表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄に調教された舞神が私を抱く夜 〜囚われの皇女が箱庭を壊すまで〜  作者: はなたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/12

第11話 縁談

私の成人の儀式を終えた夜、宮殿で晩餐会が催された。


現皇帝の隣には、長男で皇太子の琉克がいる。

それを、野心を隠し持った側室たちと、その息子である異母兄たちが妬ましそうに見ていた。



「愛璃様、我が領地を継ぐ息子は、剣術の腕も確かでございます。ぜひ、お見知りおきを」


「我が国の第一王子こそ、愛漓様の美しさに相応しいか。ぜひ一度ご来訪くだされ」


「一人娘が遠方に嫁がれては、皇帝陛下も淋しいでしょう。他国へなど嫁がせてはなりませんぞ」



地方貴族や他国の来賓たちが、次々と縁談を持ちかけてくる。彼らにとって、私はただの「価値ある商品」に過ぎないのだ。



「そうだなぁ、愛璃の伴侶を真剣に考えないとなぁ」



皇帝の言葉に、さらに話が加速する。



私は愛想笑いを浮かべることしかできず、喉の奥に苦いものがこみ上げるのを感じていた。



――そんな喧騒を断ち切るように、楽の音が響き渡る。



「今宵の余興は、我が国の至宝、舞神の舞を堪能していただきたい」



琉克の合図とともに、楽の音が響き渡る。


そして、白銀の装束を纏った白蓮が現れた。



彼が指先を動かすたび、その場にいる全員が息を呑む。静謐でありながら、どこか狂気を孕んだその舞は、観る者の魂を削り取るような美しさがあった。



異母兄たちも、このときばかりは、毒気を抜かれたように杯を置いている。



白蓮が最後の静謐を演じ終え、床に跪いたその時だった。



「父上。この佳き日にお願いがあります」



琉克がゆったりと立ち上がり、皇帝の隣に歩み寄った。



「ほう、琉克からの願いとは?」


「愛漓とこの白蓮。二人の婚姻を認めていただきたい」



――広間がざわつく。


でも、一番驚いているのは私だ。そんな話、聞いたこともない。白蓮を見ると、涼しい顔をして琉克を見ている。



なぜ?知っていたの?



「待たれよ!」



真っ先に異を唱えたのは、二人の異母兄だ。



「愛漓は皇后の忘れ形見。父上の大切な一人娘ではないか。いくら舞神と称えられても、所詮は踊り手。そのような卑しい出自の男に、降嫁させるというのか?」


「そうだ、よい縁談は山ほどあるというのに」



激昂する兄たちをよそに、私は血の気が引くのを感じていた。



白蓮と結ばれる。それは私の願いでもあったが、それも兄の「命令」として告げられることに、言いようのない不吉さを覚える。


白蓮は顔を伏せたまま、微動だにしない。その拳が白く震えているのを、私は見逃さなかった。



その時。



「……う、ぐ……っ」



玉座に座っていた皇帝が、突如として胸を押さえ、前のめりに倒れ込んだ。



「父上!?」


「皇帝陛下!お気を確かに!」



悲鳴が上がり、会場は一転して混沌の渦に叩き落とされる。駆け寄る侍医たち、怒号を上げる皇子たち。その騒乱の真っ只中で。



私は見てしまった。混乱を鎮めようと立ち回る琉克が、倒れ伏した父を見下ろし、冷ややかな眼差しを向けているのを。



祝宴の灯火が、不気味に揺れていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ