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組織8

「細かい状況は、道中聞いた」


 流石は支部長。話が早い。全く無駄がなく、常に冷静で正しい判断を下す。


「ネズミが二匹だったな。外に逃げた可能性は?」


「ありません。全ての出入り口には見張りを立てています」


「いたなぁ、入る時。対応としてはまぁまぁか」


 今現在、この支部から脱出する事はできない。外の見張りをしている者を除いて、爆発時点からこの建物を後にした人間は存在しないはずだ。

 そして、この建物内にいるのなら、支部長に見つけられないわけがなかった。


「受信機を使うのですね」


「そのつもりで呼んだんだろ?」


 頼もしく、知的であり、判断力も高い支部長の言葉だ。その言葉が、何より俺を安心させる。人を統べる者として、理想的であるとすら思うのだ。

 そう、彼は組織の支部長。彼は、この旧大地をほとんど牛耳る組織の幹部なのだ。

 それはすなわち、この世界に対する強大な権力に他ならない。望む物を手に入れ、望む事ができるような、絶大な力を持っていると言っても過言ではない。つい先日、ラルフの思慮の浅い行動によって本部からの評価が落ちたとも言われるが、そんな事は些事でしかないのだ。

 そんな支部長ならば、この世界の最新鋭の機器を手にする事も容易い。俺たちでは手が届かないような装置を手にし、それを使用できるだけの力を有しているのだから。


 発信機と受信機。

 十年も前に開発されていながら未だに量産の目処が立たないこの技術だが、支部長ほどの人物ともなれば自由に使用する事ができる。この支部の財産は、それによって管理されている。

 それが、組織の財産が物品として保管されている理由の一つだ。端末での単純管理では、何か問題が起こった際に財産が全損するという事態になりかねない。このように物体としての管理ならば、少なくともそのような事態は避けられるだろう。


「爆破されたのはどの部屋だ?」


「本を置いてあった場所です。一番持ち出すやすいところを狙われました」


「相手は学のある者か。さっさと持ち出して、確認のために部屋に入ればドカン。馬鹿にできる事じゃねぇな」


 支部長の言葉は、俺も考えていた事だ。これは間違いなく、高い教養を持つ者の仕業。ともすれば裏をかかれかねない相手だと判断したからこそ、わざわざ支部長に指示を仰いだ。

 なにせ、支部長がいれば相手が誰であろうと逃げられるはずはないのだから。


「まぁいい、さっさと探すぞ」


 支部長の腕に、いくつものブレスレットが取り付けられた。それぞれが違う色と模様を施されており、一目でどれがどれなのかを判断できるようになっている。

 希少な機器を、それほど潤沢に取り揃えている。

 それこそが、旧大地でこれ以上ない力の象徴。


「そう時間はかからねぇと思うから、出入り口はちゃんと見張ってろよ」


 この事態、すでに解決したと言っていい。

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