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組織10

 発信機と受信機と言えば、どんなものを想像するだろうか。


 例えばソナーのように、受信機の画面上の赤い点が発信機と対応しているようなものだろうか。

 それとも、発信機と近付くと受信機から音が鳴るようなものだろうか。


 どちらかといえば、支部長の物は後者に近い。


「こっちだ! こっちにいるぞ!」


 発信機との距離に応じて、受信機が光を強める。何人かで持ち回れば、ネズミを見つける事くらいそう難しい事ではない。


「早々に盗まれた物が判明しているのは吉報だった」


「地獄に仏というやつです。あの爆破はかなりの痛手でしたが、あれがなくてはもっと手間取っていた事でしょう」


 もしもそれがなくては、しらみ潰ししかなかった。もちろんそれでも、取り逃がすようなヘマはなかっただろうが、後手に回ってしまう事は避けられない。


「ここからは任せる。俺よりもお前の方が向いている」


「はい!」


 俺の生まれながらに持つ聴力と支部内の機器を合わせた警備システムに、支部長から許可を得てようやく使用できる受信機。これらが揃った以上、我々から逃げられるような輩はこの旧大地に存在しない。

 やはり、俺の上司は彼しかいない。彼以外には務まらない。


 願わくば、このままでありたいと思う。

 俺たちが無敵のままで時代が流れ、穏便に引退したいと思う。


 当然、そうはできないだろうが、それでも望んでしまう。甘えだ。優秀な人間の後ろをついていけば安心だという甘え。きっと、俺の弱さなのだ。その弱さは、必ず克服しなくてはならない。

 支部長は優秀な男なので、きっとそのうち本部に取り立てられるだろう。その時の後釜は俺。その時ようやく、俺の真価が試される。敬愛する支部長に恥じない働きをしなくては。


 だからこそ、まずは今。


 あっという間にネズミを見つけ、確かな自信としよう。


「ぁ……ぇ……っ!!」


「よし!」


 報告が、上がる。

 この場にいる誰にも聞き取れない声で、今一番欲しい報告がなされた。


 発見。そして捕獲。


 この事態は、支部長が到着してからものの一時間もなく解決してしまったのだ。


「終わったみたいだな」


「はい! お手数をかけました」


 深く、深く、頭を下げる。忙しい支部長の時間を、よりにもよってこの俺が奪ってしまったからだ。

 しかし、もう安心できる。事態は瞬く間に解決し、また普段と変わらぬ日常が戻るのだ。


 ——そのはず、なのだが。


「…………っ!!」


「何……?」


 先ほどの報告から少し遅れて、もう一度報告が入る。それだけならば大した事のないようにも思えるが、どうにも嫌な予感がして仕方がない。

 そんな俺の様子を不思議に思ったのだろう。支部長が片方の眉毛を動かしてたずねてきた。


「ギド、何かあったのか」


「そ、それが……」


 発見した侵入者は一人。もう一人は、どこを探してもいないのだという。

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