第十話 嵐の前の静けさ②
挨拶をして行こうとしたら、チェガーさんから弁当をもらった。どうやら、宿の金額に弁当がついてくるらしい。チェガーさんにありがとうを伝えてギルドの扉を開ける。差し込んだ光は意外にも眩しく、思わず目をつむった。前世の僕は、学校に行く以外ではあまり外には出ずに勉強をしていたので、日光に慣れていない。なんなら少し病気がちだったからね。
眩しさにも慣れ、うっすらと目を開ける。夕方とはまた別の活気があった。面白そうな武器防具、禍々しいポーションに古めかしい本の数々。食材を取り扱う出店が少なく、道具みたいなのが売っているのが大半。屈強な男たちがガヤガヤと騒ぎながら買っている。
(うわー、なにあれ。)
そんなふうに思ってしまうほどにはむさ苦しい。
あの中に入らないように歩いていたら、門までついた。そこには、
「あーーっ!傭兵さん!」
「おっ、あの時の嬢ちゃんじゃぁないか!どうだ、ギルドにはいけたか?」
「はい、いけました!」
そう言って私は銀色に煌めくギルドカードを見せる。すると傭兵さんが目を見開く。
「…嬢ちゃん、まさか銀級になったのかい?確かに、何か違うな、とは思ったが…」
(…失礼すぎない?)
傭兵さんは失礼なことを言っているのを分かっているのか?いや、こっちでは、褒め言葉なのか?
「ありがとうございます、傭兵さんのおかげです」
「いや、ここまで登ったのは嬢ちゃんが凄いからだよ。」
「どうも…それよりも、通してくれますか。」
「ああ、すまないね。では、気をつけてね。」
傭兵さんに、挨拶をしてそのまま出る。前はよく見ていなかったが、堀に橋がかかっていて、その周りに生えている。
「これが…薬草…」
薬草であるかどうかをちゃんと確認しつつ、採取する。あまり多く取ると絶滅しそうなので、あまり取らないようにする。
(多くね?)
3割ほど採取した頃には、昼ごろになり始めていた。そこで、周りを見渡しひらけた場所を見つける。少し遠いが、いい場所を見つけられた。切り株に腰掛けて弁当を取り出し、食べる。中身は、フランスパンとサラダ、固い何かの肉に冷めたスープになっていた。
(…まあ、そんなもんでしょうね)
ここはなんでも揃っている前の世界ではないのだ、ということに改めて感じる。とはいえ、不味いわけではなく、フランスパンはフランスパンだが、サラダは肉と一緒にパンに挟むとおいしかったし、スープにつけることで柔らかくなって食べやすかった。
そうやって全て食べ終え、ごちそうさまをする。
さあ、町に戻ろうと意気込んだとき、町の前の道をダッシュする人影が見える。かなり必死そうだったので何かありそう、そう感じて道を遡っていくと、山がザワついていた。さっきの人はおそらくあの山に登り、何か事を起こしてしまったのだろう。
(馬鹿なんじゃぁないのか?あんなに騒がせるなんて)
山に登って帰ってこれない、みたいな人よりかは運がいいあの人にどう接すればいいのかわからないが、放ってはおけないのでこちらも走って追いかける。
ない体力で必死に追いかけて、そろそろ捕まえられそうと思っていたら、
「っ!!!!」
と驚き、今まで以上に速く走って逃げてしまった。
(驚かせちゃったかな?)
と少し反省し、追いかけようとする。
しかし、あの人の足は想像以上に速く、全く追いつくことができない。
その人は門の前で傭兵さんに捕まっているようだ。
こちらとしても話がしたいので、速めに歩く。
ところどころで息を整えつつも、ついた頃にはすでにもう話が終わっていたようだ。
「お、嬢ちゃ…いや、メイちゃん!」
「ひゃ、ひゃい!」
(いきなり名前呼びは反則だろ!びっくりしたんだけど!)
「ど、どうしたんですか、」
「ああ、この子かい?」
そう言って指差したところにいたのは、自分よりも一大きい背丈に剣を持っている、いわゆる所の騎士がいた。
ついに十話行きましたよみなさん!ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
さぁ、キャラデザを文字に起こさないと、