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ヲタッキーズ49 MS.不確定性原理

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

彼女が率いる"ヲタッキーズ"がヲタクの平和を護り抜く。


ヲトナのジュブナイル第49話"アキバファイブオー"。さて、今回はメイド宝石店が強盗に襲われオーナーの娘が人質にw


都知事から包括的権限を与えられたヲタッキーズは、悪徳テレパス姉妹に操られた不確定性原理ガールに接触しますが…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 宝石強盗の車


いまさらだけど、メイドカフェの次には何が来るのだろう。

…実は、コレって今からン10年も前のトレンド雑誌のネタw


「カフェの風俗化が進んで全てのカフェはキャバクラになってる」

「いや、進むのはメイドの板前化でメイド寿司が流行るだろう」

「うーんメイド眼鏡屋だな。八百屋が来るカモ」


結局、一億総地下アイドル化が正解だったのだけど、ソンな試行錯誤の遺産。

ソレがパーツ通りの裏にある「ジュエリーヲタク」で店員が全員メイド服だ。


「おかえりなさいませ、お嬢様。お探しの宝石はダイヤ?エメラルド?」

「いいえ。メイト長はいらっしゃる?」

「接客中なので私がお話を伺います」


マキシの上品ワンピだけど、店内をキョロキョロと見回す何処か挙動不審な女子が入店。


「本人じゃないとダメ」

「では、少しお待ちください。アチラにおかけを…」

「コチラは、とても大胆なデザインの…あ、あら?」


婚約?中のカップルを接客していたメイド長のトコロにムリヤリ割り込む挙動不審女子w


「ライサさん」

「お嬢様、少々お待ちを。順番に…」

「悪いけど待てないの」


強引だ。メイド長のライサは直感でトラブル対応モードへ移行、婚約カップルに詫びる。


「失礼すぐ戻ります…お嬢様、こちらへ。何か私にご用でしょうか?」


女は、華やかなジュエリーを収めたショーケースのガラスの上に、黙ってメモを広げる。


「コ、コレは?」

「メモに従って。さもないと貴女の娘さんの命は保証出来ない」


さらに、女はポラロイド写真を見せる。いたいケな幼女が椅子に縛られ口に粘着テープ。


「ミンク!」

「メモの通りにして。私は本気よ。全ては貴女次第。早くダイヤを寄越して。メイド長のライサさん」

「わ、わかったわ(オーケー)


ショーケース裏側の引き出しを開け、小粒のダイヤを1皿、女のハンドバックへ流し込む。


「あら?娘が死んでも良いの?」


もう1皿ダイヤをハンドバックに流し込む…気配を察した店員がガードマンに耳打ちスル。


「ダイヤは渡したわ。ミンクは?」

「全てが済んだら帰す。ただし、絶対に通報しないで。24時間待つのょ」

「え。ダメよっ!そんなには待てないわ!」


耳を貸さずにオドオドと立ち去る女に同じ位オドオドしてるセキュリティが声をかける。


「と、止まって…」

「え。」

「やめて!」


ハンドバックから何かを取り出そうとした女にセキュリティが発砲し、弾丸は女を貫く…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


30分後、現場は大混乱に陥ってる。


「状況は?」

「メイド長のライサさんのお嬢さんミンクちゃんは幼稚園に登園してません」

「うーんマジで誘拐されたみたいね」


万世橋警察署のラギィ警部が現場に到着。


「射殺された女の身元は割れたの?」

「所持品は、車のキーにサングラスと5000万円相当のダイヤだけです」

「武器は?」

「武器というか…」


鑑識がビニール袋に入ったチェキを見せる。


「コレを見せるために命を落としたの?」

「警備員は、彼女がてっきり銃を出すと思い射殺したそうです」

「うーん人質の命が心配ね」


椅子に縛られた幼女だ。口には粘着テープ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


早速、万世橋警察署(アキバP.D.)で捜査方針会議だ。


「配った写真は、オーナーでありメイド長のライサと8歳の娘ミンクょ。強盗より誘拐事件の捜査を優先します。先ず、誘拐犯を探し出して頂戴。なお、本件はメイドが絡むコトから秋葉原において知事より"包括的権限"を付与されたヲタッキーズ、通称"アキバ50(ファイブオー)"との合同捜査となります。射殺された女の身元は?」

警視庁(さくらだもん)のデータベースに指紋の一致(ヒット)はありません。検視官が病院の記録を調査中」

「女の車が見つかれば何者かがわかるわ」

「付近に該当する駐停車はありませんでした」

「どうやって彼女が秋葉原まで来たのかを調べて。地下鉄、バスや自転車」

「共犯者の車に決まってます。女の単独犯は統計的にも少ない」

「そぅね。悪いのは、いつも男」


捜査員の男性陣から怨嗟の声w


「ソレも統計的データかょ?」

「はい、ソコまで!とにかく!身元を突き止めて。人質を救う鍵ょ。質問は?じゃ行って!」


捜査員は一斉に散る。


「警部。人質が生きてる望みは少ないかと」

「ダメ。生きてると信じましょう」

「どーもー」


入って来たミニスカ白衣女子は、ルイナだ。


「あら?あらら?みんな何か深刻そうw」

「何しに来たの?」

「え。夏休みの自由研究の提出だけど…」

「夏休みの自由研究?」

「頼まれてた地理的犯罪指数ょ?面白いパターンが見つかったの!」

「ありがとう。置いといて」


ラギィ警部は、ケンもホロロな塩対応←


「徹夜したのょ?」

「あ、ゴメンね。誘拐事件が勃発して頭がいっぱいなの」

「犯人は?」

「手がかりは身元不明の女」

「その女のデータは?」

「サングラスをかけて車に乗っていた」

「これが彼女の車のキー?」

「YES。でも、付近に該当車はナシょ」


ルイナは、史上最年少の首相官邸アドバイザーを務める、いわゆる"天才"のひとりだ。


「リモコン式のキーって問題があるのょね」

「数学的に?」

「ホラ、リモコンキーを使ってる人って多いじゃない。そもそも新車の8割に装備されてるし」

「だから?」

「聞いて。車ごとにリモコンは違うの。さもないと、他の車のロックも開いてしまう」

「周波数が違うのね?」

「いいえ。周波数はどれも同じょ。でも、中のコードがそれぞれ違うの。つまり、このリモコンキーには数学に基づく技術が組み込まれてる。意外だけど、このコトにはテリィたんが詳しいわ。地球外知的生命体探査の宇宙電波受信計画で扱ってるから」


ラギィ警部は、ふぅと溜息をつく。


「何でココでテリィたん?…とにかく!女が乗って来た車を探し出せるのなら、黒いネズミでも、白いネズミでも…テリィたんでもw大歓迎ょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"ジュエリーヲタク"でのメイド長ライサからの事情聴取はラギィ警部自らが実施スル。


「ミンクちゃんを最後に見たのは?」

「今朝、キッチンで朝食を食べてたわ」

「いつも私立金澤幼稚園へはひとりで登園してるの?」

「近所なので」

「確かに8時半ごろタワマンを出たと言う目撃証言があるわ」

「今頃ミンクはどうしてるか…」

「どうか落ち着いて。集中スルのょ。貴女自身が不審者を見かけたとか、怪しい車が止まっていたとか…何かいつもと違うコトを覚えてナイ?」

「…ダメ。何も思い付かないわ。ねぇどうするの?」

「先ず、お宅に捜査本部を置いて電話をモニターします」

「ダメよっ!ヤメてっ!あの女は、通報するなと言ってたわ!」

「しかし、恐らく犯人から身代金の要求が…」

「連絡が来たら、言われた通り、いくらでも払います!何としてもミンクを助けたい!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「警察は邪魔なのか?自分の身スラ危ないというのに」

「それだけ娘を愛してるってコトですかね?とにかく、電話は盗聴、監視も続行します」

「OK。何かウソ臭いのょ」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドーのラボでルイナに絡んでるのは僕。


僕は、昼間は第3新東京電力でサラリーマンをやっている。

原子力発電所の副所長なので、アキバ御帰宅は1回/2週間。


「ルイナ!君は、大宇宙における人類文明の立ち位置を考えたコトはあるか?」

「テリィたんと話す度に考えてるけど」←

「重要なのは、銀河は絶えず遠ざかっていると逝うコトさ。ソレも、遠くに逝くほどその速度は増加スル」

「何が言いたいの?今、万世橋(アキバポリス)のお手伝いで忙しいンだけど」

「聞けよ。男と女は、機会を逃せば速度を増しながら互いに遠ざかるだけだ!」

「あら。ソッチ?」

「いや。星の一生だ。どんな複雑な構造の恒星でも、核燃料が尽きれば全てブラックホールになる」

「だから、その意味不な比喩を混ぜるのヤメて。ミユリ姉様はブラックホールじゃないでしょ?」


ソコへ当のミユリさん…と逝うかミユリさんが変身したムーンライトセレナーダー登場。

黒セパレートにヘソ出しコスチュームだけど実は、その、あの、彼女はアラサーなんだ←


「あら。テリィ様とルイナ?楽しそうだけど夫婦喧嘩?」

「ミユリ姉様のTO(トップヲタク)が関係ナイ話ばかりスルから実験が進まナイの…受信機は取り付けたわ。リモコンのボタンを押せば、発信されたデータはコンピューターに送られて…じゃあ行くわょ。コレがリモコンでロックを解除するコード」

「コードが前と違う?ローリングコードって奴?ボタンを押す度に違うコードを送信スルのか。タイヘンだな」

「だって、大リーグの投手だって直球ばかり投げてたら?」

「連打されちゃう?」

「YES。無線も同じ。毎回同じコードを送っていたら必ズ盗まれる。だから、変化球を混ぜるようにコードを変えるの」

「でも、車の方はどうやって変化球に対応スルの?」

「アルゴリズムがわかってれば予測は可能。キャッチャーがサインを出す時に指を1本ずつ増やすのと同じょ」

「え。キャッチャーってソンな小難しいサインを出してたのかw」

「でも、このリモコンキーのアルゴリズムはもっと複雑ょ。コレを見る限り、32桁の16進法数列ね。アルゴリズムを見つけるには、も少しデータを集めないと」

「ルイナ!誘拐事件は、時間が経つほど人質生存の可能性がゼロに近づく。コレ、統計的事実」

「わかったわ。急いでやるから」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃、万世橋(アキバポリス)ではラギィ警部が証拠のダイヤをピンセットで摘んでは何やら選分け中。


「警部、選別の基準は?」

「私が好きなのとそーでないのwねぇ射殺された女って、宝石には詳しかったのかしら。犯罪歴どころか、何の記録もナイ真っ新な女が突然宝石強盗をやらかすナンて」

「今まで捕まってナカッタだけカモしれません」

「まさか。だってアレじゃ簡単に捕まるわ」


ラギィはPCに犯行当時のカメラ画像を流す。


「彼女、カメラにバッチリ映るのを避ける気もナイし、カウンターにベタベタと指紋がつくのも全くお構いナシょ。しかも…コレ見て」

「何ですか?」

「怯えてるのょ」


顔面の画像をクローズアップするとマスカラしたまつ毛がピクピクと小刻みに痙攣してるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


引き続きジャドーのラボ。


ジャドーはアキバに開いた"リアルの裂け目"の脅威からヲタクを守る秘密防衛組織だ。

万世橋(アキバポリス)で塩対応を食ったルイナは、ラボの黒板に数式を描き殴って事件の解析に没頭中。


「ルイナ」

「あ、テリィたん。今度は何?」

「コレは?」

「万世橋のお手伝いで、宝石強盗事件の解析を進めてルンだけど、方程式の解が出ないのょ」

「あ。リモコンキーか。見ても良い?」

「暗号化されたデータのアルゴリズムを突き止めたいンだけど」

「ローリングコードだったょね?」

「YES」

「前半は、これで間違いない。あ、証明済みか。そっか残りの半分だね?そうだな…1次元セル・オートマトンはどうかな」

「つまり、ウルフラムの計算理論ね!」

「えっと思いつきだけど」

「いいえ。素晴らしいヒラメキだわ!」

「何?何を笑ってるの?」

「ねぇねぇ!コレが終わったら2人で何かしない?」

「え?え?え?2人で何かしちゃう?」

「タマにはお仕事以外の話もしたいわって意味ょ…バカ」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。万世橋(アキバポリス)では鑑識から報告を受けたラギィ警部が文字通り頭から湯気を出してるw


「え。歯型からは身元がたどれナイ?」

「だって警部、被害者には虫歯が1本もなくて…」

「フロスでもしてるの?じゃ他には…コンタクトレンズは?豊胸とか」

「レンズは通販モノで製造番号(シリアルナンバー)ナシ。ソレと…豊胸はしてません」

「この秋葉原で?」←

「でも、警部。鼻は整形してました。事件に関係ありませんが…」

「完璧美人じゃなくて、ちょっとホッとしたわ。で、現地本部は設置出来たの?」

「ソレが…ライサさんがダメだと」

「何で?」

「彼女は、自分で娘を取り戻す気です」

「危険だわ!」

「忠告はしたのですが」


ソコへルイナから電話がかかってくる。


「警部?車のキーのアルゴリズムがわかったわ。今、メールしたけど。届いた?」

「待って…ありがとう。でも、見たけどサッパリ意味不ナンですけど」

「ソレを製造元(メーカー)に見せて。そのアルゴリズムで車を特定できるハズ。後は陸運局で持ち主を探してみて」

「ありがとう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


やっと特定した宝石強盗の車の持ち主は、タワマン族だ。

防弾チョッキを着用した突入チームが続々と37Fに集結。


「管理会社の情報に拠れば、70代女性の独り暮らしとのコトです」

「警部、全員配置につきました!」

「行くわよっ!」


ノック。


「"Uper eats"です!エリゼさんに北京風ギンコツ特製黒酢酢豚定食をお届けに!」

「今はいないわ」

「代わりに受取りを!」

「そうね」


出て来たのは…ホントに老婆だw


宅配に化けた捜査員が、出て来た老婆を容赦なく壁に叩きつけ鼻面に拳銃を突きつけるw


万世橋警察署(アキバP.D.)!両手を頭の後ろに!」

「無理!モデルナアームで腕が肩より上がらないw何コレ?韓流ドラマのロケ?」

「いや。100%日式だ」


胸倉を掴まれ外に連れ出された老婆はドアの左右に待機中の突入チームを見て息を呑む。


「突入!」

万世橋警察署(アキバP.D.)万世橋警察署(アキバP.D.)!」

「ダイニング、クリア」

「ベッドルーム、クリア」

「キッチン、クリア。誰もいないわ…どういうコト?ねぇおばあちゃん!2020年型セダンは?」

「エリゼの車ょ。今は幼稚園」

「え。幼稚園児なの?」

「なワケないでしょ!幼稚園で教えてるの」

「幼稚園のセンセ?」

「幼稚園教諭で悪かったわね?何があったの?」

「貴女の…娘さん?」

「孫ですっ!…ねぇエリゼがどうしたの?今どこにいるの?」


第2章 覚醒の日


茫然自失の老婆。


「信じられないわ!エリゼが死んだなんて。きっと人違いょ」

「残念ながら、ホントです」

「エリゼが12の時に母親が死んだ。弟のレミヲは6才。エリゼがレミヲの面倒を見てくれた。あんな良い娘がなぜ強盗を?」

「エリゼと最後に話したのは?」

「今朝ょ」

「同居ですか?」

「私が体を壊したので、世話をスルために戻って来てくれた」

「エリゼさんに恋人はいましたか?何か知ってるかも」

「私の介護とレミヲの世話で、自分の生活ナンかなかったわ。何が起きたにせよ、ソレには、きっと理由がある」


ソコへラギィに電話が入る。


「警部!被害者の車が見つかりました」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


エリゼの車が見つかったのは、昼なお薄暗いJR佐久間ガード下、通称新幹線ガード下だ。


「ラギィ警部。アソコです!」


制服警官が指差す先に青いセダン。

周囲には規制テープが貼られてる。


「車が最後に目撃されたのはタワマンの駐車場を出た時です。タワマンのコンシェルジュが目撃」

「犯人は、私立金澤幼稚園までのルートを調べ上げて待ち構えてた。しかし、白昼堂々と誘拐とは」

「追突されてますね。塗料を調べます。保険の話をするフリして、被害者に近づいたに違いありません」

「靴があるわ」

「娘のミンクちゃんの服装と一致します」


鑑識が証拠用のビニール袋に靴を入れる。


「計画的犯行だわ。母親の行動は調査済みだし、逃走用のフリーウェイも近い。素人じゃないわね」

「絶対にプロですよ」

「黒幕がいる。幼稚園のセンセは、きっと単なる捨て駒ね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再び万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


三々五々捜査員が帰投するが、収穫は乏しく中には手ぶらで帰って来る者も少なくナイw


「7時間も経つのに何をやってるの!」

「やはり鍵はエリゼの変化ね。行動パターンの変化には、必ず"きっかけ"がある」

「例えば?」


居合わせたヲタッキーズの妖精担当エアリがココぞとばかりにガヤる。

彼女は、年齢不詳ナンだけどオカルト雑誌"ラー"を創刊号から愛読←


「あのね!心理学のテキスト通りの答えだけど、統計的に多いのは、ヤハリ"臨死体験"なの。飛行機の墜落事故で生き残ると、別人格に生まれ変わるコトがある。余命1ヵ月と宣告された途端、神に目覚めた人を何人も知ってるわ!」


捜査員全員が遠い目w


「ソ、ソレは…せっかくだけど、エアリ、残念だけどウチの検視結果とは合わないのょ。他には?」

「子供に危害が加えられた時の親の本能」


エアリの懲りない発言。


「うーん確かに実の娘ミンクちゃんが誘拐されて半狂乱、正常な判断が出来てナイ…待って。彼女には、弟がいるらしいの。彼女が育てて親も同然らしいけど」

「そういうコトなら"きっかけ"になるわ!でかした、警部!」

「弟が"きっかけ"ょ!タワマンのおばあちゃんに住所を聞いて!弟の情報を全て集めるのょ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃、僕はチリドッグを食べてる。

マチガイダ・サンドウィッチズにて。


コレは…デートなのか?


「セル・オートマトンかー。思いついてくれて助かったわ、テリィたん。貴方がいなかったら1日中黒板を見ていた。最高よっ!」

「単にひらめいただけ。新鮮な目で見たからな。最初はユニバーサルコンストラクターを考えてて…」

「それで?」

「あ、ソンなコトよりチリドッグだ。マチガイダ(ホットドッグ屋)に仕事を持ち込むのはヤメよう」

「そうだったわ」


ルイナは、ひとくち水を飲み目尻をいじる。


「変ね」

「変だね」

「ねぇテリィたんとは、他にも楽しいお話がたーくさんあるハズなのに」

「まぁ少しはね」

「プレッシャーかしら」

「うーん」


YUI店長が頼みもしないサラダを持って来る。


「ありがとう…ねぇコレ見て!ロマネスコブロッコリーよっ!モノホンを初めて見たわ!これフラクタル構造なのょ」

「宇宙物理学における重大発見と同じ構造のブロッコリーがアキバに!」

「ボナペティ、テリィたん」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その同時刻。万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「被害者エリゼの弟、レミヲは10代の頃から犯罪を重ねていたようです」

「見事なモンね。単車、ディスコ、ケンカ、タバコ、街の女達…」

「コレじゃ姉さんは相当苦労したのでは」

「住所は?」

「神田川沿いのコンドミニアムタイプの高級タワマン最上階です」

「億ションじゃナイの!オートロックが面倒臭いから"空を飛べる人"の出番だわ。行って」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


屋上庭園のプールにビキニ姿の美女が泳ぐ。

デッキにヲタッキーズコンビが舞い降りる。


「ココのお家賃、おいくらなの?」

「月50万円はスルわね」

「私も秋葉原に来ればプール付きの家に住めると思ってた」


ヲタッキーズのエアリは妖精なので羽根があり、マリレはロケット兵装備で一っ飛びだ。


「ソレが妄想って奴ょ」

「ヲタクのオハコでした。うふふ」

「ココだわ」


6号室をノック。窓から覗くマリレ。


「あらあら。どーも裏から逃げるつもりのようょ?」

「え。飛べるの?」

「まさか。タダの金持ちヲタクょ?」


エアリが、せっかく畳んだ背中の羽根をヨイショと広げて空中からレミヲに語りかける。


「飛び降りるの?死体を掃除スルのは誰だと思ってンのょ?」

「ぎゃ!ヲタッキーズの妖精担当エアリ?撃つな!ギブアップ!」

「撃つハズないでしょ?貴方を抱えて飛びたくナイだけょ」


第3章 偽りのシングルマザー


レミヲは、遊び人だ。ヒモとかやってそうw

女の敵と直感した二人は交互に責め立てる←


「ねぇ荷造りなんかして誰から逃げる気だったの?」

「半島へ高飛び?」

「ちょっと出かけるだけさ。違法じゃないだろ?コロナ下だけど」

「でも、お姉さんのエリゼのお葬式は?」

「アンタ、宝石強盗にも関わってるしね。ミンクちゃんの誘拐にも」

「な、何の話をしてルンだ?」

「全部、過去バレしてるわ。ロクデナシの弟のために、お姉さんのエリゼは毎度保釈金を積んでたよーね」

「ところが、困ったコトにエリゼお姉さんは、宝石強盗に失敗して殺された。アンタ、共犯なら謀殺罪。もしミンクちゃんの誘拐にも関わってたら死刑だわ」

「レミヲ!人質をどうしたかを言いなさい。もうすぐ、万世橋(アキバポリス)が押し掛けて来る。その前に歌えば、警部に口利きしてあげるわ。チャンスは今だけょ。ミンクちゃんは何処なの?」

「知らねえよ」

「あらぁコレは何かしら?」


部屋の奥から色々数字を書き殴った黒板を持ち出すマリレ。ルイナの数式とは全然違うw


「アンタ、ノミ屋やってるの?わ!ずいぶん儲けてるのねぇ」

「気前の良い胴元は誰ょ?」

「いない」

「あらあらウソもヘタね。自分でやるなら、もっと大きな金庫が必要だし、鍵を補強して用心棒も雇わなきゃ…胴元は誰?」

「忘れた」

「待って。代わりに調べてあげる」


オンラインのPC画面を操作するマリレ←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


暫くして"潜り酒場(スピークイージー)"に全員集合だ。

流儀に従って、女子は全員メイド服←


「そう悲観的にならないで」

「実は言えないほどヒドかったの。いつも、あんなに話が弾むのに」

「あぁ誰だか知らないけど、デートとなるとダメな男っているのょね」


先ずは、初デートが気まずかったルイナだ。


「ルイナ!大丈夫、きっと次はうまくいくわょ」

「次なんかないわ!もう絶望よっ!」

「簡単に諦めないで」


カウンターの中からミユリさんが話に入る。


「あら。何のお話かしら?」

「ルイナが初デートで轟沈したの!」

「轟沈したとは言っていない…あーんやっぱり轟沈カモ」

「まぁ」

「お仕事の話だけは絶対しないと固くお約束した上でデートしたら…」

「わかるわ。私も若い頃、お仕事の話はしないと決めて店外交友(デート)したら…」

「え。ミユリ姉様も?それで?」

「その夜、彼は巨乳パブへ…」

「…実に励みになる話だわ」

「ゴメンね。でも、ルイナはうまくいくわ」


どーやらルイナの初デートの相手が僕だとはバレなかったよーだ←

さて、話を本題に戻すラギィは今宵もミニスカポリスのコスプレ。


なかなかメイド服を着ないなw


「みんな!それより宝石強盗よっ!未だ見つからないの!助けて!」

「え。ミンクちゃんが誘拐されたママなの?」

「ひどい話ねぇ」

「犯人は?」

「容疑者は、ノミ屋をやってた。事件と何か関わってるハズだけど、データの分析に手こずってる」


フレンチメイドのルイナが知的好奇心を丸出しにして身を乗り出して来る。助かったな←


「何を知りたいの?」

「出資してる胴元。ギャンブルサイトから辿ってるけど、調べたら意味不な中国のサーバーで行き止まり。出資者の金と客の掛け金を特定出来ないのょ」


ポシェットからメモを出すラギィ。

いろんなメイド服女子が覗き込むw


「容疑者のPCのハードコピーなんだけど…コレは名前と日付でしょ?この欄は何かしら?」

「30 57 20 37?ランダムに見えるけど…オッズかしら?」


ヲタッキーズのマリレがポンと手を叩く。


「あ。新聞は?コレ、毎夜ストリートで行われるスーパーヒロインファイトの結果ょ。サロメ vs ヘドリアン 35対17ハンデ11。マズルカ vs ベス 23対14ハンデ7。ジャーミン vs ドルドラ 30対12ハンデ22…昨夜の対戦結果だわ!」

「なるほど。私が勝ったゲームもアルわ」

「ミユリ、ギャンブルやってるの?」

「だったら逮捕する?ラギィ」

「…見逃すけど」


ルイナが自信満々と逝う顔をしてうなずく。


「OK。この欄がハンデとなれば、勝者と敗者の比率を出し配当金とお金の流れを追えそうよっ!そのPC、貸して!」


第4章 不確定な未来へ


夜半の万世橋(アキバポリス) 捜査本部。


真夜中の非常呼集に駆けつけた捜査員は、幹部全員がメイド服なのに…驚かない←

良くあるコトなのだ。完全武装のジャドー特殊部隊とも顔馴染みで挨拶を交わすw


ジャドー顧問でもあるルイナのレクチャー。


「みなさん!ギャンブルにも数学は必要です。ノミ屋も数学的な手法でハンデを出しています。ノミ屋は、両チームの掛け金を同じにしたい。だから、両チームの実力が明らかに違う場合は、その点差を埋めるためにハンデを設けます。上手くバランスを保てれば、勝者への配当は敗者の掛け金から払えます」

「なるほど。でも、胴元の儲けは?」

「歩合です。負けた方の賭け金から一定額を抜く。バランスよく賭けさせれば、利益は4.5%。賭け手は 52.38% を上回って勝ち続けないと儲からない仕組みです」

「ノミ屋に有利な取引ですね」

「で、今回押収したPCに残されてたデータ中の利益の流れから、どれがノミ屋かが特定出来ました。送金先は、上海の中央コロナワールド銀行の口座です」

「ソレが胴元ですか?」


部下の質問にラギィ警部が答える。

ミニスカポリスのコスプレのママw


「YES。そして、恐らく誘拐犯。支店長を叩き起こして、口座の名義人を聞き出して!お手柄ょルイナ」


部下の質問は続く。


「警部、このリストは?」

「ノミ屋のファイルにあった顧客名簿だけど?何?知り合いでもいた?」

「スクリーンに出してください。もっと下だ…そこです、止めて」


画面に色付きで明滅スル名前は"ライサ"。


「宝石店オーナーのライサは、レミヲの客だったの?」

「ソレもかなりの上客だ。つまり…かなり負けが込んでる」

「どの程度?」

「1800万円」


捜査本部にドヨメキが起こる。


「やっとライサと誘拐犯がつながったわ」

「誘拐は…自作自演?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ライサが消えましたw」

「監視はどうしたの?」

「ソレが…尾行中に空間がボヤけて、その、まるでソコにいないかの如く…」


部下の報告は限りなく頼りない。


「何?ソノ曖昧な報告は?不確実性原理?」

「とにかく、見失いました。恐らく何らかのスーパーパワーかと。携帯にも出ない。犯人からの連絡待ちだと言うのに」

「いや。もう連絡が来たのカモ」


ソコへ別の部下が駆け込んで来て報告スル。


「例の上海のオフショア口座の名義人が分かりました。レイノ姉妹です。宝石強盗から1時間後に口座を閉じてる」

「レミヲから足がつくのを恐れたのね」

「コイツらに間違いナイわ。前歴は、恐喝に共謀罪。姉は大学で成績改ざん、妹は暴力で鑑別所送り」

「居場所は?」

「口座の住所は神田佐久間町の私設私書箱」

「数週間現れてない。何処かに潜伏中?」

人質(ミンクちゃん)が一緒では動きにくいわ。未だ死体は出てない。さぁシラミ潰しにローラー作戦よっ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、レミヲは一層厳しく取り調べられる。


「この写真、知ってるな」

「初めて見るツラばかりだょ」

「眠たいコト言うな!コイツらのサイトでノミ行為をしてたンだろ?メイド宝石店のライサは、ノミ屋の太客だょな?胴元のレイノ姉妹とライサをつなぐノミ屋はお前だ」

「知らねぇ。ホントだょ」

「歌うなら今しかナイ。レイノ姉妹がパクられた後じゃ検察に口利き出来ない」

「…わかった。ライサの負けが込んで回収出来ナイと言ったら、姉妹から自分で払えと言われた」

「それで、姉のエリゼに宝石店を強盗させたのか?」

「ウマい絵だと思った。だって、ダイヤを奪って駐車場へ行くだけだ。ソレなのに…姉貴は、姉のエリゼは、弟の俺を助けようとしただけナンだっ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ライサはギャンブル依存症で、ノミ屋のレミヲに1800万の借金があった」

「レミヲは、胴元のレイノ姉妹に脅されてた」

「なぜ姉妹はライサを殺さなかったのかな?」

「死んだら金を回収出来ない。何と言ってもライサは宝石店のオーナーだ」

「だから、娘のミンクを誘拐した上でレミヲに強盗させた」

「ギャンブルの負けがバレるからライサが後で騒ぐ恐れもナイ」

「確かに上手い絵だ。ところが、事情を知らナイ警備員が強盗に入ったレミヲの姉を射殺した」

「3時間前、ライサの携帯からある番号に電話がありました」

「犯人ね」

「恐らく」

「で、ライサは何処なの?彼女は手元にお金が無いハズょ?何を身代金にスル気かしら」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


メイド長(オーナー)ですか?先ほどまでおられました。娘さん(ミントちゃん)が誘拐されて…こんな時にお店に出なくて良いのに」

「オーナーが宝石を盗んだ形跡は?」

「え。だって、自分の店ですよ?」


パーツ通りの裏の"ジュエリーヲタク"。

メイド姿の店員に迫るメイド服の警部←


「商品の持ち出しとか?」

「強盗事件の後、保険会社が全てのショーケースに鍵をかけました」

「保険会社が管理してない商品は?」

「ありません」

「…修理中の宝石とか?」

「あ。確かに」


留守を預かってるメイド店員が、慌てて奥の引き出しを開くと中は…見事にカラッポだw


「タイヘン!全部なくなってるわ!」

「金額は?」

「全部合わせて…200〜300万円相当です」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部は、実はパーツ通り沿いのゲーセン地下にある。

"ジュエリーヲタク"後に全員でジャドーのラボへ寄り道スル←


「じゃ宝石店の防犯カメラをハッキングするわょ…ほら!ライサが宝石を持って出ていくわ。今から30分前の画像だけど」

「うーん借金には全然足りナイけど」

「娘を救うためなら母親は何でもするわ」

「シングルマザーも頑張るわねw」

「当たり前でしょ!待って。妻恋坂の交差点を左折?」

「でも、30分前の画像ょ?」

「大丈夫」


水を得た魚のようにハッキングするルイナ。


「これはOEMS交通監視システムょ。開発に協力し私も触ったコトがアル。道路に埋めたセンサーが交通パターンをモニターして、桜田門(けいしちょう)に1分に2回送ってる。コレで所要時間が予測出来るから、ライサが妻恋坂交差点に入った時の車の流れと速度がわかるわ。ソレと経過時間を計算すれば…」

「中学入試でさんざんやった"5時に列車が出たら"ってアレょね?」

「YES。しかも、コンストラクタル理論も応用出来るの!車の流れって、液体と同じで障害があれば、抵抗をなるべく減らす方向へと流れようとする。ライサは、秋葉原に詳しいから最も渋滞の少ないルートを選ぶハズだわ」

「でも、ソレだけじゃ行き先はわからないでしょ?」

「正確にはわからない。でも、計算すれば…調べる範囲を限定出来るわ。恐らく、この辺り?」

「あら?駐車場があるわね」


スクリーン上の地図の真ん中を差すラギィ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


台東区秋葉原。


地名は秋葉原だが、外神田からは遠く離れ、裏アキバよりさらに奥の古い雑居ビル街だ。


「ライサの車だわ!万世橋警察署(アキバP.D.)のラギィ警部ょ。上野警察署に要請。台東区秋葉原に非常線を張って」

「ラギィ警部、了解」


そして、目の前の車へ拳銃を構えて近づく。運転席の人影は、カチューシャをしている。


「ライサさん。ここで何を?」

「返さなきゃ」

「車から降りて」

「少しは返したの。でも、全額を払えなんてドダイYS、じゃなかった、ドダイ無理なのょ」

「ミンクちゃんが生きてる証拠は?」


運転席からチェキを差し出すライサ。

ミンクが椅子に縛られているチェキ。


「…前回のチェキと場所が違うわ」

「あぁ何もかも私のせいだわ!こんなハズじゃなかった!」

「何の話?」

「ミンクを2〜3時間誘拐するだけで、ダイヤさえ渡せば直ぐに帰す約束だった」

「ライサ!貴女、自分の娘の誘拐計画を知っていたの?」

「だって…殺すと脅されたの!他に解決の道はナイって。拒むと頭の中に、あの悪魔の姉妹が入り込んで来て…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「結局、ライサは姉妹の居所さえ知らない。しかし、あんな女に今まで同情してたナンて」

「見事に騙されましたね」

「宝石強盗の自作自演までは、まぁ理解出来るとして、まさか自分の娘まで誘拐させるとはw」

「警察が同情すれば、誰も疑わないと思ったのでしょう」

「我々は、娘が誘拐された時点で、彼女を被害者として見てしまいますからね」

「とにかく!10分前ミンクちゃんは生きてた」

「ソレは確かですか?」

「殺す気なら場所を変えたりしない。でも、ライサはコレ以上は払えない。既にクレジットの限度額を超えてるから」

「待てょソレだょ」

「何?テリィたん、何かヒラめいた?」

「レミヲは、胴元のサイトにカード番号を送ってたょね?」

「でも、サイトを閉じて追跡不可能ょ」

「ルイナに頼もう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「本領発揮してもらって助かるょルイナ。でも、僕が来ると気マズくないか?」

「私の方は、意外にも平気ょテリィたん。ソレからミユリ姉様には、デート相手がテリィたんだとは話してナイから」

「そ、そ、そぉか(安堵w)。やっぱ行き着く先が中国のサーバー、かな?」


僕とルイナは、みんなが出払ったジャドーのラボで、ポツンとふたりぽっちで解析作業w


「テリィたん。でもね、実際には違うのょ。中国経由でアクセスしてるハズないわ」

「でも、誰もコレ以上は辿れない」

「そうなんだけど…ちょっと待って。サイトは、誰かが入る度にコードが変わるローリングコード。だから、ソレを基に辿れないかしら」

「具体的にどのデータを追うの?訪問者は世界中から毎日数千人だろ?」

「でも、オッズを決めるのは姉妹だけ」

「しかし、彼女達のデータを見分けるフィルタが必要だ」

「分数ょ。ファレイ数列」

「ファレイ数列?」

「あのね。オレンジを切るでしょ?いくつも切るけど、切り方は変える。最初のオレンジは2分の1。次は3分の1に切る。その次は4分の1、その次は5分の1…様々な大きさのオレンジが出来るわ。コレを小さい順に並べれば悪い数列ょ。難解な分数パターンだけど、よく使われる世界がある」

「ギャンブルか」

「YES」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「胴元は、新電力系のスタートアップだった。住所は神田佐久間町!」

「神田佐久間町?レイノ姉妹の私書箱があるトコロね?」

「別名、神田アクマ町。悪魔の街だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「強襲突破する!MG、前へ!」

「戦闘工兵、装甲ドアを爆破しろ!」

「姉妹はテレパスょ!ヲタッキーズ、戦闘配置!」


ジャドーの突入チームと拳銃を構えた万世橋(アキバポリス)の制服警官隊が倉庫前に集結。

ドア沿いに仕掛けたテトコードに点火!鈍い爆発音と共にドアが吹っ飛ぶ!


万世橋警察署(アキバP.D.)万世橋警察署(アキバP.D.)!手を上げろ。動くな」

「お黙り、ヲタク警察!シュレディンガーキック!」

「サイキックはヲタッキーズが相手スルわ!"クラウドサンダー"!」


天空の彼方から突如落雷して瞬時に黒焦げになる…姉?妹?ドッチ?ピクピクしてるが…


「動かないで!貴女も黒焦げになりたいの?ミンクちゃんは何処?」

「姉さんをよくも…でも、何のコトやらわかりませーん」

「コイツにサイキック不活性化ガスを吸わせて黙らせて!」


スーパーパワーを奪うガスを吸わされグッタリする妹は、ムダに昭和でセクシーな黒レオタードに網タイツだ…もしや黒焦げの姉も?


MOTTAINAI←


「ひと足遅かった?」

「決めつけないで!付近を調べるのょ!マリレはラギィ警部と。エアリは私と来て!」

「ちょっち待った!」

「テリィ様、何か?」

「…静かに」


微かに助けを求める声がスルw


「壁だ!壁の中から声がスル!ミンクちゃん?聞こえる?」

「早く出して」

「すぐ助けるょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋警察署。


壁と壁の間にあった秘密の部屋から無事救出されたミンクちゃんを囲み関係者が勢揃い。


「もう安心だわ」

「良かったね、ミンクちゃん」

「ありがとう、テリィたん」


迎えるシングルマザーは手錠をしている。


「ママ?コレはどーゆーコト?」

「自分で話せょ、ライサ。スーパーパワーはナシだ」

「え。スーパーパワー?何のコト?」

「君に覚醒したスーパーパワーは、不確定性原理に基づき現実を"なかったカモしれない"コトにスル(パワー)だ」

「テリィたんは、知っていたの?」

「モチロンだ。でも、娘には真実を語れょ"MS.不確定性原理"」

「何なの?ママ」


数秒後、幼女はママを平手打ち←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ルイナ。その憂鬱そうな表情は…やっと事件が解決したのに」

「テリィたんとのデートが失敗したからじゃない!ねぇ私達って気が合わないのかしら?」

「ソレはわからない。でも、ダメなら次に進むのが科学のセオリーだろ?」

「何故かな。お仕事の時は、話が弾んで楽しいし生き生きとしてるのに、ソレがラボを1歩出るとダメなの。話題に詰まってしまう」

「その思い込みが問題カモね」

「そぉかしら」

「必ズ心は触れ合えるハズさ。僕達がヲタクなら」

「最も純粋なレベルでね…テリィたん、ミユリ姉様が探してたわ」


僕は、ルイナの瞳を見詰める。


「今宵だけ…もう少し探させよう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


あなたは腐女子をリードする

でも私だって強くなれる


あなたが力を落とし

憂鬱な顔を見せてる時には

私の声に触れて

眼差しを浴びて

あなたは私のトリコ


危険があろうとも

あなたを諦めはしない

恋が終わるとあなたは逝う

廃人になるのはゴメンだと


女にとって未来のない男

でも私には自信がある

あなたに2度と逝わせない

廃人はゴメンだと逝う言葉を

あなたに愛を萌やして

あなたの心に触れて

あなたに2度と逝わせない



おしまい

今回は、海外ドラマでよくテーマとなる"自作自演の誘拐劇"を軸に、娘を誘拐されるメイドのシングルマザー、彼女を操る悪のテレパス姉妹、宝石強盗は素人な姉とノミ屋の弟などが登場しました。


さらに、ヒロイン側の知恵袋の主人公への秘めた想い、シングルマザーのメイド事情などもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、第4次コロナ宣言の延長下にある秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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