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千紫万紅  作者: リゾット
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幕間 ~雄漂木凛々恵の胸中~

 私の義兄――悠輔は、どうにも物を難しく考える傾向があるというか。

 言わせてもらえるなら、悠輔と山桜桃さんが恋人関係でないことのほうがよっぽど不自然です。

 そのくらい、あの二人は仲が良いのです。

 休日に二人で遊びに行くなんてことはザラで(最近では私を交えて三人だったり、私と山桜桃さんの二人きりだったりもしますが)。

 幼稚園小中高とずっと一緒で(しかもずっと同じクラスだそうです)、共有してきた時間はもはや数え切れるものでもない。

 そんな二人が――いえ、そんな二人だからこそ、恋人関係に移行しづらいところがあるのでしょうか?

 そもそも、幼馴染だからといって即恋愛関係になるわけではない、というのもまた事実でしょう。

 長い付き合いがあるという、それだけのことでは、二人が結ばれるには足りないのかもしれません。人生、これから過ごす時間の方が長いわけですしね。

 親友、というレベルで(それはそれで何者にも代え難く尊いものですけれど)仲良くするに留まるのかもしれません。

 友達と恋人は、やはり根本的に異なるものなのでしょう。つまり、友情と恋愛感情とは決定的な差異を持っているものなのです。人は、この二つを時として混同し錯誤することがあるようですね。

 もう一つ、家族愛というものを付け加えると、より事例に即しているでしょうか? つまるところ、悠輔は山桜桃さんに対する感情が何なのかを計りかねているようです。

 そしてその感情が何か、ということを解決する都合の良い一言が、『幼馴染』だったわけで。

 ゆえに悠輔は、山桜桃さんとの関係を『幼馴染』の一言で片付けることで、己の感情と向き合うことをしてこなかったのでしょう。

 そして今、私や遼一さんが問うた問いこそが、悠輔がこれまで触れてこなかった問いなのです。

 雄漂木悠輔は、櫻井山桜桃をどう思っているのか。

 『幼馴染』という言葉を使うことを禁じられた時、この問いは二人の関係の本質に迫るものとなるのです。 まあ、結局二人の間にあるものが恋愛感情ではない、というオチも十二分にありうるわけですが。

 個人的には。

 悠輔と山桜桃さんは、お互いに好き合っているような印象を受けますけどね。

 いつまでも友達以上恋人未満みたいな関係でラブコメしているくらいならば、くっついてしまえばいいのに、と外野は思ってしまう。人の性といいますか。

 あくまで本人同士の問題なので、私たちオーディエンスがとやかく言うことではないのかもしれませんが。

 ……うん?

 ……なんだか、胸に引っかかるものがありますね。いえ、私の胸が大きいからつっかえるとかそういうカラダネタではなく(何を言っているんでしょうか私は)。

 何故、私は今、胸中に違和感を覚えたのでしょう?

 何が、こうも引っかかるのでしょう?

 分かりません。

 不思議です。

 悠輔のことを言えませんね。私もまた、自分の感情を把握しきれていないようです。

 えも言われぬ感覚に、私は首を傾げざるを得ません。

 何と言うのでしょうね、こういう感情は……。言語化するのが難しいですが。

 …………。

 ……嫉妬?

 え?

 もしかして私、悠輔と山桜桃さんが恋人になることに対して、嫉妬したんですか?

 そんな馬鹿な。

 驚愕です。

 青天の霹靂です。

 だって、出会ってまだ一月というところですよ?

 確かに助けられたりお世話になっていますけれど、それはそれでしょう。

 お二人が恋人になるのならば、それを祝福すべき立場に私はいるはずでは?

 まさかの三角関係突入ですか? ありえません……。

 ないない。

 漫画の中だけで十分ですよ、そういうのは。

 現実的じゃあ、ありません。

 ……ない、ですよね?

 でも、どうなんでしょう。

 なくもないのかも、しれません。

 きっかけは、意外と些細なものだったりするわけでして……。

 どうしましょう。

 私はこれから、どう接していけばよいのでしょうか……?



まさかのラブコメ展開?

ううむ、どうなることやら。


次は生徒会のお話になるかと思います。

なるだけ早めに行きたいところではありますが……。頑張ります。

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