後ろだってやるヤツはいつの時代も憧れの的
二人は、笑う。
いつまでこんな事を続けるつもりなのかと。
その内に、あまり長くかからずに、端末のバッテリーは切れてしまう筈だ。そうなれば、嫌が応にもこちら側の要求を聞かざるを得なくなる。
協力させる事など、それほどに簡単なのだ。
二人は、少しの間待っていればいい。端末のバッテリーは充分。視界の確保に不足はない。体力も、眠気も、別に問題になるほどの事じゃあない。
簡単な事だ。しかし、簡単であるだけにむしろ心配だ。
これで終われば協力させる事など容易いが、そんな容易い相手を引き入れて役に立つだろうか。思った通りの働きを、期待できるだろうか。
すでに勝利は揺るがない。
故に、思考はその後の事だ。
これは油断などではなく、合理的な判断。過剰な警戒を切り捨て、より効率的で合理的な判断をするための思考。
……などと考えているのだろう。
私が未だに迷える子羊などと、未だに信じているのだろう。愚かしいと括られた高は決して侮りではないものの、しかし驕りではあった。
現に私はつい今まで騙されてはいた。しかし、それでいてこの程度の策で騙し続けられると考えていたのは驕りである。
「……遅くない?」
「あまり喋るな。場所が割れる」
二人は、できるだけ小さな声で話す。場所が割れる事だけは望むべくもないからだ。しかし、その考えは浅はかであると言わざるを得ない。
「気を付けるなら、もっと早い方がよろしい」
「……っ」
「…………」
ようやく、背後を取れた。まさか裏を書かれるなどと思っていなかった二人は、突如現れた私を見て動揺する。
二人は、決して私を待ってなどいなかったのだ。
私の事を見下すのも、笑うのも、私が愚かにも同じ場所へと戻るためではなかったのだ。
二人が灯りを消す事により、私の周りは完全な闇に包まれる。
これは、私が二人の場所を目印としてしまう事を防ぐためのものではないのだ。
つまり、私は戻ってなどいない。
移動していたのは、二人の方だ。
それに気が付かない私を見下して、あまりにも愚かであるために笑っていたのだ。
二人が灯りを消すわけは、目印をなくすためなどではなく、二人が移動している事を隠すためのものだったのだ。
後は私が真っ直ぐと帰路を進む事を見越し、ただ単に先回りする。暗闇を物ともせずに、さらに物音すらなく移動できるのならば、なるほど発見は困難だろう。
だが、それも割れてしまえば単純な事だ。
先回りされる事を見越し、大きく回り込むような道順を通れば捕捉されない。背後に回り込む事も、時間さえかければ充分に可能だ。
「おやおや、お二人はもう笑われないのですかな?」




