第十二話 スタンピード②
魔物の大量発生…
数年に一度、特定の魔物が大量に発生すること。巣の中にその魔物の王と女王が出現し、その影響で魔物の数が通常の4〜6倍に発生する異常現象だ。
また、この時にしか出現しない、特大種なるものもいる。
なお、人類はこの魔物の大量発生によってこの世界のあちらこちらに出陣したらしい。
「タンク!守って!」
「応!絶対防御!」
盾を構え、そう叫んだ時、盾の前に薄い光の盾が出現した。魔物…小鬼族の攻撃は跳ね返され、薄い光で消滅した奴もいた。
「次!ヒーラー!」
「はい、回復!」
杖、本の先から光の玉が現れ、小鬼族のもとに近づく。触れた瞬間、光の柱によって姿形はまたたく間にすっかり消滅し、後には魔石が転がっていた。
「次!タンク、いけるか!」
「了解!絶対防御!」
光の盾がまた現れる。光の盾に阻まれている間に攻撃系の回復呪文、回復で攻撃。
ヒットアンドアウェイのアウェイが消えたような戦い方は小鬼族に何もさせずに着実に数を減らしている。敵ながら同情してしまうのは、私の心が弱いからなのか。
また、罠師の活躍も凄まじく、閃光弾の投げ込みでの錯乱、地雷を使っての消耗、投石器+爆弾のコンボで殲滅など、頭の回転の速さと瞬時に行動に移せる思い切りの良さ、計算高い戦法で、パーティに1人は欲しい人材だと掲示板に貼ってあったのを思い出した。
そうやって町の防衛をする。消耗した人は後ろの別の同じ役職に交代しギルドからの支給品である飲料薬を飲んでの回復、ヒーラーは魔力回復薬を食べての回復、罠師は物資の補充をして、常に万全の体制を確保している。
ちなみに町の人には家に帰ってもらい、あらかじめ作ってあるシェルターに隠れてもらっている。そのシェルターには食料に小さい畑、調理場もあるため生活するだけなら大丈夫だそう。
私の出番はそうそうないので指示をしていると、山の方から煙が上る。おそらく攻撃によるものだろう。どちらのかは分からないが。
(…そういえば、リタは大丈夫なのか?)
そんな事を考えながら指示を出すこと2時間、だんだんと小鬼族にもいろいろな種類がいることがわかる。まず一番小さく、地雷で消滅する極小鬼。それよりは大きく、木の棒を持って攻撃する小鬼。それよりも大きく、斧や弓などを使う頭の良い、それでいてタフな大小鬼があることに気づく。
そんなとき、何やら大きな影が見えた。
大小鬼よりも2回り程大きい。町の壁よりも大きいその筋骨隆々な体には血が付着しており、おそらく地雷の攻撃だろう。手の中の一本の木は片手剣が、足には仲間の骨の破片に内臓、血をつけての登場。
「え、え、特大小鬼だぁぁぁ!」
どうやら、私の出番らしい。
なろうらしくなってきました