
父男爵とクラウスが胸を撫で下ろしたその時だった。
⑤帰り際の衝撃と、国王の馬車への依頼
商談が完璧な形で成立し、
晴れやかな顔で辞去しようとする三人に対し、
辺境伯がふと思い出したように手を挙げた。
「……時に、男爵。最後に一つ聞かせてくれ」
「はい、何でございましょう?」
辺境伯は窓の外、館の中庭に停められている
ベルグフェルド家の馬車を凝視しながら、身を乗り出した。
「お前たちが乗ってきたあの馬車……あれは一体どうなっているのだ?
我が領の悪路を走ってきたはずなのに、車体が吸い付くように滑らかで、
お前たちの服に一切のシワも長旅の疲労も見られん……!」
クラウスは不敵にニヤリと微笑んだ。
「お目が高いですね、閣下。
あれは我が領の鍛冶屋と技師が開発いたしました
『重ね板バネ(サスペンション)付き馬車』でございます。
どんなガタガタ道でも衝撃を完全に吸収し、
壊れやすいガラス瓶やサクサクのお菓子を無傷で運ぶための特許技術にございます」
「な……なにぃぃぃッ!?」
辺境伯は目を丸くし、デスクを叩いて立ち上がった。
「揺れない馬車だと……!? 素晴らしい……!
男爵、頼む! 今すぐ私の御用馬車にもそのバネを取り付けてくれ!
……いや、それだけではない!」
辺境伯は興奮で顔を紅潮させながら叫んだ。
「近々、王都へ登城する際、『国王陛下の御料馬車』にもこの改修を施して献上したい!
国王陛下は長旅の馬車の揺れで持病の腰を痛められておられるのだ!
これを献上すれば、陛下は大層お喜びになり、独占販売権の許可など一発で下りるぞ!」
「なんと……国王陛下の御料馬車の改造ですか……!」
父男爵が震える声で感無量の吐息を漏らし、
クラウスは静かに眼鏡を押し上げた。
「お任せください。我が領の誇る最高の職人たちを総動員し、
国王陛下と辺境伯閣下にふさわしい至高の馬車を仕立ててみせましょう」
寄親である辺境伯の絶大な信頼を勝ち取り、
ついに「国王陛下」と「王都」への扉が、
これ以上ない最高の形で押し開かれたのだった。
そのころ領では、ユージーンと3人の職人の取り組みで鋳造と部品の規格化に取り組んでいた。
そして、規格化と並行して、
「よし! 桑の木を増殖させて、
温泉の地熱を使った『室内養蚕所』を作るぞ!」
ユージーンが次男ラインハルトと
職人トリオとともに、絹の一大生産計画へと着々と着手していたのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
初めての執筆ですが、本人は楽しんで作っています。
もし、面白かったら☆マークとブックマークよろしくお願いします
AI(Gemini)を相棒に書いています。
あらすじやアイディアは考えて文章の構成などをAIに頼んでいます。
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