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第十九話 印刷までの道のり③

何も更新しないとは一言も言っていないのでね

半年待ってた人は本当にごめんなさい

でもマイペース更新って書いてあるからね(言い訳)


「うわぁ……」


僕の口から漏れ出した言葉は、目の前の教科書()()()()()()()()()()に向けられたものだ。何を隠そう、落丁乱丁は当たり前、ガタガタ配列の文字に濃淡の激しいインク、挿絵の位置に文字が重なっていたりととても人様に出していいもので無いのだ。


「誰だぁ!これ作ったのは!」


独り言と定義するにはいささか大きすぎる声を出しながら責任者を探す……僕だわ。そうだ、これを作っている間の現場監督としていくはずだったのに、風邪を引いていたから行けなかったのだ。五日も。

(うわ、僕の身体、弱すぎ…‥?)

過ぎたことはもう取り戻すことができない、覆水は盆に返らない。ならば未来に目を向けようと気持ちと頭を回す。

(とりあえずは印刷所に向かってみるのが一番いいかな?)

印刷所はギルド近くの広場から伸びる四本の道のうち、ギルドから見て北方向にある。そっち側に大衆は住んでいることが多く、労働力を多く集められると思っての設置場所だ。因みに、学校も北側に作られてはいるが、より中央広場に近いあたりにある。

学校に届いた印刷物を手に持ち、印刷所へと向かう。平地なので大丈夫…だと思っていたのが間違いだった。北側には多く人が住んでいる、これは人混みが他のところよりも多いことを意味している。ギルドに所属している会員は基本放浪者なので住んでいることは少ないが、会員全員いるのではないかと言えるほどの人混みが多かった。子供並みの身長の僕は道に迷うだけでなく、体力を多く使ったので着いた頃には息も絶え絶えになっているのだ。

(…もう、嫌になるなぁ…体力作りをしないと…)

そんなことを思いながら息を整え、印刷所の扉を開く。目に飛び込んできたのは単色の壁と床、天井の中で数台の印刷機が置いてある、殺風景の部屋だ。それもそうだろう、急ピッチで進めたのだ、ギルドという最高のスポンサーの手を借りたとしてもこんなものだろう。頭を強引に納得させる。


「おや、どうしたのかな?君みたいな子が来る場所じゃないよ」


上背はあるが肉付きのそこまで良くない男性が声をかけてくる。服装はボロボロだが質の良い、おそらくは古着屋で買ってきたような服にエプロンというザ・作業者のような服をしている。

(そういや、アイツは古着すきだよな…ああ、色々着せられたっけ…)

思いがけないところからの攻撃で古傷を抉られ、うおぉぉ と唸っているところ、先ほどの男性が話しかけてきた。


「ど、どうしたのかな?いきなりここにきたと思ったら…唸り出して…」

「あ」


そうだ、ここにきたのは印刷物に文句を言いにきたからだ。気を取り直してその男性に物申す。


「あの、この本を作ったのはここですか?」

「うん、まあそうだよ。それが、どうしたのかな?」

「この本を見て、何か思わないのですか?」


そう言って本を開き、見せる。それを見た男性はというと…


「ふうん、これがどうしたのかい?」

「え…?」


何を言っているのだ、本だぞ?知識の塊ぞ?


「いや、これを見て何も思わなかったのですか!?」

「え、まぁ、はい。そうですね」

「そうですか…」

「それで、それがどうしたのかい?」


一切悪びれていない声。だが、()の堪忍袋を断ち切る裁ち鋏としてはこれ以上ない言葉だ。


「そうですか…では、」

「では?」

『では、そこに座ってください!』

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