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幼馴染みは残酷に飴と鞭を使う  作者: 明瀬 うらび
出会い~中学生編
7/79

7、夏

6月になり、県大会が始まる。

全国大会に行ければまだまだ続くけど、負けたら引退だ。


結果、団体戦は3回戦で敗退。因みに団体戦の県大会優勝は赤羽中だった。


陽くんは県大会個人戦で優勝。全国大会の切符を手にしたのだった。


陽くんの引退が8月まで伸びた。

陽くん以外の3年も引退せず陽くんと全国大会まで頑張るそうだ。

テニス部のみんなとまだ一緒にいれることが嬉しかった。


季節は流れ、8月初め。

あたしは悩んでいた。

全国大会まで約2週間。陽くんを花火大会に誘っていいのかと。


高瀬くんにスマホで花火大会の情報を眺めていたあたしに


「本当は2人で行きたいんだろうけど、全国大会前だしなぁ。綾部くんも来るかどうか…。テニス部の3年メンバーで行こうって誘えば、さすがに綾部くんも来るんじゃないか?途中で2人で抜ければデートになるんじゃね?協力するから」


と言ってくれた。持つべきものは頼りになる友達だ。ありがとう高瀬くん。


去年も一昨年も普通に誘って陽くんに断られていたのを思い出した。


「なんで人混みのところにわざわざ行って、花火見たいの?意味わからない」


人目を引く陽くんは、出かけるとナンパされたり、スカウトに会ったり、下手するとこの前の椎名くんの様な一目惚れされ妙な告白されたりと過去に色々あって、用もないのに出かけることが嫌いみたい。


早速その日の帰り道に


「テニス部のみんなで行かない?」と誘ったらなんと初めてOKしてくれたのだ。

思わず「やった」とガッツポーズしたあたしを見て、陽くんは笑った。


そして、花火大会当日。

あたしは浴衣を着て、集合場所に時間より30分前に来ていた。

楽しみすぎて、じっとしていられなかったのだ。


浴衣は高瀬くんからのアドバイスもあり、可愛くピンクにした。


高瀬くんに、浴衣の女の子はいつもより2割増しで可愛いく見えるからと絶対浴衣で来いと言われ、更にピンク着ると、とにかく可愛くなるからと力説された。


普段ピンクの服とか着ないあたしだったけど、その話を聞いたらピンクの浴衣が欲しくなり、お母さんに頭を下げて買ってもらったのだった。


次に集合場所に来たのは、神埼くんだった。あたしの前を普通に素通りしたので声をかけたら、凄く驚いていた。


「化けたな~、星野。可愛い、可愛い。」


化けたなって、あたしは、妖怪じゃないんだけど。可愛いって言われて嬉しいけど、2回も言うなんて、絶対お世辞でしょ。

そう思いつつ、やっぱり嬉しくて神埼くんにお礼を言うのだった。


次に来たのは高瀬くん。高瀬くんのテンションの上がり具合は半端じゃなかった。


「やべぇよ、星野。目茶苦茶可愛い!!やっぱり、ピンクの浴衣最高!!!2割増しじゃなくて、2倍いや、3倍可愛く見える!!!」


その後、テニス部の他のメンバーも来て、みんなあたしを褒めた。


最後に、集合時間ギリギリになって陽くんが来た。


あたしは、何と言ってくれるのか期待して陽くんを見た。


陽くんはあたしを見て、


「可愛いね。浴衣が。」と言った。


陽くんのために頑張ったのに、途端に悲しなくなった。




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