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組織12

 支部から区画長の屋敷までの道中は、何時間かぶりの平穏だった。ピリピリとした雰囲気は鳴りを潜め、ようやく深呼吸して落ち着ける。まだまだ解決ではないというものの、気が抜けてしまうのも無理からぬ事だろう。


 ラルフがガキから話を聞き出し、そのあとは早かった。

 情報を得たラルフが、部下を引き連れて屋敷に向かう。残りの人員は、引き続き支部内の負傷者の手当てに当たった。


 進行はゆったりと、しかし遅れが出ているわけではない。諸々を考えれば、この対応は充分に迅速と言える。


「何の用だ、アポもなく」


 いつものように、アルが高慢な態度で対応する。彼らが礼を重んじるのは、支部長以上の人物だけだ。

 しかし、今日はラルフにも考えがあってきた。


「支部長の指示で来た。中に入れてくれ」


「その前に要件を……」


「問答の時間はない。先に入れてもらおう」


 支部長と言われたならば、アルでは強く出る事ができない。仕方なしに中へ入れ、急ぎシルビアへ報告する事が最善だろう。その後は、おそらく支部へと飛脚を飛ばす事になるだろう。支部長の言葉であるという証言の裏どりのためだ。

 もしも支部長が言葉を肯定すればそのままであり、否定すればラルフは大きな処罰が待っている。しかし、その上での行動なのだから、おそらく嘘ではないのだろう。少なくともアルにはそのように思われた。


「探せ。あたかもネズミを探すように、天井の隅から床の隙間まで探せ。風呂もトイレも食品庫も個人室も全て回れ。何も見逃すな。何も見落とすな」


「おい! こちらを無視して話を進めるのはやめてもらおう! いい加減、何があったのかを聞かせてくれてもいいだろう!!」


 テキパキと、それでいて礼を失した行動。この区画長の屋敷の中にあって、およそ看過する事のできない不遜だ。


「……実はな、ついさっきうちの支部に賊が入ったんだ」


「それで、それがうちと何の関係があると?」


「無論、なんの関係もないと思っているさ。しかしな、賊の一人がここに仲間が来たと言っている。どうしても無視するわけにはいかないし、すぐにでも何かしらの対応をしなくてはならない」


 非常に、含みのある言い方だ。およそ好意的とは言えず、むしろ疑心からの言葉だろうとはっきり感じる。

 ただ、好意がないのはアルも同じだ。


「主人に挨拶もなく、この屋敷をあらためるだと? 組織はいつから区画長の上司になったんだ」


「……なるほど」


 組織と区画長。その間はあくまでも対等だ。確かに、組織の都合だけで屋敷に押し入るのは聞こえが悪い。本来であれば支部長本人が出るべきところだが、今はラルフしかいないため代理という形という事になる。


「では、挨拶したいな。案内してもらえるか?」

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