表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/40

第六話 戦闘!ギルド長!

「試験は裏手にある訓練場を使う。ついてこい。」


そう言うギルド長の背中を追いつつ、裏口から訓練場へと足を運ぶ。太陽は半分ほど沈んでいるような時間帯だ。誰もいない。


「この試験のルールは非常に簡単だ。ここに円があるだろう、これを出たら君の負け。私は、

武器を落としたら負け。簡単だろう?さて、キミはどんな攻撃ができるのかい?」


(…どうする、私。ティシィワズフェンリル…だったかな、ティシィワズフェンリルでしたことをするか。でも何で出来たのか分かんないんだよな〜!)

原理もわかないものに頼りたくはない。そう頭を抱えつつ考える。


「…」


(…ギルド長は待ってくれるんだ。聖人だなぁ。)

とはいえそんな呑気なことを考える暇はない。


「こちらから、仕掛けても良いか?」


しびれを切らしたのか、ギルド長はいつのまにか持っていた剣を構えて喋る。


「喋らないのなら肯定とみなす!」


そう言ってこちらに向かってくるギルド長。大きな体に似合わない素早さで距離を詰められる。

(…でも、あの黒い化け狼ティシィワズフェンリルよりは遅い!)


『来ないで!』


高い声がさらに高くなる。そう気づいた時にはギルド長は、はっと何かに気づいたように目を見開き、そのまま退避する。

(…避けられた!?)


「なるほど、声を媒介とした魔法か。ずいぶんと珍しいものを使う!」


剣に力を溜めつつギルド長は喋る。

(…もっと詰めないとなのか)

あれ以上詰める、そう考えるだけでゾッとする。何せ何の攻撃を受けようと即死する可能性があるからだ。

審判をするために近くに待機していた受付嬢のチェガーさんが喋る。


「試験をする側の自身の強化は反則ですよ」

「…」


ギルド長はその言葉に固まる。ぴくりとも動かず、只々宙を見つめるのみ。顔には冷や汗が浮かんでいる。さてはこの人、ズルをしたというのか。否、何かしらのブラフ?

(いや、逆に言えばこちらからいけるということ!)


『シュトレンさん、剣を手放し…』


そう言い終わる前に体制を整え直したギルド長が剣を振るう。ゴトッと鈍い音がし、体から力が抜ける。痛みで頭が真っ白に染まるが、なんとか持ち堪えることができた。

息をひとつ吐き、調子を整える。鼓動はそう簡単に収まらない。今度はしっかりとギルド長に目を向け、先ほどよりも早口で話す。


『ギルド長、剣を手放して…』


そう言い終わる前に、ギルド長は剣を手放した。


「…え?」


剣はそのままチェダーさんが回収するが、一度剣を落とした。


「…この勝負、メイさんの勝ちです。」


チェガーさんが下した判断により、僕はあっけなく勝利した。

ギルド長はこちらを見てニヤリと笑う。


「…降参だ。」

「…ど、どうしてですか?…」

「はーーっはっはっはっはっは!!!」


ギルド長の高笑いが響く。


「いやーっ!凄い!メイくん、キミは実に素晴らしい!木刀とはいえ、この私の剣を受けて立っているとはね!」

「そんなに素晴らしいことなんですか?」


その問いにはチェダーさんがこめかみを抑えながら答える。


「シュトレンさんは、このギルドの中で2番目に強いのですよ」

「ええ!?そうなんですか!?」

「いってなかったか?」

「言ってません、でした…よっ…!」


あ、やばい。そう感じた頃にはもう遅く、僕は意識を失い、そこで倒れた。


「メイー!」


ギルド長、うるさいなぁ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ