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ライバル令嬢の妹になりまして  作者: 雪菊
本編

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9/203

災厄系従兄弟



レオお兄様から教えてもらった魔法学はとても興味深かった。

妖精と心を通わすことで強い効果が見込める魔法なんてできる人の方が少ないらしい。……嘘でしょ。そりゃ、お父様渋々私に協力させるはずだわ。上位貴族であるほど、妖精を道具と認識しやすいのでは、という見解がなされているらしい。レオお兄様は闇の魔法を使うのだけれど、妖精とは仲が良くて力の貸し借りも可能らしい。

最近の研究で、妖精と協力した闇の魔法であれば人の精神に強い干渉も可能になる可能性が示唆された、と楽しそうに笑う彼にそれって危険思想では、と冷たい汗が背筋を伝う。


「ちょっと頑張れば国一つ壊せそうな気がしてるんだ。試してみたいから誰か魔力が強くてこの世すべてを憎んでる系の人を見つけたら教えて?」

「待って待って!レオお兄様、それやったら私死んじゃうでしょう冷静に考えなくても!?」

「何もなくなれば人間っていうものは覚悟決めて一歩踏み出す生き物さ。まぁ、冗談だけどね。」


綺麗に笑ってみせるレオお兄様に「あ、これガチなやつだ。」と思った私はおかしくないと思う。私も早々に隣国に嫁ぐべきだろうか。リリィお姉様連れて行って。この美しい悪魔がやらかさないうちに。


理論的には自分が持つ属性以外の魔法を使うことが可能だと言う話は夢があってよかった。なんでも、特殊な霊薬を使って体内に他属性の魔力を取り込み、妖精を捕獲するらしい。

……これももしかして悪事では?


「レオお兄様は難しいことをお勉強していらっしゃるのですね。」


ちょっと理解できない感じなので、少し眉を下げて微笑んで困り顔を作り、私何もわからないアピールをしてみた。


「僕は知りたいことのために努力を惜しまないだけだよ。」


レオお兄様は自分の妖精に手を伸ばして招き寄せる。そして、何か尊いものを得たように紫色の羽を持つウサギのようなそれを胸に抱いた。

そして、その恍惚とした姿に思い出す姿がある。


──灰色の髪。青い瞳。魔法をこそ最上と尊ぶ研究者であり、主人公と攻略対象2名の担任を務める美しき魔導師。

国を揺るがす魔王を「作り上げ」し者……。──


フェアプリの黒幕、「レオ」先生だ。


こんなとこで思い出させないでほしい。今汗すごい。

待って、この作品なんなの?なんで我が公爵家関連でライバル令嬢と攻略対象と悪役で主要キャラ4人も出るの?まさか魔王私の近くにいませんよね!?


フェアプリは学院生活に入ってからがストーリーのスタートなことと、私は登場しない人物なので全然何も気にしていなかったのだけれど、ストーリーとしては大雑把にこうだ。

貴族ではあるけれど貧乏なヒロインが学院に強大な魔力を持つ特待生として入学する。学院生活の中で貴族としての学習と魔法の訓練をする一方で攻略対象たちと出会い、恋をする。そして、最後には愛する人と二人の妖精の力を束ね国を滅ぼそうとする魔王……もしくは暗躍する敵を倒す。魔王は全てのルートでラスボスというわけではなかったりする。隠しキャラ2人のルートで黒幕が明かされたり、一定のキャラのルートでは魔王は発生せずに他の誰かしらがラスボスになったりもする。

攻略対象は8人+2人の10人だったはずだ。正直、めんどくさがりなので各キャラの全ルート1周ずつしかしていない。10人もやればやり込んでいると言って良いのでは?とは思う。

その、「黒幕」が目の前にいる従兄である。隠しキャラは年齢を偽り女装して密かに入学していた第3王子と隣国の王太子だった気がする。


さて、黒幕が悪事を行った理由というのがさっきレオお兄様が言ったことそのものなのだ。

「人為的に魔王なんてものが生まれて国が滅びればどうなるのかみてみたかったんだ。」

「僕は知りたいことをひたすらに探求してきただけだよ。魔法とは、素晴らしいものだよね?」

何が素晴らしいだ。現実に国が滅びかけると考えると悪夢以外のなんだっていうんだ。


純粋な知識欲と好奇心で国を滅ぼそうとするやつが目の前にいることに頭を抱えたい。


「レオお兄様は他に気になることはないのですか?」

「他?うん、そうだね。あると言えばあるよ。」


そっちが平和的なものなら、できればそっちの研究をしてもらいたい、という下心で「どんなものですか?」と聞くと、彼は困った顔をした。


「そうだね。それこそひと時の夢のようなものだよ。僕はね、妖精がどこからやってきた、どういう存在なのかを知りたいんだ。」

「素敵なことではありませんか。」

「ただね、それには王宮図書館の魔法考古学禁書くらいでないとおそらく知ることができないんだよ。」

「見る方法はありませんの?」

「……魔法学院の長になるか、宮廷魔導師になればあるいは、かな。けどなれる可能性は……いや実績なんてものはどうとでも……」


考え込んでブツブツと何かを言うレオお兄様に話しかけようとすると、楽しそうに笑い出した。


「うん、うん。面白いことを見つけたかもしれない。ああ、フィーネ。君にももしかしたら手伝ってもらうかもしれない。安心してくれて構わないけれど、国が滅びることでも人造魔王を作る計画でもないよ。」


そして、輝くような瞳で歌うように言った。


「今まで以上に、お勉強をしようか?」


マジで?

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