プロローグ
轟音と共に窓が光りに包まれた
そして、目を開けたら
そこは真っ白な空間だった
「パンパカパーン」
「おめでとうございます。私は貴方がたが言うところの創造神の女神ちゃんです。突然ですが、貴方は不幸な死を遂げた100億人目の死者です」
くす玉が割れる音とともに、おっとりとした口調の神々しい女がよくわからない説明を始めた。
女神の話をまとめると、俺が最後に聞いた轟音と光は隕石だったようで、部屋に直撃し俺は巻き込まれて死んだらしい。
中小企業勤めの三四歳、彼女なし。両親も死去済みで、友人はいない。
荷物丸ごと、パソコンも秘蔵本も全て木っ端みじんだったようで、思い残すことはない。
100億人分の不幸なエネルギーが溜まったので、発散させる為にエネルギーを使い別の世界へ転生させてくれると言うことらしい。
しかもゲームやライトノベルのような魔法のあるファンタジー世界も可能とのことだ。
エネルギーを使い切るために転生先でのスキルや運命など、思い描けば思いのままとはなんと美味しい。夢のようだ。
いや、これは夢かもしれない。
「あのー、ではいきますよ。それでは今から10秒間」
「ちょっ、まって。ストップ。ストーップ」
急にカウントダウンを始めた女神を慌てて静止する。おっとりと間延びした声が止む
「はい。なんでしょう?」
「10秒って、それ以上考える時間頂けませんか?」
目があい、ニッコリと女神が俺に微笑む。
「説明に時間使っちゃって、もう余裕がありませんので無理ですわ」
「これから10秒間、しーっかりと貴方がなりたい者を思い浮かべて下さいな。よーいスタート」
矢継ぎ早にスタートが切られた。
強力な魔力とチートスキルさえ貰えればなんでもいい。
だが、急に想像力を問われても困る。
必死に頭から捻り出そうとするも形にならず───
焦った俺は咄嗟に最後に読んだライトノベル「ブラッディリリー」の魔王ラッドを思い浮かべていた。