勝負 2
立ち上がりは、思ったよりも苦しい。
確率としては、七分の一に過ぎなかったはずだ。一に対して最も合わせられたくない札を、まんまと合わせられてしまった。
どうしたものか。
初手で、最悪手を引いた。いや、シルビアが最善手を出したのだ。おそらく、私の手を読む事によって。
あぁ、これだ。
この感覚が嫌だから、勝負など早く終わらせてしまいたいのだ。だというのに、私の思惑は容易く外される。あの時もそうだった。
わずか半年ばかり前のあの時。私は、まんまと謀られたのだ。
「では、次のカードをお選び下さい」
アルが、ゲームを進行する。この息苦しいゲームを。
「…………」
しかし、反論などできるはずもない。言葉を話してはならないと定められているからではなく、諦めてはならないために。相手が私を値踏むためのゲームであるために、諦める事すら許されないのだ。私が早々に心を折られるような弱者であると、わざわざ知らせる事などできはしない。
しかし、どうしたものだろうか。
手持ちの札は二から七。対するシルビアは一と三から七。一は相手に取らせる札である事を考えれば、シルビアの手札は私より一回り強い。
ならば、ここで七を使ってしまおうか。
高い札を出される確率が高いから一を出した事と同じように、七を切ってしまっても良い気がしてきた。七の札はできるだけ高い札を狩り取りたいのだから、高い札の多い今使ってしまう事は悪くないように思う。
……いや、果たしてそうか。
その考えで、第1ターンは取られてしまったのではないか。まさか同じ考えをして、またもや裏を書かれてしまうつもりなのか私は。
そうなれば、ここはさらに裏を書く必要がある。
『四』
弱く、それでいて弱過ぎない数字。
まさか、こんな半端な数字を出すなどとは思わないだろう。なにせ、シルビアにとって私は、初手の思惑を見事に外されて動揺しているはずなのだから。こんな半端な数字を出せるはずなどない。
シルビアはきっと、私の七に対して低い数字を合わせてくるはずだ。相手が何を出しても決して負けない札なのだから、小さな数字を合わせられるのが一番困る。だから、それに四で対応する。これが、私の選ぶ最善だ。
「……選択はそれでよろしいですか?」
少し間を置き、アルが確認する。
答えを変えるつもりなどさらさらない。一回目と同じように、返事はせずとも伝わったらしい。
ようやく答えを出した第二回。果たしてシルビアの札は——
『五』
あまりにも、残酷な数字だ。




