⑤
歩いていると所々で飛んでいる鳥の鳴き声が聞こえるくらいで大きな動物に遭遇はしていない。木の実は拾うたびに鑑定をしてはアイテムボックスのカバンの中へと入れていく。
「木の実はいっぱい拾えたけど、ホワイトタイガーの足跡がひとつもない」
ここでおじいちゃんを呼ぼうかな……なんて思ったが今じゃない気がする。
「まだ、一人で探そう。どうして見つからないって時はおじいちゃんにーーうわぁ!」
ひとり平坦な道を歩いていると何かに躓いてしまった。
「いたたっ……」
私が躓いたものは石だった。メイド服で転けるなんてと思ってスカートを捲って膝をみたが怪我はしていない。怪
我をしたのは左手の手のひら。
「消毒液はどこにあるんだろう……ん?私、治癒魔法を持ってるのよね?ならこの怪我を治せるかもしれない。よ
し、やってみよう!」
治癒魔法のやり方がわからない。
右手でハンドパワーのように左手の手のひらの傷を念じる。すると、右手から優しい白い光が出てきた。
「これが治癒魔法なのかな」
優しい白い光で左手の傷は綺麗に治った。
「おぉ、すごい……本当に治った。痛くない」
少しの傷でも簡単に治ってしまう。
「よし、次は木の上に登ってみようかな!」
前世の時は高いところが怖くて木登りなんて出来なかったけれど、今は高いところも平気なんだと思う。
なんだろう、心の直感ってやつかな?
木に登って高いところで足を止める。