世界が終わるまで ― 最後の7日間 ―
1日目
世界は、唐突に終わることを宣告された。
理由は明かされず、対処法もなく、ただ「7日後に消滅する」とだけ。
街は混乱したけれど、僕の心は妙に静かだった。
「そうか」と、納得してしまった自分がいた。
2日目
人は二種類に分かれた。
泣き叫ぶ人と、何事もなかったように過ごす人。
僕は後者だった。
ただ一つ、胸に引っかかる名前を除いて。
3日目
連絡先を消したはずの君に、メッセージを送った。
「世界が終わるらしい。会えたらいいな」
すぐに返事が来た。
「うん。私も、そう思ってた」
4日目
久しぶりに会った君は、少し大人びて見えた。
それとも、終わりが近いからそう感じただけか。
「7日しかないね」
「7日もあるよ」
どちらが正しいのか、わからなかった。
5日目
海へ行った。
青い空と波の音は、世界の終わりなんて知らない顔をしていた。
「もし終わらなかったら、どうする?」
君は冗談みたいに聞いた。
「その時は、その時考えよう」
未来の話をすると、今が壊れそうで怖かった。
6日目
何も特別なことはしなかった。
ただ歩いて、話して、笑った。
それだけで、十分だった。
夜、君が言った。
「ねえ。
この7日間、私――幸せだったよ」
胸が、少しだけ痛んだ。
7日目
空が白くなり始めた朝。
世界は、驚くほど静かだった。
「最後だね」
君の手を、強く握る。
「うん。でも――」
言葉は、最後まで続かなかった。
光に包まれる直前、
僕は確かに思った。
世界は終わるけれど、
誰かを想った時間だけは、消えない。
そう信じたかった。




