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幼馴染みは残酷に飴と鞭を使う  作者: 明瀬 うらび
出会い~中学生編
2/79

2、飴と鞭(前編)

あたしと陽くんは小学校同じクラスだった。3クラスしかなかったから確率は3分の1なんだけど、奇跡的に6年間同じクラスだった。小学校時代の運は全て使い果たした気がする。


小学生になって、集まる女子の数は幼稚園時代の比じゃなかった。同級生だけじゃなく、上級生も休み時間陽くんを見に集まる。


「ヤバイ、可愛すぎる」

「顔がとにかく綺麗」

「こんなに整った顔初めて見た」

廊下から沢山陽くんを褒める声と、アイドルに会った時のような悲鳴も聞こえる。


陽くんは、得意の

「邪魔」「ウザイ」「どっか行って」と冷たく言っても、素っ気ない態度をとっても、その人気は収まることはなかった。


さすがに事態を重く見た学校が、陽くん見物&接近禁止令を出して、陽くんのまわりは落ちついた。担任の先生も教師生活30年以上だけど、こんなことは初めてだと驚いていた。


それだけ陽くんは凄いってことなんだろうけど。


陽くんはそれ以来、女嫌いのようになってしまった。確かにあんなに騒がれたら、あたしだって男嫌いになっていたかも。


陽くんはなぜかあたしが一緒にいることを許していた。なぜ許していたのか理由はわからない。

許されていたことで、小学生時代も陽くんと一緒に居た。


他の女の子は近くに寄らせないのに、あたしだけ特別なんだと嬉しくなった。そして陽くんも同じ気持ちに違いないと、陽くんに告白したのは小学校5年生の時。


「ありがとう」と一言言われただけ。


あの頃は自分の気持ちを言うのが精一杯で、付き合ってなんて言えなかった。

告白したら、幼馴染みから少しは関係も変わるかもと期待したのに、何も変わらなかった。


中学生になると、陽くんとクラスが離れてしまった。陽くんは相変わらずで、入学したその日にファンクラブが出来たとか。

告白した人数が初日にして2桁とか、人気は凄かった。


女子には冷たくしてるけど、クールなところもカッコいいと言われてるし。陽くんの女嫌いは更に磨きがかかった。


あたしが話しかけると、陽くんは話してくれるけど、クラスが離れていたら全然話せなくて、寂しくて、陽くんと一緒にいるためにと、テニスの知識もないのに、テニス部のマネージャーになった。

陽くんが入ってマネージャー同士で一悶着あったらしく、マネージャーは一切入れないようにしたみたいだけど、陽くんが推薦してくれてたから、なんとかマネージャーになれた。


洗濯、ドリンク作り、コート整備にボール拾い、部員の各メニューの管理。実際マネージャーになってこんなに大変なんだなと実感した。だけど、陽くんの役に少しでも役にたてていることがとにかく嬉しかった。


そして、2回目の陽くんに告白した。今度はちゃんと付き合ってほしいって言った。

だけど、陽くんは

「ありがとう」と笑顔でかわしたのだ。


また同じことの繰り返しは嫌だったから、あたしのことどう思っているのか聞いてみた。

「好きだよ」って言ってくれたけど、付き合ってくれない。


つまりはあたしのこと幼馴染み以上に見てくれていないってことで。


だけど、あたしは陽くんを好きでいることを諦めたくなかった。


「ずっと陽くんのこと好きでいていい?」と聞いたら、


「いいよ」と陽くんは言った。


開き直ったあたしは、「好き」とチャンスがあれば、陽くんに言っていたのだった。


中学3年になるまで、陽くんに好きと言った数は数えきれない。


もしかしたら迷惑だと思われているかもしれない。

だけど、あたしは、陽くんにフラれてないのだ。


何回も好きと言ってこんな状態なら、普通は諦めると思う。だけど、あたしは陽くんを諦められない。


あたしが諦められない原因 一一一


困ったことに、陽くんはあたしに飴を与えるのだった。





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