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第九話 嵐の前の静かさ①


「うわぁぁぁぁああ!」


情けない声を上げながら飛び起きる。いつのまにか明るくなっていて、太陽光に照らされた私は悪夢を見ていたのか、寝汗をかき、息は荒く、少しめまいがする。


「…めまい?」


そういえば、夢でそんなことを誰かが言っていたような…?誰だっけ?

そんなことを悶々と考えていたが、変な頭痛で考えられなくなり、もやもやとしながら宿から出ようとした。

しかし、寝汗をかいていてかなり気持ち悪い。なので人と出会う前にシャワーで汗を流そうと決めた。

まだ、探索していなかったこの部屋を探索してみると、どうやらこの宿はベットと机のある部屋と、和式便所みたいなトイレと石で出来たユニットバスがある部屋の2つあることが分かった。

その後も色々みてみたが、体を拭けそうなものが棚の中にある一つしかないタオルがあった。

(ギルドには悪いけど、ないよりはマシな設備だね)


そう思いつつ、服を脱ごうとする。そして目に入ったワンピースで僕の体は今どんな状況なのかを思い出した。

(そうだ、僕…女子なの、忘れてた)


今自分がしようとしていた事から、顔から湯気が出そうな程に赤くなる。とはいえ、これが今の自分の体なので受け入れなければと、意を決して全て脱いだ裸の状態で石のバスタブに入る。足元はヒーターの間に板一枚噛んで触ったような、温かい感じがした。そしてまあまあ浅かったため、びっくりして綺麗に転んだ。

ガラガラ!ごらんごろ…トテン!ふにゅ


「いったぁ…転んじゃった…」


服も何もないの状態での直できたダメージはまあまあ痛い。よろめきながらも立ち上がり、体を確認した。そして、すり傷や打撲がないことに安堵する。不幸中の幸いといったところか。

気を取り直し、石のバスタブに入ると蛇口みたいなものがあり、それに触れる。すると、体からスッと何かが抜けていくような感触がし、蛇口からはお湯が出てくる。ゾッとして手を話すと、お湯は出なくなった。突然のことで混乱しつつも蛇口に触れながら汗を流し、タオルを使って体を拭きつつ【乾燥機】と書いてあったところに入れた服を取り出す。使うのにお金が必要だったので、コインランドリーだと思っていたら仕上がりはコインランドリー以上だ。汗の跡と臭いが綺麗に取れており、シワもなく、新品同様の綺麗さがある。

(現実にもこんな便利な洗濯機があればいいけれどもなぁ…)


肌着をつけ、乾燥機から取り出した服に袖を通す。もう一着ほど欲しいなと思いつつも部屋から出て、鍵をかける。宿の受付の前のスタッフに挨拶をして一階に向かう。

かなり騒がしかったので向かうと、そこは夕方以上に混んでいた。掲示板があるのだろう、階段から向かって左側には多くのギルド会員が我先にと依頼を取り合っている。

対照的に右側はかんこ鳥すらもあくびをかくほどに閑散としていた。受付にいた人たちは全員掲示板側に集まりフル稼働。依頼を勝ち取ったものが続々とやって来ていた。これから依頼を受け取るためにあの中に混ざらないといけないのか…となり、少し身構える。


「あら、メイ様。おはようございます。昨晩はよく眠れましたか。」

「チェガーさん、おはようございます。ここのベットは寝心地がいいですね。」

「ふふっ、ありがとうございます。誰でも寝られる程の特注のベットでして、あれひとつで銀貨いくつかの価値があります。」


なるほど、特注のベットか。いろんな体格の人に合わせて作られたのだろうなぁ…

そんな話をしていると、だんだんと騒音が消えていく。おそらく、ギルドの会員が依頼を受け取り終わったのだろう。

私も取ろうと近づいていくとチェガーさんが引き止める。


「メイ様、貴女はこちらがよろしいかと。」

「えーっと…へえ、薬草採取か」

「はい。薬草は常に必要としており、この依頼は国から常設するよう言われています。そして難易度も低くーー」

「つまり、始めたての会員が初めて受けるような依頼であると。そういうことだね。」


話を遮りながら喋る。チェガーさんはフッと微笑み、


「こちらの依頼、受けますか?」


と聞いてくる。

まあ、こういうので経験を積んでいくのだろうなと考えたので受け取ることにした。

薬草は棘も何もないツルツルな双子葉類みたいになっていて、背の高さは20センチほどだそう。

報酬は薬草の数×銅貨5枚。本来はその3倍ほどだが、私はもう有り余ってるほどお金はあるので値切った。これで薬でも作ってくださいと言いくるめて値切ることができた。チェガーさんはかなり不服そうに睨みつけてくる。

そんなことをした後に、チェガーさんは少し考えてから突然、


「メイ様は、聖女様がお好きなのですか?」


と尋ねてきた。


「…へ?聖女?•••誰?」

「…ご存じでないのですか。…聖女とは、通称この国の希望、平和への道しるべ。どんな傷も癒やせる回復魔法(ヒール)を使って騎士団と共にこの国の魔物の大量出没(スタンピード)を解決して行ったようです。」

「そうなんですね。」


ぶっちゃけた話、私はこの世界についてまだ何も知らない。そのため、聖女なんかについても初耳だ。なので、今日は薬草と情報を集めを目標とする。

しかし、聖女の話はどこかで聞いたことのある話に首をかしげる。

とはいえ、このまま居座ってても、となったので早速薬草を集めてこようとギルドを出る。薬草については、模写があるのでそれを見ながらゆっくりと取ればいい。この町の近くに群生しているそうなので、お散歩気分で門から出た。

チェガーさん、チェダーって変換で出てくるから嫌い

でも出さないと進まないジレンマ

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