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直契錬金術師


「ん? なんだ?」


掲示板の前に人集りができていた。


「おいおい、またリストラかよ......」


掲示板に書かれている名前を辿るとそこには見覚えのある名前があった。


「って俺の名前じゃねぇか!?」


しばらくすると、うちの直轄の錬金術師がこう言い放って部屋を出て行った。


「上からの命令でここに名のある物は今日限りで退職だ。異論はないな」


「マジかよ、、急すぎるぜ......」

 

「残念だったな、おっさん」


そう話かけてきたのは20歳にしてこの国の直契錬金術師となったエリート錬金術師、カルア・ヴァイハートだ。


「カルア様...」


「この国は実力主義なんだよ、まあせいぜいこの歳まで働かせてやったことに感謝しろよ」


「......」


「そう落ち込まないでよ、おじさん。まあ失業者選んだのはこの私なんですけどw」


この女はカルアの嫁、ニーファ・アルテだ


「本当にニーファはセンスがあるな......っておっさんまだいたのかよ。早く次の仕事探した方がいんじゃねえか?」


「お前っ.....」


「じゃ、頑張って」


そう言い残すとカルアとニーファは人混みの中に消えていった。



................................................................................................



その夜、人生に絶望した俺はなけなしの金を叩いて酒に溺れ、泥酔した俺はいつの間にか帝都中心の噴水広間にいた。


「ったく、何のために勉強して錬金術師の資格を取ったんだか......」


安定した生活を求めてわざわざ国家公務員になったのに、これでは元も子もなくなった。


「今時おっさんの錬金術師雇ってくれるところなんてないよなぁ」


そう頭を抱えていると、自分の前に誰かの影がやってきた。


「あなた、今日失業した錬金術師の方ですか?」


顔をあげると銀髪のここでは見かけない様なきちんとした服装の少女が立っていた。


「まあ、そうだが...」


失業者呼ばわりされるのはあまり気分が良いものではなかった。


「単刀直入に言います。オートランド王国の直契錬金術師になってくれませんか」


確か国は契約に基づいて建国される。その中に錬金術師がいることってのが条件にあったな。


直契錬金術師というのはその国最高位の錬金術師のことで、今日話しかけられたカルアも直契錬金術師だ。


......といってもオートランドなんて消滅間近の弱小国家で、集落一つの首の皮一枚で継続しているような言わば最貧国だ。


「実は私たちの元いた直契錬金術師がこの国に引っこ抜かれてしまって.......」


なるほどな、それで不要になった俺がリストラって訳か。


「いくら直契錬金術師と言ってもオートランドだろ? 悪いけど失業した方がマシだな」


「お願いします!このままじゃ私たちオーとランド王国は終わっちゃうんですよ!」


「まあ少し考えさせてくれよ」


「実は契約が今日12時に切れてしまうんです....そうしたら他の国に吸収されて、もしかしたら搾取されるかもしれないですし....」


「12時って、あと5分じゃねえか! まあ俺もできればこの国で再就職したいし...」


「死にますよ」


そう言ってその少女は自分が持っていたナイフを銀髪のかかった自身の首に向ける。


「落ち着けって、嬢ちゃん!...まあ死ぬとか言われるとこっちも弱っちまうな」


「あーわかった、どうせ就くなら管理職がいいしな」


「本当ですか!ありがとうございます!」


こうして、半ば強引に俺は国を治める錬金術師となった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。


もし面白ければブックマーク、ご感想など、反応頂けると嬉しいです!


1日1話から2話の投稿を予定していますので、これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

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