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利用価値



「それで、現状誰を選ぶつもりなんだい?陛下は要らない気を回していたけれど、フィンは一応全員と交流があったろう?」



お父様にそう言われて、表情筋が引き攣るのを感じた。

直球である。ジャブすら入れてくれなかった。


けどお父様のそういうまっすぐなところ好き!!


隠せるなんて思ってはいないけれど、正直に白状すると「分かってはいたけれど、また難しい選択をしたね」と言われてしまった。難しいのかぁ、と少し遠い目をしてしまった。私の人生の簡単な事って一体なんなのかしらね。



「クラウス殿下には外交、リオンハルト殿下には国内の守護に関する功績がある。けれど、兄弟間でこれ以上王位争いの種を作るべきではないという一部貴族の言葉から陛下によってクリストファー殿下はそういうものから遠ざけられていた。フィンとの婚約話が出ればきっと何かしらの功績を求められるだろうし、私もそれを求める」



王子様が公爵家とはいえ令嬢を一人娶るだけだというのに少し大袈裟ではないかと思っていると、お父様は「君は自分の価値に無頓着だね」と苦笑した。



「わたくしの、価値……ですか?」

「そうだよ。私の可愛いフィン。数多くの人間の治療ができるほどに魔力が高く、控えめで穏やかで、臆病な性格故に一度捕まえてしまえば逃げられない。君のそういうところが、王家に目をつけられた」

「悪いところではありませんの」



最愛のお父様から後半ディスられている。



「いいや。大きな利用価値があるということだ」



穏やかに言うお父様だけれどその瞳に映るのは怒りだ。お父様にはいつも笑っていてほしいのに、私が不甲斐ないせいでこんな目をさせてしまう事が悔しい。



「利用価値があるからこそ、陛下はより上手くフィンを使える人間に嫁がせたいと考えているだろう。自分が嫌がった政略結婚を強制するなんて本当に自分勝手な男だよ」



馬車が家に着くと、先に降りたお父様に手を差し出された。

その手を取って降りると、少し離れたところで心配そうにこちらを見るローズお姉様がいた。



「ようやく帰りましたの?待ちくたびれてしまいましたわ」



玄関に入るなり腕を組んで立っていたのはお腹が少し膨らんだリリィお姉様だった。

……もしかしてローズお姉様の心配そうな顔ってリリィお姉様のお説教フラグの方だった?



「久しぶりね、わたくしの可愛いフィン。ゆっくりお話しを致しましょうね?」

「リリィ、君は今妊婦なんだよ。もう少し落ち着いて…「ジュード様は黙っていてくださいまし」



やれやれ、とジュードお義兄様は頭に手を当てる。



「怒った君も可愛いね。僕は怒らせたくないけれど」



止めるならぽわぽわお花を飛ばしていそうな顔をなさらずにしっかり止めてほしい。

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