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幼馴染みは残酷に飴と鞭を使う  作者: 明瀬 うらび
出会い~中学生編
5/79

5、生まれてはじめての

今日は日曜日。だけど、部活は休みなんか関係なくある。そして、マネージャーは部室の鍵を開けるため1番に来なくちゃならない。休日の朝はゆっくり寝たいけど、休みの日も陽くんに会えるなら毎日部活があってもいいなって思うあたしは単純だろうか。


テニスのスコアボードを用意していたら、

「星野」と呼ばれ、振り向くとテニス部顧問の渡辺先生だった。


「今日うちの学校で、練習試合する予定だったの覚えているか?」


「はい。赤羽中でしたよね」

ちなみに赤羽中は隣の市にあるテニスの強豪校だ。


「そろそろ校門前に着くみたいだから、迎えに行って、案内してくれるか?」


確かにうちの学校は無駄に広いもんな。誰かが案内しないとテニスコートの位置は分からないかもしれない。


「はい。あたし行って来ます」


あたしは、待たせてはいけないと急いで校門に向かうのだった。


校門前には既に赤いジャージの集団がいた。赤羽中だから赤いジャージなのかな?目立つしわかりやすい。


「赤羽中の方達ですよね。あたしはこの学校のテニス部マネージャーしております星野です。本日はよろしくお願いしますね。それではテニスコートまで案内しますね。こちらからどうぞ」


歩きだすと、手を捕まれた。驚いて後ろを振り返る。

赤羽中の一番前にいた派手な色の髪の毛の男の子の顔がなぜか真っ赤になっている。


「あっ、俺は赤羽中の椎名(しいな) (れん)と言います。あなたのその笑顔に惚れました。ぜひ下のお名前も教え一」


椎名くんの隣にいた男の子が、椎名くんの頭をすかさず叩いた。

いい音したけど、大丈夫かな?


「俺は赤羽中テニス部部長の田口です。うちの部員がすいません」


「なにするんだよ。痛いだろうが。それにさりげなく星野さん話すとか。ずるいぞ田口」


「お前の迷惑行為が原因だろ。会って10秒でナンパとかしてんじゃねえよ。バカ椎名」


突然始まる口喧嘩。

・・・これはどうしたらいいんだろう。もう少し待てば落ち着くのかな。まだ続くのかなと考えていたら、パンパンと手を叩く音が響いた。


「いい加減にしろよ、お前ら」

と赤羽中の先生が静かに怒った。一瞬で静かになった。


練習試合は少し遅れて始まったものの、さすがは強豪校。一進一退の接戦が多かった。


テニスをしている陽くんは本当に楽しそうでキラキラしてた。キラキラしてる陽くんをスコアをつけるためとはいえ近くで見れるのは、役得だ。


練習試合後、「星野さん」と椎名くんが声をかけてきた。


「お疲れ様。何か忘れ物でもあった?」


「いや、ないよ。俺、星野さんのこと本気だから。」


「・・・へっ?」


「星野さんに一目惚れして好きになりました。俺と付き合ってください!」


頭を下げ、右手を差し出す椎名くん。

椎名くんの声は大きくて、両校の部員の視線が一気に集まる。


あたしは、生まれてはじめてされた告白にどうしたらいいかわからず固まることしか出来なかった。


何も反応しないあたしに


「・・・すいません。もしかして迷惑でしたか?」

と上目遣いで見てくる椎名くん。


あたしは、なんと言って断れば椎名くんを傷付けないか必死に考えたけど、何も思いつかない。


椎名くんは本気で告白してくれているのに、あたしは、駄目だな。断るなら、なんと言っても傷つけることになるのに。


あたしも椎名くんに本気で気持ちを伝えなきゃ。


「あたしは、好きな人がいます。10年も好きで、大好きで、片思いだけど、諦められないんです。あたしの気持ちが他の人に動くことは100%ないです。ごめんなさい」


あたしは、椎名くんに頭を下げ謝った。


後ろで見ていた高瀬くんが


「100%ないんだって。良かったね、綾部くん」と陽くんをからかって


「うるさいよ」

と頭を小突かれていたのをあたしは知らない。



陽くんに帰る時、


「椎名くんとは何もないから心配しないでね。あたしが好きなのは陽くんだからね」と今日も陽くんに気持ちを伝えたけど、


「ありがとう」と言って笑っただけだった。
















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