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千紫万紅  作者: リゾット
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僕と生徒会長と学校と

 この僕、雄漂木悠輔おひるぎゆうすけは、実は生徒会に所属している。

 何だかあまりに唐突で、後付設定のような気がするかもしれないが、しかし別に生徒会モノに路線転換するというわけではないので、安心して欲しい。

 ところで生徒会というものは、漫画やアニメだとやたら権力を持った存在として描かれているが、実のところ、生徒会なんてものはそこまで大層な組織ではない。

 学校によって差があるのかもしれないが、しかしごく普通の公立校であるところの我が高校の生徒会は、目立った活動をするわけでもない。体育祭や学園祭などの行事については、行事毎の委員会が取り仕切るから、仕事がそこまで多いわけでもないし。

 だからと言って、生徒会室でひたすら駄弁っていればいいかといえば、そういうわけでもない。

 あまり日の目を浴びることはないけれど、生徒会にだってちゃんと業務が存在しているのだ。

 生徒会、というのはあくまで俗称で、正確に言えば生徒会執行部、である。生徒会というのは生徒全員が所属するもので、その中で代表として選ばれた執行部役員として活動しているのだ。

 僕もその執行部役員の一人、というわけである。

 執行部役員は、会長、副会長、書記、会計、庶務の五人から成る。

 僕は庶務。

 庶務という役職は、平たく言えばパシリということになってしまうのだろうか。まあ雑務などをこなすわけである。

 別に僕がパシリ気質というわけでは断じてないのだけれど、色々あって庶務を引き受けてしまったわけだ。

 ちなみに僕の友人である杉村恭一なんかは、副会長を務めている。何の間違いかと思うが、事実なのだからしょうがない。

 一年生(今はもう新二年生か)が副会長職に就くこと自体は、まあ珍しいことでもないのだけれど、杉村は元不良だっただけに、教師陣からの反発もあったと聞いている。しかし、生徒会長の強い推薦により、副会長になったのである。

 この生徒会長というのが、また曲者な先輩なのだ。新三年生なので、恐らく次の選挙で生徒会は引退するのだろうけど。

 思えば、彼女と出会ったことで、僕の高校生活最初の一年間は、中々に刺激的だった。

 人生において、『先輩』という存在がどれだけの影響をもたらすのか、それは人それぞれだろうが、僕がその先輩と出会えたことは、恐らくきっと、幸運で、幸福なことだったのだろうと思う。

 僕が生徒会に入ったのも、その先輩に半ば無理やり任命されてのことだった。当時は嫌々、渋々だったけど、今となっては、生徒会に入ったのも悪くないと、そう思える。

 青春、という言葉はいささか恥ずかしい響きが伴うけれど、僕が生徒会役員として過ごしてきたこの一年間は、紛れも無く『青春』だったのだろうと思う。

 それはかけがえの無いものだ。

 この春、僕は二年生になる。

 高校生活の二年目。

 今度はどんな一年間になるのだろうかと、実のところ、僕は少しだけ胸を躍らせている。

 


学校のお話です。

新キャラも出てきます。

生徒会モノじゃないのに主人公が生徒会に所属しているというのも珍しい……ような気が何となくしなくもないですね。

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