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【第二話】自己紹介

「私の名前は朝比奈桜(あさひなさくら)です。好きなものは、辛いものと写真を見ることです。撮るのも好きです。高校生活よろしくお願いします。」

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 自己紹介の時間、教室には35人ほどの生徒がいて、笑顔だったり無表情だったり、様々な子がいた。

 そして自己紹介も半分ちょっと進んだ時、突然——

「うわぁあぁ!遅れてすいません!」

 バダン!

 扉が勢いよく開く音。

 そこにいたのは

 今日の朝の交通女だった。

 クラスに笑いが溢れる。

「初日から遅刻ですかー、しっかりしてくださいねぇー」

 先生も言う。

 どうやらこのクラスは個性的な人ばかりのようだ…って、…

「よりによって…」

 小声が思わず出てしまった。

 あんな変人と同じクラス。

 でも、もしかしたら私のこと覚えてないもしれない。

 だが

「えっとえっと、私の席は…、あ!あのときの!ぶつかって来た子!」

 そんな願いは儚く散った。

 しかも…、ぶつかって来たのは私じゃなくそっちだと思うんだけど。

「ねえねえ名前!なんて言うの?」

「…桜」

 すごい笑顔で話しかけてくる。

「待ってー、席に座る前にー、居なかったので自己紹介…」

「あ!はい!」

 交通女は立ち上がり、黒板の前に立つ。

 そして一つ息をついてから、

「私の名前は柊木美月(ひいらぎみづき)です!えっとー、好きなもの…じさt—、じゃなくて。好きなものはラムネと、扇風機です!よろしくお願いしまーす!!」

 まさに元気のいい自己紹介。

 席はあいうえお順だから遠い。これが唯一の救いだった。

 ————

 ——

 —

 これで全員の自己紹介が終わった。

 今先生は別の教師に呼ばれ、少し席を立った。

 そして出て行く時、「交流でもしとけー」とのことだった。


「ねえ!これからもよろしくね!」

 交通女、元い美月は私の席にすぐさま近づいて来た。

 私は前の席で、彼女は一番後ろだから大変だろうしわざわざ来なくてもいいのに…

「あ!後でLINEs交換しようね!ほらあの!メッセージアプリのさ、ね?友達だもんね!あ、プリクラ行く?」

「ゲンキダネ…」

「うん!あ、足擦ったの、大丈夫だった?」

 何だこいつ…、テンション高いし絡んでくるし、何と言うか…グイグイくる。

 雪とは違うクラスになってしまったため、助けてもらうこともできない。

「ダイジョウブ…」

「そっか!良かったねぇ」

 何をしみじみしてるんだか。意味がわからない。

 すると今度は突然何かを思いついたようなそぶりを見せて

「ねえ後でさ、屋上行かない?バンジージャンプしようよ。」

「は?」

 もう話についていけない。

 最近の若い子はそう言うことをするのだろうか。

「バンジージャンプ?何言ってるかわからないけどダメだよ。それに、屋上の鍵開いてないでしょ。漫画じゃあるまいし」

「大丈夫大丈夫!私ピッキングできるし、それに一応ロープ持って来たよ!」

「細っっそ、何それ、そんなロープでバンジー?…え、バカ?え、あと何でピッキングできるの?」

「えぇ?!?!」

 何その驚き、オーバーリアクションすぎでは?

「あ、あとピッキングはほら、誰しも憧れるじゃん?カッコいいし?別に変な意味では…えへへ」

 何照れたんだよ。


 そして私はまだ知らないのだ。

「朝ぶつかったから印象強いだけで、そのうちどっか行くでしょ」

 とか考えてた私はまだ知らない…

 コイツに絡まれるのが、そのうち日常になる、と言うかなんだかんだ放っておかなくなる、と言うことを…

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