新校長・雷之丞
校長室前。
空町「校長? 空町です」
校長「おお、空町君か。お入りなさい」
空町「失礼いたします」
校長「うむ」
校長「実はな……わしは近々、校長を引退する。
TACTIC部の面倒を見てきた者として、そのことを君には伝えておこうと思っての」
空町「えっ? ほ、本当なのですか……
では、TACTIC部は――」
校長「まあ、待ちなさい。順を追って話そう。
わしもそろそろ、魔力の衰えを自覚してな。
TACTIC部だけでなく、学園の運営もだが、後任に託すことになる。
学園連に所属する、若い優秀な魔導師に来てもらっておるのだよ。
紹介しよう」
雷之丞「雷之丞・ライラル・ラリーテルと申す。
君が、空町真知乃くん、だね? ……フ
よろしく。……フフフ フ」
空町「あ……は、はい……
よろしくお願いいたします」
長身ですらりとした、美形と言ってもいい顔立ちの整った男だ。
些か派手な魔導師のマントを羽織り、位の高さを示す光るブローチを付けている。
が、何だか目つきはいやらしい。
雷之丞と呼ばれた男は、空町のことを、上から下までねっとりした視線で見つめてきた。
空町「……あ、あの……」
雷之丞「フフフゥ」
校長「おおそうじゃ、それとな、空町君」
空町「えっ はい?
校長「君から聞いていた、ええと、そう、
TACTIC部にコーチを……という件じゃが、」
空町「!
は、はい!」
雷之丞「……」
校長「来てもらうことになったよ。
わしが召喚した。間もなく、到着するはずじゃ」
空町「わっ。本当ですか?
はい!」
校長室のすぐ隣の魔法陣室に、轟音が響き、それが静まった後、扉が開く。――