②
そして、心の中で「綺麗に傷が治りますように」と唱える。
するとだんだんと傷は綺麗に治っていく。
「はい、治りましたよ」
「ありがとう、痛くない」
ひとりの男性が興味深く話をし出した。
「治癒魔法ってすごいな。これで人間以外の動物の怪我を治せたりできるのなら治癒魔法は最強なのかもしれない」
「えっ?」
私の聞き間違えかな。
「あの、治癒魔法は最弱ではないんですか?」
すると、見た目が強そうな男性が話してくれた。
「治癒魔法の能力を持っている人が少ないんだ。 治癒魔法以外の炎、水、風といった能力を持つ人の方が多い。今じゃ、クエストへ行く前には治癒魔法の人を見つけているくらいなんだ」
なるほど。この世界での治癒魔法は最弱ではなく最強ってわけなんだ。
「すまない、まだ俺たちのことを名乗ってなかったな。俺たちはこの先にあるギルドに所属をしている騎士団・シュロムだ」
「初めまして、私はエリール・クオーレと申します」
「俺は騎士団シュロムを指揮している団長のクラフトだ。よろしく」
「私は副団長をしているサジェスです。あとの人たちは部下になります」
傷を治した人は団長さんらの部下ってことになる。
「こちらこそよろしくお願いします」
副団長のサジェスは怪しげな顔つきで話を始めた。
「エリールという名前は初めて聞く名前だな」
流石に転生してきたなんて言えないし、ここは一か八か話してみよう。
「私はここから遠い国から来たんです。それで今、街の方に行く途中なんです」
「そうなのか。エリールって言ったな。まだギルドに登録はしてないってことだな?」
クラフト団長に言われてコクリと頷いた。