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「ふぁ~、よく寝た」
鳥の鳴き声で起きた私はネブックロから出てカバンの中へとしまう。
今日も街までの道をひたすら歩いては木に登って方向確認をする。
「その前に木の実を食べてからにしようっと!」
昨日採取した木の実はどれも美味しくてお昼と夜に食べる木の実まで食べてしまった。
「今日も木の実を集めないとね」
道のりをずっと歩いていると森の奥から叫び声が聞こえてきた。私はすぐさま木の上に登って騒ぎがおさまるのを待つ。
少ししてから武装をしてる人たちが森から出てきた。
大丈夫かと思い私が木から降りると武装をした人たちが一斉に腰にある剣を抜いて私に剣先を向けた。
「誰だ!」
「私は怪しいものじゃありません!」
「なんだ、メイドか……」
ひとりの男性の言葉に武装した人たちは剣をしまう。
「あの、どうかしたんですか?」
「実は、さっきアードラーにやられてね。今回に限って治癒魔法の人を連れていなくて」
アードラーってなんだろう。私の目には傷を負っている男性を見た。
男性の右肩の傷を見ると深傷で、このまま放っておいたら傷跡が残りそうなので、私はすぐに傷を治すことにした。
「大丈夫ですよ、今から治しますね」
「メイドの姉ちゃん、治癒魔法を使えるのか⁉︎」
まって、メイドの姉ちゃん……⁉︎ まぁ、見た目がどうみてもメイドだもんね。
「はい、そうですけど」
私は深傷の前に手を差し出して治していく。