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妖精の知らせ



「ごめん、兄上差し置いて結婚した。俺、シュトレーゼ領に籠るからしばらく会えない」



家族が集められた部屋でヒューお兄様がケロッとした顔でそう言った。今朝のガンギマリスマイルとはえらい違いである。


唖然とするリリィお姉様をよそに、アルお兄様は「奥方を守り抜けよ」、ローズお姉様は可憐な声で「いつかやると思っていましたわ」といった。


お父様はお母様とジュードお義兄様とお話し中である。



「ミーシャさんが良いと仰っているならば特にわたくしから言うことはありませんわ。おめでとうございます」

「ありがとう。俺も本当はもう少しゆっくりするつもりだったんだけど、王家の茶々入れが入ってね。……まぁ、あれだけ優秀な闇魔法使いだ。目をつけられてしまったんだろうね」



少し眉を下げて微笑んで見せるヒューお兄様は少し幸薄そうに見えたけれど、今朝ガンギマリスマイル見たばかりなので落差で風邪を引きそう。あと別に幸薄くない。むしろ不幸が寄ってきても筋力と魔力で全てを解決するタイプである。



「それにしても、シュトレーゼ伯爵領は辺境近くでしょう?大丈夫なの?」

「だからこそ、今帰っておいて対策を取ったほうが良いと思うんだ。学院寮では彼女を守れないし、あそこの領地はゴースト系も出るからミーシャがいた方が対処もしやすい。大抵の魔物は俺が狩れる」



最後の言葉がガチなところがすごいのよね。

そのうち単独でドラゴン狩ってそう。まぁ、流石にドラゴンスレイヤーなんて伝説級の扱いですしなかなか無理ですよねー。

無理…ですよね?



「公妾として連れ去られるのを防ぐために今日はここに泊まってもらうことになったのでそこも頼む」

「ご迷惑をおかけいたします」



しょんぼりしているミーシャさんに「悪いのは全部国だから……」と言うヒューお兄様だけれど悪いのは国ってダイレクトにヤバいやつですよ。いやなんかもう疲れすぎてしんどくなってきましたけど。



お話が終わった後お部屋に戻ると、窓が叩かれる。よく見ると、セシルが小さな石を持ってコツコツと音を鳴らしていた。



「よっ!」

「わー、こんばんは!」



じゃれつくベルは可愛いけれど、どうしたのかしら、と首を傾げる。



「クリスから手紙と花」

「まぁ……」



小さい身体でどうやって運んだのかしら。そう思ったのがわかったのか、彼は眉を顰めた。



「妖精だから俺だって魔法が使える。そんだけ」



縮小の魔法をかけて運んでくれたらしい。お礼を言うと、「返事があるなら届けてやるぞ」と言われたので中身を開けた。

そして、丁寧に折りたたむ。



「ごめんなさい。急がなくてはいけないからお返事は書けないわ。代わりにこれをお礼に、と渡しておいていただけるかしら?」



強力な光の魔法が込められた琥珀のピアスをセシルに渡す。

出て行った事を確認してから、部屋の外に待機していたリズベットに「お父様とヒューお兄様、ミーシャお義姉様を呼んで欲しいの。至急の用事なのだけれど」と伝えると、「かしこまりました」と固い声で返事が返ってきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 国が悪いというか、ごく一部のトップの方とその他大勢の質の悪い貴族の方が悪いのではないかと......。 フィンのお父様が何故この国で公爵やっているのか疑問が湧いてきた今日この頃。
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