6、幼馴染みの友達の疑問~高瀬視点~
「なんでくっつかないんだろうな。あの2人」
昼休み食後のポッキーを食べながら、神埼に聞いてみる。
あの2人とは、テニス部部長綾部くんと、マネージャーで同じクラスの星野のことだ。
「・・・いろいろ事情があるんだろ。綾部に。」
「でもさ、昨日の告白断った言葉とか、あんなの聞いて、ときめかない男なんているか?俺だってドキッてしたぜ」
星野は一般的に可愛い部類だと思う。綾部くんの隣にいて少しでもふさわしいようにと、日々努力しているからだろう。
本人は普通でとにかく平凡と思っているみたいだけど。
だけど、そんな可愛い星野には、今まで誰も告白しようとする人はいなかった。
理由その1。
星野の気持ちは学校中に知り渡っている。本人も堂々として隠そうともしない。
星野にとって、綾部くんを好きなことは当たり前のことだからだそうだ。
理由その2。
これが大きな原因だろう。星野が好きなのが綾部くんということだ。
よく本なんかで見る、あいつを忘れさせて俺に振り向かせるというのが1000%出来ないだろう、とにかくハイスペックな綾部くん。
学年1位の学力、テニス部部長を努めるカリスマ性、更にテニス以外もスポーツ万能、そして完璧な容姿。
要は最初から無理なのがわかっているから、星野に告白する勇者なんていないのだ。
1年の時から、部活でも話していたけど、星野とは中2で同じクラスになり、一緒にいることが増えた。
俺の恋愛相談にのってもらったり、新発売のお菓子を交換したり、神埼と3人で自習時間サボって屋上行ったり。
俺が1番異性で仲のいいのは星野で、俺達は親友だと思ってる。
星野には幸せになってほしい。
俺はずっとそう思っているのに、進展しない2人。
なんでなんだろう。星野は気持ちを伝えて、答えを求めているのに。
綾部くんはいつになったら、星野に答えを出すのだろう。