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勝負 1

 さて、まずは何を出すべきか。

 ここで、あれやこれやと考える事に意味はない。未だ勝負は読み合いの段階になく、選ぶカードなど完全に当てずっぽうだ。残ったカードに偏りなどなく、相手の思考傾向もわからない。

 ただ、このゲームのセオリーというものはわかる。

 まず、一の札の扱いだ。これはどの札にも敗北する最弱の札だが、しかし負けても相手に渡る得点は最小だ。手札の中で唯一絶対に勝つ事ができない札だが、だからといって不要であるわけではないのだ。理想は、この札を相手の七の札に合わせる事。どの札にも敗北する一にどの札にも勝利できる七を使わせる事ができたなら、その後のゲーム展開は非常に有利になる。


 この札の使いどころが、このゲームの肝だ。


 ならば——


「札の選択は終わりましたか?」


 アルが問いかける。どうやら、シルビアも同じく選択を終えたらしい。声を出せないので返事はできないが、しなくても伝わったようだ。

 奴隷の男が一人ずつ、私とシルビアのプレートの前に出る。どの札を選んだのか確認しているのだ。レーザーポインターの赤い光を。


 私が選んだ札は。


『一』


 初手からの勝負。これが、私の選ぶ最善手だ。


 思えば、私は昔から勝負師気質だったような気がする。自分で言うと気取っているみたいで格好が悪いが、勝負は初っ端でつけてしまう事が好きだった。不意を打てるし、何よりビクビクしながら勝負を続けるのは苦痛だ。夏休みの宿題を初日で終わらせていた私だが、それは真面目なんかではなく、ただ宿題に追われる日常に耐えられなかったからだ。小学校に入学してすぐにその苦痛を味わった私は、宿題などというものは存在してはならないのだと学んだ。翌年から、そんなものは死に物狂いでさっさと始末したいまっていた。


 当然、ただそれだけというわけではない。

 仮に、全ての札を選ぶ確率が同じだとするならば、その確率は七分の一だ。一はできるだけ大きい数字に合わせたいわけだが、ならば大きい数字がより多い時に使ってしまう方が理にかなっている。


 だから、最初は一の札だ。

 私の精神的にも、確率的にも、それが正しい。


 奴隷の男が、私の選んだ札をプレートから取り外す。奴隷はそれぞれのプレートの数字しか見ておらず、アイコンタクトすら取っていない。これで、彼らが勝手に判断をして勝てる札を選ばせている不正ではないといえる。


 二人の奴隷が一枚ずつ、私とシルビアの札を掲げる。互いに見えるように、相手の札をこちらに見せている。

 たった7回しかない勝負の、最初の一回。

 果たして結果は——


『二』


「……っ!」


 考えうる中で、最悪の結果だった。

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