ありふれた泥棒
星新一に面白いほど影響されている人
N氏は悩んでいた。
物価高、理不尽な社会、面倒な人間関係・・・。
この難儀な状況はN氏の心をゆがませた。
「クソッ。こんな生活じゃ盗みをして警察にお世話になったほうが楽なんじゃないか?」
そう考えたらもはや考えるのが楽しくなってきて、悪は急げと準備を急いで始めた。
幸い近くに金持ちそうな家がある。
家の者が出払った時に狙いを定め、塀を乗り越え、窓をハンマーで壊した。
中は広く、いかにも金持ちの家だった。
後は金目の物をあさるだけ。そう思って動き出すと、
「うわあ。ドロボー!」
こんな所で捕まっても面白くない。
小さい子供が駆けて逃げていくのを捕まえて、
「やい!このガキ!警察なんか呼んだらこうだぞ。」
と、包丁をちらちらと見せ、脅した。
子供が震え上がったすきに鞄に入れていた縄で素早く子供をしばりつけた。
「おかしいな。ただ広いだけで何もないぞ。」
子供も縛り悠々と家をあさり始めたが、不自然なほどに何もなく、変な痕ばかりついていた。
「おい。この家に物はないのか?」
と、思わず子供に聞いてしまった。
子供は頭を上げ、
「何もないよ。」
と泣きじゃくった声で言った。
「噓つくな。こんだけ広いのに何もないわけあるか。」
「噓じゃないもん。昨日までは色々とあったけど。」
「何?」
「今日、なんだか僕のものも全部どこかにもっていっちゃった。
何だか、物価高とか、税金が、とか言ってて・・・。」
カクヨムにはもっといっぱいありますよ~。
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