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第三十八話、《ジ・エンド》―終わる彼らの物語―



 前回の超天才的なあらすじ。

 無限に湧く強敵が用意されたので、あたしはレベリングを提案しました。

 以上!


 なのに敵であるはずのワンコは激おこだし。

 こっちの味方は全員呆れ顔。

 池崎さんが言う。


「あのなあ、真顔で何いってやがるんだ嬢ちゃん」


 と、眉間にシワを寄せ変な顔をしているが、そのレベルはたったの二百ちょっと。


 ここはこっちが大人になって諭す場面だろう。

 あたしはジト目で腕を組み。


「いや、正直ね――悪いんだけど、二人ともこっちが心配になっちゃうぐらい弱いし。だったらここで大幅にレベルアップしちゃった方が楽でしょ? どうせこのペスを退治しても、今回の事件に関わってたアプリ開発者にはつながらないんでしょうし。ここまで関わっちゃったなら、あたしも最後まで付き合うつもりだし? 言っちゃなんだけど、流れた魔力弾の一発で消滅しちゃうぐらい弱いままのあなたたちを、このまま守り続けるのもしんどいのよ」


 言葉を切って。

 あたしはにひぃっと邪悪な笑み。

 ビシっズバっと言ってやる!


「だったら! この無限湧きのゾンビで、稼がせてもらいましょうよって話!」


 池崎さんが銜えタバコをペコペコしながら言う。


「おまえさんの場合は……冗談で言ってるわけじゃねえんだろうな」

「当たり前でしょう! こんなの倒すのは簡単だけど、珍しい現象が起こってるんだしっ、あなたたちの貧弱レベルもどうにかできるし、一石二鳥なの! チャンスなのよ!」


 一番レベルの低いヤナギさんは、レベリング自体には興味があるのか。


「ふむ、そうですね……我らはファンタジー素人だが彼女は違う。否定するにしても知識が足りません。アカリさんの話を聞くべきではないですか?」

「とはいってもなあ……」


 困った様子の池崎さんとは裏腹。

 クール眼鏡でニワトリモードなヤナギさんは、あたしに問う。


「とりあえず情報が欲しい所ですね、アカリさん。具体的にはどうするつもりなのですか」

「よくぞ聞いてくれました!」


 お兄ちゃんが、あ、バカ聞くんじゃねえって顔をしているが。

 気にせずあたしは、計算式から導き出した経験値工房の魔術式を展開!

 分かりやすく空に浮かべる。


 魔術式を読める炎兄とペスは、うげっ……と複雑な術式にバッドステータス錯乱状態になるが。

 気にしない。


 池崎さんも魔術式を少しは読めるようだが、レベルが離れすぎているので問題なし。

 気持ち悪くはなっていないようだ。

 こういうのって、理解できる力があればあるほど逆に錯乱してしまうのである。


 池崎さんが呟く。


「おいおい、なんか無茶をやらかそうってのは分かるが――本当に大丈夫なのか?」

「ま! 見てれば分かるわよ! あたしに任せなさい!」


 告げながらも指を鳴らしショータイム!

 まずは無限湧き再生アンデッドマフィアに対して、無限攻撃の自動攻撃魔導書を作成!

 さっきの魔導図書館の応用である。


 ズビビビビビズババッバン!


 コミカルな音を立て、Gのごとく湧くアンデッドマフィアを殺戮し続ける。

 肉塊を削っているのだが。

 人体の形をしたブロックのお肉をビームで溶かし続けている、そんな場面を想像して貰えばいいだろうか。


 い、いや、これ以上のたとえはやめておこう。


 この数分の間で、ファンファーレが鳴りまくり。

 既に二人のレベルは、五十ぐらいは上がっている。


「とりあえずは実験成功ね。経験値入手の確認と、リポップした存在での経験値再入手も確認済み。これで問題なく本題に移行できるわ」


 うんうんと計算式をくみ上げ続けるあたし。

 とっても優秀な魔術師ね?


 錯乱状態が解除されたペスが、はっ!

 と、犬目を見開き。

 ガルルルルっとワンコの口をプルプルさせ、くわ!


『ぐぅぅぅぅぅ、好きにさせておけば小生意気な! 我の使役アンデッドでレベル上げなど、なめとるのか! 小娘! 魔術詠唱! 我のアンデッドの猛攻は天をも衝く稲光が如く! 喰らえ、ゾンビの――』


 肉球を翳すペスが魔術式を展開。

 一旦、合体させたアンデッドの塊を解除し分裂させようとするが。

 あたしは指をくるりと回し、魔術式に干渉。


「はいはい、キャンセルキャンセル」

『な、他人の魔術式に直接介入だと!? どれだけ非常識な娘であるかっ。ならば、死骸の――』

「はい、キャンセル」

『小癪な! 不死の――』

「はいはい、それも無効。禁止制限行き――ああ、もう面倒だから基本的に全部封じとくわね」


 魔術の妨害はあたしの十八番。

 魔術式への介入も得意技。


『コ、コラ! 我が魔術を返せ! 秘奥義、死霊の盆踊りが発動できんではないか! だいたい、なんなんだ、その術構築速度のチートっぷりは。バケモノか!』


 キャンキャン吠えて、ガッルウルル!

 垂れ耳を揺らすビーグルちゃんに、あたしは目線だけを向け。


「ワンチャンは黙ってましょうねえ。レベルが上がらなくなるぐらい稼いだら、ちゃんと倒すなりGET(テイム)するなりしてあげるから~」

『人をゲームの魔物扱いするでない!』

「ゲームだなんて思ってないわよ。でも、後で相手をしてあげるってのは本当よ」


 告げてあたしは一瞬だけ転移。

 出現位置は肉の塊の裏で隠れているペスの背後。

 そう、いつでもあなたをどうにかできますよ、そういうサインでもある。


 ワンコの頭をなでなでして。


「そーれ、モフモフモフ!」

『うぬ!? 背後を取られた!?』


 うぬぬぬ! っと肉球をクニクニしているのが可愛い。

 その垂れ耳に吐息をかけて。


「はい制圧完了! ペスちゃんさあ、ちゃんと転移妨害もセットしとかないと、今ので本当なら終わってたわよ?」


 言いながらも、ふふふっとあたしは再転移で元の位置に戻り。

 力を発動させ続ける。

 天地が割れるほどの音が、ダンジョン内外に響き渡っているだろう。


 どんどん気分が高揚してくる。

 魔力と血の高鳴りを感じる。


 赤い魔力をドレスのように体躯に巻き付け。

 カクテルドレスのようにくるくるくるくる、魔力の渦と計算式が膨らんでいく。

 あたしはうっとりと微笑み、にやり♪


「ああ! 魔術って本当に最高! 学べば学ぶほど力になるなんて、なんて素敵な技術なのかしら!」


 魔導の技術をフル発揮!

 十重の魔法陣を並列させた状態で無数に展開。

 時間に干渉したり、外界に接続したり小細工の連打!


 ゲームの腕を利用した――自動アンデッド討伐ラインを作って、魔力をセット!

 さあ出来上がり!


「ワンコに退治された哀れなる……いや、哀れでもないか。とにかく! そこのヤクザアンデッドたち! 世のため平和のために、この二人の経験値になりなさい!」


 ビシっと指差し、ポチっとな!

 ガッコンと、魔術の起動音が響く。

 見た目は……まあ、普通の超特大なベルトコンベアーだけど、実用性があればいいのだ!


 流れる部品のごとく、流れるヤクザアンデッドがブチっと自動攻撃魔導書に消される。

 頭上からの魔力レーザーである。

 消された塵が再び再生するころには、次の自動攻撃魔導書がちょうど真上にセットされ。


 以下繰り返し。


 ペスの魔力が尽きれば自動再生もしなくなるが、そこはそれ。

 さっき、一瞬背後をついたときに魔力供給をする魔法陣をこっそり仕込んでおいた。

 あたしの魔力を共有させたので、魔力が尽きることはない。


 まさに、完璧!


 ベルトコンベアーの様に滅ぼされて復活する。

 自動経験値マシーンの完成である!

 ファンファーレ音が、嫌というほど鳴り続けている中。


 餅つき状態になっているアンデッドマフィア工場を見て。

 ワンコが露骨に眉を顰め。


『うっぷ、げ、外道か……っ。娘! 見た目がひたすらえぐいぞ!』

「いや、アンデッドでゴーレムを作ってたそっちには言われたくないんですけど……?」


 どっちもどっちという言葉もあるが。

 ともあれ。

 あたしは、殺され再生し続ける経験値君たちを見て。


「こりゃ効率良いわね、いやあ、戦闘訓練はともかく基本経験値を稼ぐのって面倒だから助かるわ」

「お、おい。なんでオレ達は戦ってねえのに、こう、なんつーか、力が湧いてきてるんだ」


 戸惑う池崎さんに向かい、こほん!

 あたしは裏技を駆使するゲーマーの顔で。


「パーティ育成のちょっとした裏技。いわゆるパワーレベリングってよばれるインチキなんですけどね――常にあなたたちの魔力を極小単位で使っているから、システム的には戦ってる扱いになってるのよ。んで、二人ともあたしのパーティに入ってる扱いになってるし? あたしの生み出した自動マフィアゾンビ粉砕魔術で倒した経験値が、そっちにもいってるって寸法よ!」

「あの、経験値という概念がそもそもよく分からないのですが……?」


 と――ニワトリモードを保ったままメガネをあげるヤナギさん。

 こっちは、本当に魔術素人なのか。

 ロックウェル卿のおじ様、戦い方とかは教えていないのだろう。


 しばしあたしは考えて。


「んー……論理的に説明できないこともないけど。魔術師じゃないと理解できないでしょうし……まあ、異能があるんだから経験値ぐらいあっても不思議じゃないでしょ? 一緒に戦えば成長する。世界の法則が作り替えられてるんだから、そういうもんなのよ」


 無限経験値稼ぎ工場を完成させた偉大なるあたしに向かい。

 ある意味で今回の功労者。

 ペスちゃんが唸りをあげる。


『こら、小娘! 分かっておるのか!?』

「なにがよ」

『こやつらは死んでいるとはいえ、我に使役される魂。その心はまだ死骸の中に残っておる、滅ぼされ、再生させられ。何度も死を繰り返し、その度に苦痛を味わうことになるのだぞ!』


 変なことを言うワンコである。

 眉をひそめてあたしは言う。


「分かってるわよ。魔術式を見れば一目瞭然だし……それがどうしたの?」

『キサマには、人の心というモノがないのか!』

「失礼ねえ、ちゃんとあるわよ。まあ純粋な人間じゃないから、半分ぐらいだけど」


 ジト目であたしはペスを睨んでいた。

 人間とは何を示すのか。

 その辺の話題は、デリケートな部分でもあるのだ。


『そーいう種族がどうとか言う話ではない! ウガウガウルルルゥゥ、というかだ! なぜ我の方が死者の魂と心について心配せねばならぬのだ!』

「ああ、なるほど。あんた、殺され続けるヤクザ達の心配をしてるのか」


 あたしは女子高生スマイルを浮かべつつ、転移!

 ワンコを抱きながら。

 モフモフなお腹をわしゃわしゃして言ってやる。


「なによペスちゃん、ういうい! あんたけっこうお人よしじゃないの~!」


 ま、主人を不幸にした連中への恨みは凄いが。

 それ以外では、本当に普通の犬だったのだろう。


 あたしの腕の中で、ジタバタしながらペスが唸る。


『とにかく! いますぐこの外道な工場を止めよ! 魂の冒涜うんぬんを言い出したのは、キサマの方ではないか!』


 さて。

 そろそろネタばらしをする時間か。

 あたしの喉の奥からは低いトーン……。

 魔族の姫としての吐息が漏れていた。


「大丈夫よ、冒涜してもいい連中に絞ってるし。ほら! あなたが今、このアンデッドヤクザの核に使っている連中。よーく見てごらんなさい」

『うぬ? なにをいって――』


 ワンコがじっと虐殺工場……。

 じゃなかった、経験値工場に目をやって。


『これは……、まさかきさま、いつのまに!?』


 ここ、実はドヤポイントである。

 やっと理解して貰えたようで、あたしはニヒヒヒっとブイサイン!


「そうよ、ちょっと小細工をさせて貰って。無限に死ぬのはあなたのご主人様に害をなした奴だけ。つまり、振り込め詐欺であなたの大切な家族を不幸にさせた連中だけに絞ったわ」


 自慢げにふふん! とするあたしに、ワンコがキャンキャン吠える。


『絞っただと!? どうやったというのだ!』

「そんなの簡単じゃない、単純な話よ?」


 言って、あたしは使用した魔術式を開示!

 ダンジョンの空を、青白い光が覆いつくす。


 ざざざ、ざぁあああああああああああああぁぁぁぁぁあぁぁ!

 ざぁあああああああああああぁぁぁあああぁぁぁああぁぁぁ!

 ざっざあぁぁあああああああああああああああああああぁぁ!


 美しい計算式がキラキラキラ。


 膨大な魔術式が夜空を照らす星より明るく、ダンジョンを照らしたせいだろう。

 池崎さんがタバコを指からこぼれ落とし。

 炎兄が隆起した肌に浮かべた汗を蒸発させ。

 そしてペスも言葉を失った様子で、魔術式の海を眺める。


 魔術講師としての顔で。

 あたしは言う。


「経験値工場を作ったときにあなたの記憶に接続して、犯人の割り出しをするべく影を通じて、あたしの配下の三魔猫っていう異界の公爵に連絡。ダンジョン内だけの時間経過を時魔術でいじって遅らせている間に、連絡を受けた公務員の大黒さんていう美人さんがいるんですけど、その人に情報を精査して貰って。犯人を完全に割りだし。アンデッド状態になっていたヤクザ達の鑑定を終えて、魂の配列を変えて分裂させて――あんたのご主人を酷い目に遭わせた犯人だけを抽出してアンデッドのゴーレムを再構築。残りはちゃんと成仏させて。事件の発端となった巨悪を、経験値ラインに使っただけよ?」


 極めてシンプルな解決方法である!

 なのにだ。

 炎兄が、呆れた様子で肩を落としている。


『時魔術に原子配列変換を利用した分裂……っ、娘よ。自分が何を言って、いや、やっているのか分かっておるのか!? そのような事をあの一瞬で?』


 お兄ちゃんが、ワンコの背後に転移顕現し。

 その垂れ耳に、口を寄せて言う。


「ペスさんよお、こいつはこーみえてマジで天才なんだよ。こんな性格で、こんな楽天家で考えなし娘だが――お前さんも魔術師なら魔術論文の事は知ってるだろう? 申請すればだれでも閲覧できる、無限ともいえる魔術知識の宝庫。こいつはその全部をガチで暗記してる、魔術理論を網羅した知識欲のバケモノなんだよ」


 バケモノは失礼だが。

 まあちょっと格好いい言葉だったので許す!


『不可能とは言わぬが、神にも匹敵する力であるぞ! そんな力量ならば我を倒すことなど簡単……に……』


 ペスの言葉はそこで途切れる。

 気づいたのだろう。

 このあたしが温情をかけまくって、なるべく犬を殺さないようにしていることを。


『ああ、そうか――そういうことか。我は大海を知らぬ蛙。釈迦の掌の上で踊る道化であったと』


 ようやく、気づいて貰えたようである。

 ま、まあちょっと自慢もしたかったし?

 池崎さん達のレベルアップもしたかったし?


 レベルアップ音が響く中。

 魔力のドレスを纏ったまま。

 あたしは静かに告げていた。


「まあ、ただでさえ主の事で傷心なあなたを虐めたくなかったしね。実力差に気付いて降参してくれることを待っているのは事実よ。降参してくれると、あたしは助かるんですけど。どうかしら?」


 ペスは敗北を認めているようだ。

 自らの家族を不幸にした犯人たちに目をやって。


『しかし、良いのか? あやつら、無限の苦しみを味わうことになるのだぞ』

「あら、別にいいじゃない――だって、ご高齢を狙って詐欺をするような連中、あたしも気に入らなかったし。それにね、弱い者だけを狙って犯罪する人って、とてもつまらないじゃない?」


 ビーグルの瞳が、見開かれる。

 ぞっとした顔で。

 あたしの瞳を覗いていたのだ。


 闇の中。

 白雪のような肌を輝かせ。

 赤い唇が、蠢いていた。


「あたしの物語には、そんな人――要らないわ」


 おそらく。

 一瞬だけだが。

 あたしの中に潜む魔性の力が溢れていたのだろう。


 世界が混沌に飲み込まれるような。

 軋む音が鳴る中。

 あたしの唇が、言葉を淡々と漏らす。


「彼らが起こした身勝手な犯罪で、多くの人が死んだのですから。因果応報、悪因悪果。彼らの物語の結末は、他人を不幸にした分の不幸を受けました。それでジエンド。よくある人生の終わりだと、あたしはそう思うわ。だから、あたしはこうするの」


 言葉を零して。

 あたしは細く白い指で、無から作り出した本を閉じる。

 唇が、動く。


「異能解放:《ジ・エンド》――終わる彼らの物語――」


 パタン。

 静かな音と共に、本が閉じられた。


 そこには新たな魔導書が生まれていたのだ。

 開ければ自動経験値発生装置が作り出される、魔導アイテム。

 これもまた、本気を出したあたしの異能。


 人としてのあたしの異能が、猫使いの力なら。

 魔としてのあたしの異能は、この他者の魔導書化。


 ついさきほどまで、あそこで死に続けていたアンデッドマフィアは消えている。


 この本の中の物語として、封印されたのだ。

 あたしは彼らの物語をアイテムとして、保存したのである。

 それこそが他者へ付与する強制魔導書化。


 むろん、誰にでもできるような魔術ではない。


 戦意を完全に喪失したのか。

 ペスは、はぁ……としっぽを落とし。


『そなたにはどうあがいても勝てんか……分かった。我の負けだ。好きにすればいい』

「よーし、なら好きにさせて貰うわ!」


 言って、あたしは背後に回ってペスを抱き上げ!

 くるくる回って、兄の前に持っていき。


「ねえねえ! お兄ちゃん、この子、あたしが飼っていいでしょう!」

「ったく。てめぇは……あんな物騒な禁術をつかっておいて、しれっとお兄ちゃんとか言うんじゃねえっての」


 ガシガシガシと燃える髪を掻く、その表情は兄の顔だが。

 術自体への畏怖があるのか。

 兄の瞳の奥には微かな動揺の色があった。


 兄は強いからこそ、先ほどの魔術の怖さを知っているのだ。

 だが!

 あたしの魔術にも慣れている兄はすぐに、フハハハハハ!


 腕を組んで、全身を炎で燃やしボボボボボ!


「まあそうだな! こいつを拾ってやるって意見には賛成だ!」

「さっすがお兄ちゃん、話が分かる~♪」


 シリアスな空気は死んだ。

 池崎さんが困った顔で、ぼそり。


「いや、兄妹……そいつ、重要参考人だろ? いや、犬か。どっちにしても、すぐには飼うとかそういう話にはならねえぞ」


 外と連絡を取り始めたイケオジ未満のレベルは……。


 とりあえず千にはなっている。

 またレベル上限。

 いわゆるカンストになってしまったようだ。


 上限を突破する何かをしないといけないのだが。

 まあその辺はまた今度かな!


 影の中から三魔猫が、うにゃにゃ!? っと犬の台頭に気付き。

 叫んでいるような気がするが。

 気にしない!


 アプリ開発者の追跡など――。

 事後処理は山ほどあるだろうが。

 これで一応の、事件解決である!


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